Amazonが中古eブックのマーケットプレースを開業へ

 デジタルコンテンツの所有権についての一つの回答だ。というより、Amazonが示した最終回答と言えるかもしれない。Amazonが続くことが前提だが、紙の本につきものだった「物」故の所有権移転をデジタルで行えるようにするものだ。こうなれば、「本の価格」が「コンテンツを消費する権利」だけでは無くなる。所有物として売買の対象になる。

 一方で、「デジタルになれば古本や貸し借りができなくなるんだから、もっと安くしろ」とは言えなくなるし、同様に「デジタルになれば著作権者に無縁な所有権移転による売上の低下から解放される」ということも期待できなくなる。

 中古電子ブックの売買の際に所有権の移転だけではなく、新たなコンテンツによる効用の生成が行われると考えられる。当然、その効用は著作権者によってもたらされたものだ。だとしたら、中古市場での売買には著作権者への支払が必要ではないか。

 Amazonが本の所有権を管理するのなら、徴収義務はAmazonにあるはずだ。紙の時代には出来なかった古本が生む「コンテンツによる価値の生成」を著作権者にフィードバックすることが可能になるのだ。これができれば著作権者も喜んで電子ブック化に応じるのではないだろうか。

 この問題については、興味が続く限り書き続けたい。今回はブレーンストーミング回。

Amazonが中古eブックのマーケットプレースを開業へ

Amazonは、中古のeブックを売ろうとしている。

同社は最近、読者が自分の読んだeブックの所有権を無効にし、Amazonのマーケットプレースに出す方法を発明して、特許を取った。

もちろんeブックは傷んだりしないが、その再販とは、そのライセンス(自分だけが読めるという権利)を移転することだ。今でもKindleの本を“貸す”ことはできるから、ライセンスの移転はすでに行われている。貸した本が友だちのデジタルライブラリにある間は、その本はオーナーのデバイス上から消えている。

約1年半前にローンチしたReDigiというサービスもある。同社の指摘によると、Amazonが2009年に申請した特許は再販の技術が同社とは異なり、Amazonの本が新しいデバイスにダウンロードされると、その本は元のオーナーの書棚から削除される。

一方ReDigiの方法は、ユーザの本がReDigiのサーバに“移動”されてから新しいデバイスにダウンロードされる。同社の主張では、この方法なら本の新しいコピーは作られない。オリジナルが移動するだけである。でも私から見れば、それは言い方の違いにすぎない。Amazonの方法でも、本のコピーは終始一つしかない。

しかしそれでも、ReDigiは狼狽していることだろう。Amazonの特許は、ユーザが一度買ったデジタル製品に対する権利を、その製品の全生涯にわたってAmazonが持つ、と言っている。そうすると、ReDigiのようなサードパーティは(その特許に触れるので)中古品マーケットプレースになれない、ということになる。彼らの前途に暗雲が…。

〔訳注: この件の詳細に関心のある方には、原文のコメントを読むことをおすすめします。〕

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