UFJ経営情報クラブ
【経営者が数字に強くなるための手引（6）】
「経営は実行」、経営者はビジョンを数字で示せ
アタックスグループ 代表パートナー 公認会計士 丸山 弘昭
◆経営者は数字にこだわれ
経営者は数字に強くなければ経営はできな
いという視点で寄稿した本シリーズも、今回
が最終回となりました。筆者には公認会計
士・経営コンサルタントの仕事を通じて、多
くの優れた経営者との出会いがあります。経
営者の仕事を簡潔に表現すれば、（1）経営
ビジョンと経営目標の設定（2）目標達成の
ための組織編成（3）社員への動機づけ
（4）目標達成に貫献した社員の公正な評価
（5）仕事を通じての社員教育・育成です。
経営者は−般に個性が強く、考え方、行動パ
ターンはまちまちですが、経営者である以上、
何らかの形で上記の5つの役割を果たさな
ければなりません。とりわけ成功した経営者
は自分白身の役割を自覚しており、社員に明
確にビジョンを示し、数字で結果を出すこと
を意識し、そのように演じています。経営者
がビジョンを数字で示すこと、数字の目標達
成にこだわることで、社員も甘えを断ち、社
員が育つのです。
◆カルロス・ゴーンのリーダーシップ
「経営は実行」
日産のカルロス・ゴーン社長は、日産リバ
イバルプラン（2000年4月〜2002年3
月）によって�校�回復を見事にやり遂げま
した。ゴーン社長は日産低迷の原因として次
の5つを挙げました。（1）収益管理不徹底
（2）顧客第一主義の欠落（3）部門のセク
ショナリズム（4）危機意識の欠如（5）明
確なビジョン・長期計画不在。
ゴーン社長は日産リバイバルプラン（NRP）
の数値目標をコミットメントとして掲げまし
た。（1）2001年3月期までに黒字化（2）
2003年3月期までに連結売上高営業利益率
4．5％達成（3）2003年3月期に自動車事業
の有利子負債7．000億円削減。ゴーン社長
はこれらの数値目標を達成するために、購買
コストの削減、製造・物流改革など組織を横
断した9つのクロスファンクショナルチー
ムを立上げ、実行計画を策定しました。そし
て14％の人員削減、購買コストの20％削減、
東村山工場等の工場閉鎖による国内余剰生産
能力30％削減などの成果によって、NRPで
掲げた数値目標を見事に達成しました。
ゴーン社長はNPRを成功させると、次な
る目標として日産プラン180（2002年4月
〜2005年3月）を打ち出しました。（1）
2005年3月までにせ界販売台数を100万台
増（2）連結売上高営業利益率8％達成（3）
2005年3月までに自動車事業の有利子負債
をゼロに。
ゴーン社長はある経営シンポジウムで、
NRP成功について次のように語っていまし
た。「私は非常に恵まれていました。日産の
社長として、当初様子を見ようと思ってくれ
た従業員がいたからです。彼らはその後、私
を支持してくれました。ですから、最終的に
日産を変えたのは私ではなく従業員です。私
は会社の社長として変革を促す触媒でしたが、
変革を起こしたのは13万人の従業員なので
す」。
NRPで数値目標を達成し、「やれぱでき
る」と自信をつけた日産の社員は、現在進行
中のプラン180も必ず成功させると思いま
す。「経営は実行」。経営者はリーダーシッ
プを発揮し、ビジョシを具体的に数字で示し、
結果を出さなければなりません。
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