対応で変わる印象(情報もウィルスも)

 ジャパネットタカタから数十万人規模の顧客リスト流出が合ったらしい。今回は対岸の火事だから、文句を言う立場ではない。面白いと思ったのは、その対応とそれに対する様々な反応だ。

 ジャパネットタカタがテレビショッピング番組を停止したことに対して賛辞が多いような気がするが、情報インフラたるADSLと一緒にしてはいけないだろう。Y!BBがサービスをストップしたら一番困るのはユーザーだ。少なくとも俺は、サービスの停止という形での責任の取り方を望まない。しかし、企業の姿勢を示すという意味ではジャパネットタカタのフォローの方法は、実効はともかく、受けは良かった。そこの違いは大きい。

 その、極端な例が何度も書くが、浅田農場だ。実際は一次被害者だったのだ。大量死したときに隠滅を図らなかったら今とは全く違っていただろう。その判断を誤ったために、勘違いしたマスコミや世論に発生元扱いされてしまった。しつこいようだが、暴力団と懇意になって指名手配されている被疑者の饗応を受け逃がしてやった警察官。農産物の産地を偽って出荷している流通業者。権力者や身内は取り締まらない交通機動隊。政治家や暴力団と結託している検察。接待してくれるところにだけ甘い国税。こんな奴らとは罪の次元が違う。隠蔽を図った罪は逃れられない。交通事故でも事故現場から逃げた場合と一緒だ。しかし、罪の性質はこちらに近い。

 発端は、全く罪のない浅田農場だったのに、対応を誤って、二次的な加害者になって、自社だけでは収拾が付かなくなってしまった。

 自社の不祥事(この時点で罪だ)から端を発し、対応を誤って顰蹙を買ったあげく、評判を下げてしまったYahooBB。

 YahooBBと同じ不祥事からスタートしたにもかかわらず、上手く立ち回ることで悪印象を残さなかった、ジャパネットタカタ。

 当事者には申し訳ないが、判断を下す際のケーススタディに使えるかもしれない。これは業態や組織に関わらずに、危機対応は考えていかなければならない。そして、こういう前例は無意識のうちに社会的な規範となる。これらの事件の当事者には返す返す失礼な書き方だが、他山の石として、今後の社会的な危機拡散を防ぐ参考資料として記憶にとどめておくべきだ。

 一つ気になるのは、その場合に重要なマスコミの評価だ。多くの個人はマスコミの評価に依存している。マスコミが、今回の浅田農場にしたような、近視眼的な「叩き」を繰り返しているのではダメだ。「何のどこが悪かったのか」「どうすべきだったのか」をコメントすべきだ。

 もちろん、一切のコメントや脚色をしないで報道に徹するという方向もあるが・・・それを受け入れられるほど日本の社会は熟していないだろう・・・

 ちなみに、こんな報道もあったのでクリップ。「300万回線で採算が取れる」といっていたのに、いつまでも新規獲得をやめなかったのは、実際には300万回線に届いていなかったからなのか。

 

ヤフーBB情報流出で見えてきたソフトバンクの素顔
http://www.zakzak.co.jp/top/top0309_1_20.html
ヤフーBB情報流出で見えてきたソフトバンクの素顔
「有料会員241万人」ヒット率低く

 厚いベールに包まれていたソフトバンクの実態が図らずも明らかになり、話題になっている。インターネット接続サービス「ヤフーBB」の契約者情報が流出した事件で、親会社ソフトバンク(孫正義社長)が流出したのは約451万人分と発表したのだ。加入者の実数が明らかになったのは今回が初めて。業界からは「得意の無料体験キャンペーンのヒット率が意外に低い」と驚きの声も聞かれる。

 同社によると、流出したのは、(1)加入者(2)加入手続中(3)無料体験キャンペーン申込み者(4)解約者-の計451万7039人分の情報。中身は住所、氏名、電話番号、メールアドレス、ヤフージャパンのID番号、申込日の6点で、人数の内訳は(1)240万3617人(2)9834人(3)147万3774人(4)62万9814人だった。

 「2カ月間無料です。もっていってください」。駅前や大型店の店頭で通行人に声をかけるヤフーBBの販促活動は、お馴染みとなっている。会員獲得のための無料キャンペーンで、この体験申込者のうち何割が加入を申し込んでいるのかを示すヒット率は厚いベールに包まれていた。

 今回、初めて公表された数字では、加入者と加入手続中の合計は全体の53.4%にあたる241万3451人。これは「5割強のヒット率とみることができる」(業界関係者)という。

 さらに、無料体験申込者が約3分の1(32.6%)に及び、解約者も1割強(13.9%)あったことになるという。

 この数字について、業界関係者は「加入者のヒット率が低く、無料体験中の人がこんなに多いとははっきりいって予想外」と驚きを隠さない。

 これまでソフトバンクは、課金対象となる加入者数を公表していなかった。公表してきたのは、接続回線数だった。

 その回線利用者数は今年1月末現在で381万7000人。3月末には400万人を達成できる見込みで、平成17年9月までに600万人突破の目標を掲げている。

 だが、これは収入源となる課金対象の有料会員ではない。無料で配布した「お試し会員」も含んだ数字である。そのため、「ヤフーBBの有料会員=収益になる会員」がどの程度いるのかはまったくのミステリーだったのだ。

 それが今回の事件で、「課金対象の会員は約241万人」と判明。回線利用者数の約381万人から(1)の約241万人を差し引いた約140万人は、公表された無料体験キャンペーン申込者約147万人とほぼ見合う数字だ。

 内実が表面化してきたことについて、市場では「出版界では発行部数は公表しても、実売部数は企業秘密として公開していない。回線利用者数と加入者数の関係も発行部数と実売部数と同じだが、上場企業の開示情報があまり乖離(かいり)しているのは好ましいことではない」(証券アナリスト)と、ソフトバンクの情報開示姿勢に疑問を投げかける。

 ADSLで圧倒的なシェアを誇るヤフーBB。事件を機に、業界トップとして加入者実数の公表に先鞭をつけたらどうだろうか。

ZAKZAK 2004/03/09

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