職業・レベル・スキル

 転職とレベルのシステムが大きく見直された。8と異なり、全員が自由に職業を選べるように戻されたので、全員剣士の超攻撃的パーティということができるようになった。

 レベルは職業レベルに吸収された。このため転職するとレベルは1からやり直さなければならない。この変更で育成プランの考え方が大きく変わった。

 職業とレベルが一体化されたために、途中でも元の職業にする必要があり、そのために「ダーマの祈り」という呪文が追加され、どこでも職業を変えることができるようになった。このおかげで、ダンジョンの途中まではレベル上げ中の職業で行きボス戦だけを極めた職業で戦うといった戦い方ができる。

 特定の職業で身につけた呪文は転職すると使えなくなる。特技も職業依存の武器を使ったものは使えなくなる。

 職業の数は7と比較して減った。上級職への転職は職業レベルを上げたら選べるというものではなく、クエストをクリアしなければなくなった。

 職業レベルという概念がなくなった。職業固有のスキルを身につけるのはレベルアップ時に付与されるスキルポイントの振り分けで行う。職業固有の能力はこのスキルポイントを積み重ねることで身につける。なので、同じ職業でもスキルの振り分けによってプレーヤーの好みを反映したキャラクターが育つ。

 スキルポイントはスキルアップ時にしか獲得できないので、レベルが上がってくると簡単には入手できない。このため、他の未経験の職業に転職しスキルポイントを貯めるという進め方が必要になる(他のメンバーが十分に強ければ一人くらい戦力にならなくても困らないし、レベルが低ければレベルアップは早い)。

 上級職の扱いも変わった。7では上級職は下級職をマスターした上で転職可能になる上位概念だったが、9では「上級」という概念が希薄になり、扱いとしては、クエストクリアによって選択可能になる職業でしかなくなった。他のメンバーがクエストをクリアすればダーマの神殿での選択肢に上級職が現れ転職が可能になる。だから、魔法使いや僧侶をまったく経験していなくても魔法戦士になれる。その代わりに、基本職でのスキルや呪文のほとんどが使えなくなってしまう。これについては、違和感が残る。強力な攻撃魔法を使いこなしていた魔法使いが上位職の魔法戦士になったら殆ど使い物にならなくなってしまうというのは切ない。賢者ともあろうものが、僧侶の駆け出し以下になるのも納得しがたい。

戦闘システム

 基本は変わらずターン制で、熟考してコマンドを決めることができる。今のところ(プレイ時間150時間程度)ではAI任せでレベル上げをするのは危険なのであまり使っていないのでAIの賢さが上がったかどうかは分からない。AIに自分の好きな攻撃パターンを登録できるシステムが導入されるのはいつだろう(前に選んだオプションが次のターンの規定値として選ばれているのが助かるが)。

 モンスターが移動中でも見えて避けられるようになった。このために、相手が戸惑っているような場合にしか「にげる」が決まらなくなった。その代わりに、戸惑っているときに逃げたら回りこまれることもなくなった。気づいてないのに回り込まれるという理不尽がなくなったのは改善だ。反面で、レベルぎりぎりのダンジョンに入って逃げながら進むという戦法は使いにくくなった(フットワークで逃げられるが狭い通路を防ぐように立っている相手には無力だ)。

 ブーメランを投げるときの戦闘アニメが可愛らしい。実際のブーメランというより野球のピッチャーのようでもあるが(w

 戦闘中でも武器を持ち換えることが可能になった(旧バージョンでもできたかもしれないが)。準備を忘れてボス戦に望んでしまったときに助かる。

 戦闘アニメの時間は7〜8と同等だが、戦闘後の光ディスクからのデータロード時間がなくストレスは少し減った。戦闘にかかる時間そのものは大差ない。

クエスト

 ストーリーとは別に「クエスト」が導入された。ストーリーを進めていく上で特に必要なものではなく、依頼を達成することでアイテムを得たり技を入手したりできるものだ。ストーリー上でよくある「洞窟にある泉の水を取って来い」といった依頼とほぼ同じだが、ストーリーのキーアイテムとは無関係なので、取るのが困難なものも多い(モンスターが落とすアイテムを拾ったり会心の一撃で倒すといった確率依存のものはどうしようもない)。

