【危機管理対策、大丈夫ですか?(2)】
工場で不測の事故が発生した時
 田中危機管理・広報事務所 所長 田中 正博
 企業活動にはさまざまなアクシデントがつ
きものだ。たとえば、工場で火災などが発生
した場合、消防や宰察、保健所などの当局だ
けではなく、押しかけてくるマスコミヘの対
応も重要である。総務担当者として欠かせな
い初期行動手順のポイントは‥…・
1.マスコミ記者やカメラマンが消防や警察、
 保健所の業務障害にならないよう“交通整
 理”をすること。具体的には、現場から離
 れた位置にロープを張り「これから先は立ち
 入り禁止区域です」という意思表示をする。
 閂を閉鎖してマスコミをシャットアウトす
 るのは反感を買い、批判報道を招く恐れが
 あるので得策ではない。ローピングは当局
 とマスコミの双方に対し、工場側としての
 適切な配慮を示す意味で重要である。
2.記者に次の3つのメッセージを直ちに伝
 える。「当局の業務の支障になりますので、
 ロープ内には絶対入らないでください」
 「○時○分から当工場の△会議室(社員食
 堂や講堂でも可)で緊急記者会見を行いま
 す」「それまで△でお待ちください」
3・記者会見前でも次の情報は随時、模造紙
 に書き記者会見室の壁に貼り出す。正式会
 社名、社長名、正式工場名、工場の住所、
 工場長名、周辺見取図、施設配置図、施設
 概要、生産品、従業員数など。遅れて来た
 記者も基本情報がすぐに分かる。
4.想定問答を準備する。記者の質問は
 「5WIH」の確認だけとは限らない。事故
 が発生した原因やすぐ消火できず延焼した
 理由などを“疑惑の視点”で質問してくる。
5.次の質問の回答はとくに準備しておく。
 「1・事故の原因は何か?」「2.従業員の
 操作ミスか?」「3.経験の浅い社員が操作
 していたのか?」「4・当局には何時何分に
 通報したのか?遅すぎなかったか?」「5.
 なぜすぐ消火ができず、延焼したのか?」
 「6.安全の設備投資を怠っていたのではな
 いのか?」「7.過去3年間の設備投資額を
示してほしい」「8・マニュアルはあったの
か?その通り実行されたのか?」「9.以
前にもこのような事故があったのか?」
「10.安全点検はどのような方法、期間で
実施しているのか?」「11.工場長はその
とき、どこにいたのか?」「12・事前に何
か兆候がなかったか?見逃してはいなかっ
たか?」「13.従業員の避難方法に問題は
なかったか?」「14.有毒物質は流出して
いないか?」
など。
6.緊急記者会見は次の手順に沿って行う。
1)時間を決める(重要)。午前中なら午前
11時頃まで(夕刊締切に間に合うよう
 に)。午後なら午後2〜5時頃まで(朝刊
 綿切に間に合うように)。記者会見の時
 間は「50分」を目途とする。
2)工場長はスポークスマンとして必ず出席
 する(出席しないと「逃げたのでは?」と
 疑われる)。ほかに総務担当など、2名程
 度、陪席する。
3)会場を決める。少しでも広い会場を選ぷ
 こと(社員食堂や体育館など)。
4)事故の概略をA4・2ページ程度のステー
 トメント(声明書)に分かり易くまとめる。
5)Q&Aを作成する(前述のような厳しい質
 問に対する回答を必ず作成する)。
6)地元マスコミには、会見時間の遅くても
 「2、時間前に」電話およぴFAXで緊急記
 者会見の通知をする(日頃から工場近辺の
 マスコミ連絡先リストを作成しておく)。
7)記者会見の時間は○時から△時まで、と
 はっきり明示する。
8)予定時間がきたら速やかに記者会見を行う。
 ステートメントを読み上げ(3〜4分程度)そ
 の後、質疑応答を行う(30〜40分程度)。
9)終了予定時間が近づいたら、司会は「そろ
 そろ予定の時間が近づきましたので、あと
1〜2問、受けまして終わりにさせていただ
 きます」と、伝える。
10)質問終了後は、すぐに会見場から退出する。


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Last-modified: 2006-08-19 (土) 10:56:11