ABAの殺人 アイザック・アシモフ

黒後家蜘蛛の会を期待して買ったが大外れだった。

水増しして引き伸ばしたような、勿体ぶった表現が多くめんどくさくなった。ストーリーと関係のない人物(特に女性)の外見に対する評価がくど過ぎる。人となりをイメージさせるための記述かもしれないが、無駄に長いし、性的な対象になるかならないかだけで人の好悪を判断しているようで見苦しい。アシモフが第三者として出てくる必要も全く感じない。ページ数を稼ぐためだけに出てくるようにしか見えない。

どうでもいい出版会の裏側とか作家と出版社との駆け引きとか、パーティの描写などが延々と繰り返される。そんなものを面白がるのは出版社とか本屋とか作家だけだろう。一般の読者には興味のないことだ。

そんな中で、数少ない面白かった表現

彼女は私をじっと見詰めた。特に興味はないが分類できない新しい動物を見つけた、とい顔つきである。

人間は大きな習慣なら苦労なく変えることができる。共産主義者は一夜にして国粋主義者に変わることが可能であり、保守主義者が自由主義者のベッドに這いこむのにも(またその逆も)、一呼吸する時間もかからない。しかし、いつも歯磨きのチューブを左手で押す男なら、賭けてもいいが、絶対に右手では押さないものである。

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