 9を特徴付けるのがこのクエストと地図・練成システムだろう。ストーリーを進めるだけでなく、これらをクリアしたり達成したりするという「やりこみ要素」を盛り込んだ、MHシリーズのような楽しみ方もできるうようになった。

 オンラインで配信されるクエストやすれちがい通信で入手できる地図でストーリーが終わっても、というかストーリーは進めなくても楽しめるようになっている。ストーリーを進めないと使えない移動手段が無いと地図の場所に行けないので、通常のクリアはしなければならないが、そこまでの所要時間は5〜7に比べて短い(多分8と同程度かちょっと短い程度)。

 wifiによるORPG的遊び方はできない。ネットで協力してクエストをクリアすることはできるが、PSP版モンハンと同様アドホックモード(インターネット経由ではなく対面通信モード)だけ。

 この辺の制限は、DQという大ヒット間違いなしタイトル故の制限か。ORPGにするためには参加者をマッチングしプレーヤーが遊んでいる間ずっとセッションを維持し続けなければならない。QMAのように1プレイ10分程度のゲームならいいが、何時間も続けて遊ぶ可能性があるRPGを制御するサーバを運用するのは難しいだろうから。会費制のサービスにすれば新しい世界が広がるかもしれないが、そこにはオンラインゲームの泥沼が待っているだろうし。

宝の地図

 すれちがい通信で発見者が同じ地図を何枚ももらうので、不思議に思っていたら、メタルキングしかいない階があるということで有名な地図らしかった。他にも、特定の操作後、特定の時間後に開くとその時間によって出てくるアイテムが決まっているという宝箱がある地図も何枚かもらっていた。

 ライフスタイルによってはすれちがい通信を行うことは難しい。大きなターミナルで乗り換えることがあれば往復だけで(途中で操作が必要になるが)10人程度は簡単にできるはずだ。

 旧バージョンのボスキャラを倒すと「経験値を欲しそうな顔をしてこちらを見ている」状態に入り、経験値をやるとボスキャラのレベルが上がるらしい。俺は竜王Lev2に3ターンで全滅させられたのがトラウマとなりそれ以降一回もアタックしていないが、息子が何回か倒してレベルを上げていた。また、同じレベルでもキャラによって強さは違うらしい。息子によるとデスピサロLv1はドルマゲスLv5より強かったらしい。

 もてる地図の枚数は99枚限定で、これ以上入手しようとすると古い地図を捨てなければならない(選択可能)。これが切ない。未だクリアしていない地図がどんなレア地図か分からないからだ。かといって、毎日すれちがい通信をしていると一日にクリアできる枚数の10倍以上の地図を入手することになりあっというまにキャパシティを越えてしまう。まあ、最高枚数が1000枚だったら、クリアしていない地図が大量に残るだけかもしれないが。

 宝の地図は通常地図と旧ボスキャラ地図とがあり、旧ボスキャラ地図はダンジョンはない。通常地図はレベルによって深さ・広さが変わり、40Lvだと11程度になり運よく進んでいっても30分以上かかってしまう。

 たまに、はぐれメタルやメタルキングなどレベル上げに最適なモンスターの出現確率が高いところがあり、ネット上で情報が飛び交っている。自分が偶然見つけたのは「怒れる花の地図Lv42・地下10階」だった。はぐれメタルがうようよいる。強いサブキャラをつれて現れる場合があるので注意が必要だが、30分程度で50レベルのキャラを2レベル上げられる。

装備 その他

 RPGの楽しみの一つが着せ替え。装備換えはDQからあったことだが、戦闘中のパラメーターが変わるだけで見た目は変わらなかった。9からは移動中や戦闘中もちゃんと服や装備をしてくれていて目を楽しませてくれる。ただ、実用性を優先するとフルフェースの兜とかゴツイ鎧になってしまう。

 練成は前のバージョンからあったが、9では簡単にできるようになった。7のときはセットした後特定距離を移動しなければ完成しなかったので面倒でほとんどやらなかった。

 練成にはレシピと呼ばれる組合せを書いたものがあり、これはいろんな場所にある本棚に隠されている。レシピがなくても作ることができるので(結果は分からないが)、ネット上に転がっている噂話を元に作ってみるのも可能。息子はこれで、ロトの剣を作っていた。

