何かのおまじない?

 ヨーロッパ諸国に輸出する際にはISOの品質保証が求められるということで、すっかりJISの影は薄くなってしまった。別にJISが劣っているというわけではなく、ISOと両方とる費用が無駄だったり、ISOのほうが体裁がいいということで日本企業の大半がISO取得企業としてISOxxxxとかいう看板を掲げている。

 しかし、そんなものは全くあてにならない。単に、必要な書類を集めて(でっちあげて)その場しのぎに審査会社の審査に通ればどんな会社でも取れるのだ。俺が勤めている会社の工場でも2つ取っているが、品質なんかかわりゃしない。審査に通すことだけで現場では使われていないからだ。

 何が本当に必要なのかを考えない近視眼経営者ばっかりの日本の経営者のレベルの低さを表すようだ。そんなことを不二家の工場の玄関にISO取得の看板がかかっているのを見て思った。

 しかし、こんな品質管理をしている企業にISOのお墨付きを与えたISO審査会社にも問題がある。粉飾決算をしている企業を見抜けずに問題なしとしていた会計監査人と同等の責めは追うべきだろう。

 さらに、このような上っ面の書類だけそろえて良しとする姿勢は他にも多くある。企業統治とかCSRとかJ-SOXとか個人情報保護とかも、中身は全然変わっていないのに書類だけ作って、雑談の会議だけやって良しとしている(まあ、これは俺がよく知っている某企業だけかもしれないが)。

 一番身近で滑稽なのは、法務部門がことあることに、個人情報保護についての契約書を提出させようとすることだ。あんなものを出しているからといって何の根拠もない。相手の企業から漏れたときに、世間に対して「こんな契約書を作って提出させていました」といっても、「書類だけ貰ったらそれで責任がないと思ってんのか」と言われるだけだ。そんな文言があろうがなかろうが、漏れないように情報を管理する義務があるのに、そちらはしんどいので放置しているのが現実だ。

 こんなレベルの産業界で企業統治とか言ってみたって官庁の高邁な理想の実現にはほど遠い状態は続くだろう。だいたい、これまでだって明らかに違法行為というようなでたらめな決算をする会社(西武、カネボウ・・・)を何年も見抜けずにいただろう。

 法律を変えて満足じゃなくて、それが機能するように指導なり監督なりしないかぎり、たった数年で終って大量の低学力児をうんだゆとり教育と同じことになる。これは、法律の内容に問題があると言っているのではない。

 他に問題があるのに、法律の問題のようにすり替えても実効はないということだ。

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