アナウンサーは音声合成装置に代わればいい

 (2011年に下書きにしたまま放置していた)2011年11月23日の夜、風呂でラジオを聴いていて引っかかった言葉。NHKの山田アナウンサーが現代の言葉について批判的(反省的)に語った言葉。一部のみしか覚えていないが。

  • 名詞が増えているが形容詞は減っている。
  • 形容詞は心を伝える言葉である。
  • 心を伝える言葉を大切にしていきたい。

 もっともらしいことを言っているが、ちゃんと考えているとは思えない。名詞は増減する。新製品が出れば現れるが一方で廃れて消えていくものもある。今は新製品(商品という意味ではなく新しい概念や概念そのもの)は加速度的に増えている。特に IT やネット関係の名詞は爆発的に増えているといってもいいだろう。それまでにない製品が作られるのだから当然だ。いい悪いの問題ではない。

 一方で、「形容詞が心を伝える言葉である」というのにも納得がいかない。形容詞(修飾語)は「話者(或いは書き手)の心の動きや判断を含む曖昧な言葉」だ。だからといって「心を伝える」わけではない。そして、コミュニケーションの方法が変わったことによって、伝えるべきことを正確に伝えるための試行錯誤のなかで、曖昧な言葉によるトラブルを防ぐ方向で言語は進化をしている。複雑な概念や新しいものやことを説明するのに、曖昧な修飾語を混ぜられたらかえって迷惑なのだ。

 形容詞(修飾語)で飾り立てが言葉を廃して、事実を正確に分かりやすく伝えるというのが現代の言語に求められている。ニュースで「真っ赤な血が路面いっぱいに広がっていました」なんて言わなくていい。こんなものは、ニュースバラエティの事故報道で効果音を入れているのと同じぐらいに愚劣で下卑た所業でしかない(w)。

 また、カタカナ語の氾濫を批判的に語っていたが、薄っぺらいものだった。外国語文化圏との交流の機会が戦前までと全く違い、海外産の名詞が次々に入ってくる。人名や固有名詞を漢字で表現する意味は無いだろう。

 とにかく、与えられた原稿を読むだけのアナウンサーに言葉について語られたくない。

日韓“交わることば” “ひらける未来”~放送の舞台裏からK-POPまで~
11月23日(水・祝) 午後6時05分~7時55分
「冬のソナタ」からK-POPへと広がりを見せる日本での「韓流」ブーム。韓国では、日本の小説がベストセラーになったり、日本語が由来の若者ことばが生まれるなど「日流」の動きがおきています。そんな日韓の文化交流の今と未来を“ことば”を通して見つめます。

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