UFJ経営情報クラブ2005.10.13 No.05ー187
【会議で会社が変わる(1)】
会議が変われば会社が変わる
  芝浦工業大学大学院 教授 西村 克己
◆ダメ会言義をそろそろ卒業しよう
 ここ何十年、やり方が全く変わっていないも
のは何でしょうか。それは、ずばり会議のやり方
です。今までの会議のやり方は、連絡会や報
告会を中心とした、情報伝達型でした。
 しかし今日、それを変えなければいけない
理由が、大きく2つあります。
1つめは、変化が早い時代、顧客ニーズの
多様化により、上司からの一方通行の命令系
統では、よりよい解決策が見出せなくなった
ことです。情報伝達型の会議は、解決策をデ
イスカッションするには不向きです。
 2つめは、インターネットの普及により、
情報が容易に発信・収集できるようになった
ことです。わざわざ顔を合わせて配布物を配
る会議は非効率です。
 よくあるダメ会議をいくつかご紹介しまし
ょう。会議をしても結論が出ない会議を「な
んちやつて会議」といいます。新鮮な話題も
なく、わざわざ顔を合わせて議論する必要も
ない議題で、定期的に開催している会議は
「マンネリ会議」です。参加することに意義
がある会議を「とりあえず参加しておけ会
議」といいます。ほかにも、「主催者の自己
満足会議」「声が大きい人の独演会」なども
ダメ会議の一例です。
◆全員参加の創造的な会議をめざそう
 これからの管理職の仕事は、部下に命令す
るとか、部下がさぼらないように監視するこ
とではありません。もっと部下の潜在的な能
力を引き出すことで、よりよい解決策を見出
す仕事のスタイルに転換することが必要です。
自分の意見だけを信じて、部下の意見に耳を
傾けない管理職は失格です。もっとお互いを
高め合い、知恵を出し合って、現状をよりよ
くしていくための会議に改革すベきなのです。
 戦国時代の軍議には、理想的な会議の一端
を垣間見ることができます。戦国時代の軍議
は、大将を前にして、軍議がフリーディスカ
ツションで行われます。たとえば、敵軍と一
戦を交えるべきか、和解して戦争を回避すベ
きかという議題で、フリーディスカッション
します。一戦を交えたときや和解したときの、
メリット・デメリットなどを多面的に、意見
を出し合います。また、それ以外にもっとい
い解決策があれば、自由に提案して議論を交
わします。フリーディスカッションの場は、
大将にとって情報収集の場であり、よりよい
解決策の追求の場でもあるのです。
 十分議論がなされた後、大将は意思決定を
します。大将が一度決定すれば、その解決策
に批判的だった人も、大将の決定に従います。
大将が決定したら、全員が大将の決定に従っ
て、一丸となって戦うのです。
 理想的な会議は、アイデアを出す人がエラ
イ会議です。黙っていたのでは、会議に参加
していることにはなりません。会議の達人は、
人を批判することではなく、よりよい解決策
を提案することが重要だと理解しています。
もっといいアイデア、解決策がないか、アイ
デアを出す人がエライ会議をめざしましょう。
そうすればもっと創造的な会議にすることが
できるでしょう。
◆ファシリテーションで会言義革命
 近年、創造型会議を実現するために、フア
シリテーション(容易にすること・促進する
こと)が注目を浴びています。フアシリテー
ションは、会議を容易にするとか、スムーズ
に会議を進めるという意味合いがあります。
 上司や管理職が会議を仕切るのではなく、
会議の進行役として、フアシリテーター(推
進役)を任命します。フアシリテータ・は、
会議推進のプロフェッショナルです。近年、
ファシリテーションのノウハウを身につけた
フアシリテーターの育成が注目を浴びています。
 そして上司や管理職は、さまざまな解決策
が議論された後に、解決策の意思決定をする
ことが重要な役割になります。


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Last-modified: 2008-09-02 (火) 07:53:05