オリジナルとコピー、創造と模倣または文化の伝播について

SilkRoadMap 「スパゲッティを食べる時にイタリア人はスプーンは使わない」というツイートを見た。どこかの旅行家がイタリアに行ったときの見聞録にでもあったのだろうか。しかし、そんなことどうでもええねん。日本人が考えだしたのかどうかは知らんが、スプーン使ったほうが食いやすい。それで十分だ。

 こういう話は多い。しかし、食文化は主に当地で取れる産物や調理方法、その地方の好みによってアレンジされる。そうやって新しいものが生まれ時を経てスタンダードになるのだ。それだけのことだ。

 紅茶といえばイギリスを思い浮かべる人が多いだろうが、イギリス人が紅茶を飲むようになったのは中国との海洋貿易以降の話だ。自分にとって意外だったのはインドはイギリス人に紅茶の習慣を植え付けられたということだった。実は1700年代後半以降だった。そして、それらの国ではそれぞれの紅茶文化を育み今では正統となっている。正統という意味では中国発祥の飲み方がオリジナルなはずだが、今どき誰もイギリス風の飲み方やインド風の飲み方を否定はしないだろう。寿司だってそうだ。日本発祥だが、アメリカにわたってアメリカ人が考えた寿司が逆輸入される。それでいい。間違いという必要などない。

 これは食べ物だけではないあらゆる文化や習慣、テクノロジーがローカライズされる。

 昔は、距離は時間を意味した。中近東で発症した弦楽器が日本に来るまでに琵琶や琴、三味線になり、西に向かったものはギターやバイオリンになった。それぞれが完成するには数百年の時がかかった。どちらも偽物ではないだろう。

 現代は、情報はインターネットによってあっという間に伝搬する。世界の片隅で起こった流行りものが数日のうちに(現物は無理だが)Twitter のTLを賑わす。オリジナルへのアクセスも簡単になった。それだけのことだ。

 YouTube に上がっていたインドの屋台の動画でチャイの作り方を知って真似する時に、手に入れやすいティーバッグを使ったり、手元のスパイスで作っても美味しければいい。機会があればインドの人たちが使っているようなスパイスや紅茶を使ってみるのもいい。両方いいのだ。

 YouTube で indian tea とか Chai を検索するといろんな人が作り方の動画をあげていて面白い。英語でしゃべるインド風の服を着た女性(国籍不明)、お料理番組のイギリス人女性、アメリカの料理好きの少女、日本語でしゃべるインド風の男性(一般人風)、日本人のシェフ・・・みんなそれぞれ美味しいチャイの入れ方を教えてくれる。すべてが正解だ。

 だから、スパゲッティを食べる時にスプーンで食べやすければスプーンを使えばいいし、嫌なら使わなければいい。つまらん上から目線なんて要らない。

 因みに、スプーンを使ってスパゲッティを食べるやり方を自分が知ったのは兼高かおる世界の旅のイタリア編だったような記憶があるんだが・・・イタリアでも地方によって違うのかもしれない。あるいは、他のテレビ番組でやっていたものを毎週楽しみにしていた世界の旅で見たと記憶したのかもしれない。当時の世界の旅がパンナムの提供だった。

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