 練成に使うための素材は武器や道具で入手するものの他にフィールドに落ちているものを拾うことで集められる。フィールドに落ちているものを集めるのはFFシリーズのパクリか(同じ会社なので問題ない)。

ミニゲーム・パズル

 どのバージョンからか忘れたがずっとあった、カジノや闘技場が無くなった。7では神経衰弱でレアアイテムを集めたのでちょっと残念。

 ストーリーと密接に結びついているのでミニゲームではないが、各バージョンにあったパズルステージが無くなった。強い敵に悩まされながら何回も宿とその場所を往復するのは、クリア時に達成感があって楽しかった。所々でこれを入れることでレベル調整にもなっていた(てこずっているうちにレベルが上がりすぎることもあったが)。9が終盤まで簡単に進めるのに、最後で苦労するのはこのせいかもしれない。

 この変更はDSというプラットフォームに移行するために仕方が無かったのかもしれない。従来のテレビでプレイするスタイルでは、パズルステージを家族や友人の力を借りたりしながら進むのが面白かった。DSでははまってしまうとそれっきりになってしまいかねない。

 ヲタクのゲーマーが速攻クリアを競うようなゲームにしないというメッセージなのかもしれない。

全体

 8は失敗作の番外編として、7までの次々マップを大きくすることでプレイ可能時間(プレーヤーが退屈せずに続けられる時間)を延ばしてきた。操作主人公の複数化によるオムニバス(4)、時間超越(5)、空間超越(6)、時空超越(7)と、長いストーリーに飽きさせないような工夫を繰り返したが、9ではプラットフォームがコンソールからモバイルになったことで、これまでと異なる方向性を追求した作品となった。従来の方向性に限界があったのかもしれない。

 ストーリーを短く簡単にし、クエスト(クエストと宝の地図、練成)というやりこみ型要素を付け加えたのだ。これは、モンスターハンター(PSP用)を盛り込んだといえるかもしれない。アドホックモードでのパーティ戦やフィールドに落ちているアイテムを拾い集めての練成はMHとそっくりだ。

 Wifiによるアイテムやクエストの配信というのはこのシリーズでは初めての試みで、時間をおいての配信により、ユーザをつなぎとめようという試みとして機能している。やりこみ要素の追加と小出しによる、アイテムコンプリートを目指すゲーマーの収集癖を刺激し、従来のソフトより中古市場への流出量を減らすことに成功したようだ。

 wifiでデータを送受信しているときのプログレスバーの代わりにスライムがぷよぷよのように降ってきたり、画面切り替えで時間がかかるときにスライムが表示される。スライムのようなキャラを持っていると強いなぁと思わされる。

 DQからのファンとしてはストーリーが短かすぎる。7のような石版やメダル集めは勘弁して欲しいが、もうひと工夫欲しかった。クエスト(宝の地図を含む)は面白いが時間が掛かりすぎる。

  特技や呪文、道具の数が増えたのでますます選択するのが困難になった。一覧表示数を増やすとかメニューアイテムを色分けするとかすれば少しは良くなるかもしれない。

 「通信ができる」ということでORPGに進化するのかと期待していたが、そうではなかった。オンラインでできるのはスクエニにデータをアップロードするのとクエストや購買アイテムをダウンロードするだけだ。多分、これらもカードに記録されているもののロックを外すだけだろう。

 通信も一日に一回に制限され、2回目以降は強制的にオフラインでの買い物になる。

 すれちがい通信をするとDQ9の普及率の高さに驚かされる。駅の乗り換えの人ごみとすれ違うだけで3人を呼び込むことが可能だ。これは、「3人いた」ということではない。「最低3人いた」ということだ。

 駅の乗り換えというのは特殊な状況ではあるが、それを差し引いても、全く同じモノを持った人間がこれだけの密度で集まることは少ないだろう。特定のイベントとかで同じような嗜好の人間が集まるような特殊空間ではなく、人口構成比率をかなり正確に反映したような生活空間でだ。


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Last-modified: 2009-08-24 (月) 07:12:11