地球の形

惑星の自転速度が速ければ速いほど、赤道付近の膨らみは大きいだろうと期待される。太陽系で最も質量が大きい木星は高速で回転しており、木星の一日は地球時間の10時間しかない。なので、赤道部の直径のほうが南北の曲を結ぶ直径より7パーセントも長くなっている。

地球は0.3%しか長くない。地球の直径128900kmに対して43km。しかし、このためエクアドルのチンポラソ山の頂上は海抜では6400mだが、エレベスト山の頂上より 2100m 地球の中心から離れている。

地球は月の潮汐力により地殻が変形し、赤道付近の半径は、毎日、毎月変化している。地球は西洋梨のような偏球形なのだ。

地軸

1年間毎日正午に地面にさした棒の影の先端に印を付けると8の字型の曲線ができる。これを「アナレンマ」と呼んでいる。地球の自転軸が公転軌道を面に見立てた公転面に対して垂直ではなく23.4度傾斜しているためと、地球の公転軌道は真円ではなく、そのため太陽に接近する場合には公転速度が上がり、遠ざかる場合には遅くなるため。これらにより、時計の示す正午に太陽が空の一番高い所に有るわけではなくなる。太陽の正午と時計の正午が一致するのは一年のうち4日だけ(8の字の一番上、下、交点)。

太陽

太陽のコアの温度は1500万ケルビン。この状態になると唯一の電子を奪われた水素原子核は十分な高速度に達し、本来の電気的反発を克服して、衝突し合うようになる。熱核融合で、4つの水素原子核から1個のヘリウム原子核が作られ、その際の質量の差が莫大なエネルギーとなって放出される。

核融合の際に光子というと呼ばれる光の粒子が作り出される。これらの光子はガンマ線と呼ばれるに値する十分大きなエネルギーを持っている。ガンマ線は最も波長が短く、最も大きなエネルギーを持っている。光速で移動する光子だが、太陽の内部では物質は極端な高密度状態にあるため、平均して 300 億分の1秒しか直進しない(1cm)。

ガンマ線は地球の中心部から表面に移動する間に、1mあたり1/100度温度が下がる。吸収されて再放出されるたびに、γ線光子はエネルギーの低い光子を生み出す傾向が有る。一個のガンマ線光子のエネルギーは1000個のX線光子を生み出すのに十分であり、一個のX線光子は、最終的には100個の可視光光子を生み出す。

可視光を使って測定した太陽の直径は赤外線を使って測定したときより長い。

エアロゲル

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エアロゲルはこれまで発明されたもののなかで最も幽霊に近い物質。シリカゲルのアルコール分を乾燥させて得られる、スポンジ状にもつれあったシリコン(ケイソ)で、その99.8%が隙間である。

ラグランジュ点

ラグランジュ点は5つ存在する。P120.122

月と地球のは共通の重心中心に回転している。この重心は、月と地球の中心を結ぶ仮想的な直線上の地球表面から約1600kmに存在する。

18世紀のフランスの数学者ラグランジュがやったように計算すると、地球・月系の中には、地球の引力、月の引力、回転するこの系の遠心力が釣り合う点がいくつか存在することがわかる。この点をラグランジュ点と呼ぶ。ラグランジュ点は5つ存在する。

一つ目は地球と月の引力だけのバランス点より少し地球に近い所にある。この点にある物質は地球か月にすこしでも近づくと近づいたほうの引力に引き寄せられて「落ちる」

二つめは地球と月を結ぶ直線上にあるが、月の反対側の離れた所にある。三つめは反対に地球側の反対にある。これらの安定度は一つめより高い。

4つめと5つめは対で、地球と月を結ぶ中心線に対して左右に遠く離れた所、地球と月を二つの頂点とする正三角形の頂点に当たる位置。ここも、全ての力がバランスし、しかも安定度が最も高い。山に囲まれた谷にいるときと同じだ。

どのラグランジュ点でも、すべての力が打ち消しあう点に物体がおかれていないと、物体の位置は「秤動運動」と呼ばれる起動に沿って、平衡点を中心に振動する。スペースコロニーを建設できる特別な場所でもある。ここに置いておけば何処かに動いて行ってしまう心配はない(軌道修正のための燃料も装置も不要)。

