金融企業に何いってんの?|苛立つサードポイント、ソニーへの圧力強化

 週刊東洋経済2014年2月22日号のソニーに関する特集を読んだ。日本では数少ない革新的なデジタルデバイスを創造するメーカーとしてあこがれの対象であった事が懐かしい。だが、2014 年の今は違う。ソニーは、家電品やデジタルデバイスを道楽でやっている金融業者だ。道楽の一部を切り離したからって痛くもかゆくもない。

 自分が残念なのは希望退職や転籍、社内転職の方法だ。テレビやパソコンの技術者を欲しがっているのは中国や韓国、台湾企業だけだ。日本には彼らを受け入れる席はない。このままでは、例えばシャープの技術者が Samsung 躍進の技術的バックボーンになった(らしい)のと同じことが起こる。日本国内で持て余した能力を海外で活かすのは技術者として当然だし、人類レベルで考えれば正しい選択だ。それを責めることは出来ない。

 それより、せっかくいる技術者をなんで金融工学に投入しないのかが分からない。コンピュータやゲーム機を作る技術、CPUパワーを使いこなす技術は金融で使える。保険の料率算定や銀行の金利の設定、運用のシミュレーションなど、高度な数学的技術が必要とされているシーンは多い。

 銀行というと窓口で現金を数えたり、客先を訪問することを思い浮かべるかもしれないが、今の銀行業務では現金を触らない行員の方が多いだろう。CELL を 1024 台並列にした金融システムとかを開発してソニー損保で使ったり、取引所や他の金融機関に売り込んだりすればいいのに・・・やろうとしたけどダメだったのなら・・・ごめんww

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「ソニーの成長ベクトルは有望だが、それを進めるには、パソコンとテレビ事業の再編に向けた真剣な取り組み、エンターテインメント事業の価値実現を図るいっそうの努力が必要だ」

1月21日、ダニエル・ローブ氏が率いるヘッジファンドの米サードポイントは、投資家に向けた四半期ごとの書簡の中で、ソニーの現状についてこう言及していた。

それから約2週間後、まさに書簡で名指しされたパソコン、テレビについて、ソニーは事業売却と分社化という形で手を打っている。これは偶然の一致ではないだろう。

1995年にローブ氏が友人や家族から330万ドル借りて起業したサードポイントが、ソニーの実質筆頭株主として登場したのは昨年5月。ローブ氏は映画や音楽などエンターテインメント事業の分離上場を迫ったが、ソニーの平井一夫社長は取締役会の結論として、この提案を拒否した。「エンタメもソニーの中核事業。ソニーが100%保有し続ける」と宣言してみせたのである。

ところが、10月末の中間決算発表で通期業績見通しを引き下げ、株価も下落。「ソニーのパフォーマンスが上がらず、2013年後半の日本の(投資)ポートフォリオには失望した」(前述の書簡)ことで、サードポイントはあらためてソニー経営陣へのプレッシャーを強めたわけだ。

そもそもサードポイントは、攻撃的かつ行動的な投資姿勢で知られる。米ヤフーへの投資では自ら取締役として乗り込み、共同創業者であるジェリー・ヤン氏を経営中枢から追放。前CEOの学歴詐称を暴き、後任にグーグル幹部だったマリッサ・メイヤー氏を連れてきた。

ローブ氏は再編への大きな絵を描くのも得意だ。最近では米携帯会社のTモバイルUSへ出資。出資先で米スプリントを傘下に持つソフトバンクの孫正義社長に対しては、「Tモバイルとスプリントの経営統合で200億~300億ドルの効率化効果が生まれる」とのアナリストの分析を基に、統合提案に乗るよう呼びかけている。
ソニー・オン・セール

こうした積極姿勢も奏功したのか、サードポイントは昨年、投資家に対して26%ものリターンで報いた。運用額は100億ドルに及び、有力ヘッジファンドの一角に育っている。クリエイティブ・ストラテジーズ社の社長で著名アナリストのティム・バジャリン氏は「トップダウンで会社を変えていく投資家。株主のために最も有益な方法を採用するよう真正面から要求する」と、ローブ氏を評する。「ソニーの経営トップは、実力者の彼を無視できない」。今後は、自らを取締役に選ぶことも求めてくるだろう。

サードポイントが圧力を強めれば、ソニーは事業売却を急ぐ。そこで注目を集めるのもまた、投資ファンドだ。

今回、ソニーがパソコン事業の売却先として選んだ日本産業パートナーズは、02年にみずほ証券、NTTデータ、ベイン・アンド・カンパニー・ジャパンが共同で設立したファンド。大企業の事業再編や中堅企業の事業再構築支援を行っており、累計の投資案件は10件を超す。12年3月期にはみずほフィナンシャルグループの関連会社から外れ、独立系ファンドとして活動中だ。

「ソニー社内には小粒ながら有力な事業も多い。これからもいろいろなものが売られる可能性が高いため、まさにソニー・オン・セール(=ソニー販売中)。ファンドからの注目も高まっている」(外資系証券会社幹部)

サードポイントとの攻防戦が激化する中で、投資ファンドにとっても、大きなビジネスチャンスになっているのだ。ソニーは好むと好まざるとにかかわらず、切り刻まれつつある。
週刊東洋経済2014年2月22日号〈2月17日発売〉の核心リポート)

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