架空請求業者に告ぐ

 架空請求をする前にこれを読め。残念感が漂いっぱなしの日本の司法だが、この判例は大きい。小額訴訟を悪用した架空請求自体が違法と認められたからだ。当然といえば当然の結果だが、法律の対応が遅れがちな日本で、こういった判断によって被害の拡大を防ぐことは効果的で素晴らしい。

 これがあれば、小額訴訟を起こされて無視していても、その請求が合法的なものであることを証明しなければ実効がなくなるということだ(架空請求だとばれたら反訴されてしまう)。時間と法的知識に富んでいる人なら、小額訴訟が舞い込んできたらいい小遣い稼ぎにできそうだ。

架空請求の少額訴訟、「極めて悪質詐欺」と賠償命令

 訴えられた場合に放置していると、ただちに敗訴してしまう少額訴訟を起こされ、身に覚えのない出会い系サイトの利用料など約14万円の支払いを請求された男性会社員(22)(東京都)が、サイト運営業者(大阪市)に対し、「架空請求の訴訟で精神的な苦痛を受けた」として110万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が22日、東京地裁であった。

 清水克久裁判官は「裁判制度を悪用した、極めて悪質な訴訟詐欺だ」と認定し、40万円の賠償を命じた。

 同時に、問題となった少額訴訟の判決も言い渡され、清水裁判官は運営業者の請求は架空だったと判断し、請求を棄却した。

 架空請求の被害者による慰謝料請求が認められたのは極めて異例だ。

 判決は、運営業者が少額訴訟に先立ち「(踏み倒したら)刑事告訴する」などと脅し文句を並べた督促状を会社員に送りつけていたことなどから、運営業者の一連の行為を「会社員を畏怖(いふ)させ、金を支払わせるための恐喝行為」と指摘した。

 少額訴訟は、60万円以下の債権を簡易に回収する目的から、原則1回の口頭弁論で判決が出る制度で、請求された側が答弁書を出さずにいると、相手の主張を認めたとみなされ、支払いを命じる判決を受けてしまう。

 通常の架空請求は無視すればいいが、少額訴訟を利用された場合には、無視するとかえって不利益を被る可能性があり、法務省などがホームページで、「弁護士などに相談し、きちんと裁判で反論して欲しい」と注意を呼びかけている。
(2005/3/23/00:54 読売新聞 無断転載禁止)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です