地球と月のラグランジュ点以外にも、太陽と地球にも同様の位置関係にラグランジュ点がある。L1やL2に探査機が止まって観測を行っている。

ラグランジュ点を出発する惑星間起動を取れば、ほとんど燃料を必要とせずにほかのラグランジュ点や、ほかの惑星に到達することができる。惑星表面からの打ち上げでは、燃料の大半がロケットを離陸させるのに費やされるが、ラグランジュ点からの打ち上げは最小限の燃料を使うだけでいい。

反物質

一個の反恒星が一個の通常の恒星と対消滅したとすると、そのとき物質はガンマ線へと、瞬時に、そして完全に変換してしまうだろうから、太陽と同じ質量を持った二つの恒星(10の57条個の粒子からなる)が衝突したなら、一億個の銀河に含まれるすべての恒星のエネルギーをすべて合計したよりも大量のエネルギーを生じることになる。

静止衛星

高度35786kmになると軌道周期は地球の自転速度に等しくなる。この高さに打ち上げられた人工衛星は地球に対して静止状態を保ち、静止衛星と呼ばれる。

天の川銀河

天の川銀河の中心にある超巨大ブラックホールの付近を通過する際に高速を得る。ブラックホールに向かって落ちるとき、恒星は光に近い速度に達する。こんなことができる物体はブラックホール以外にない。

アンドロメダ

肉眼で見られる最も遠い物体は、我々にもっとも近い渦巻き銀河、あの美しいアンドロメダ銀河である。現在入手可能なすべてのデータからすると、われわれの銀河とアンドロメダ銀河は、このままでは衝突してしまうと予想される。この二つの銀河がお互いの引力にひきつけられてどんどん深く抱擁しあうにつれて、われわれは捻じ曲げられちりぢりに散らばった星の残骸と衝突しあうガス雲となってしまうだろう。70億年もすればそんな状況になる。

パルサー

最も高い密度が確認されるのは、パルサーの中だ。パルサー内部では、中性子がものすごく高密度に詰まっていて、指貫一個分の体積が、5000万頭のゾウの群れとほぼ同じだ重さである。

真空

実験室で使用する最高の真空槽では、空気を排除して、1m^3あたり原子を100億個まで減らすことができるが、惑星間空間は1000万個、星間空間は50万個、銀河間では10m^3 あたり数個以上の原子を見つけることが困難。

重さ

人々が、ある物質が別の物質よりも重いと主張とき、暗黙のうちに行われているのは、重さではなくて密度の比較である。

土星

知られているすべての惑星と異なり、土星の平均密度は水よりも小さい。

ブラックホール、事象の地平

ブラックホールに物体を落とすと、そのブラックホールの事象の地平線は、ブラックホールの質量に直接比例して伸びる。このため、ブラックホールの質量が増大するにつれて、その事象の地平線内の平均密度は実際には減少することになる。その一方で、われわれの手元にある方程式からわかる限りでは、ブラックホール内部にある物質は崩壊して、その中心部の一点に、ほぼ無限大の密度で存在しているのである。

太陽の寿命

太陽の核融合エネルギーのすべてが生成されている太陽のコアは、低密度の物質を求めて当たるべき場所ではない。しかし、コアは太陽の体積のたった1パーセントを占めるに過ぎない。太陽全体の平均密度は、地球の平均密度の1/4しかなく、普通の水に比べて40%密度が高いに過ぎない。

50億年もすれば、太陽のコアのなかの水素はほとんど、核融合によってヘリウムへと変換されてしまい、その後間もなく、ヘリウムが核融合して炭素ができはじめるだろう。そのあいだに、太陽の光度は1000倍になり、同時にその表面温度は現在の半分に低下するだろう。物理法則から、ある物体が光度を上昇しながら同時により低温になる唯一の方法は、大きくなることだけだとわかる。太陽は最終的には、地球の軌道が囲む体積を満たしてさらにそれを越えるほど希薄なガスの球になるまで膨張し、その平均密度は、現在の値の100億分の1以下に低下してしまうだろう。当然、地球の海も大気も蒸発して宇宙に拡散していまい、すべての生物も気化してしまっているだろうが、今ここでわれわれがそんなことを心配する必要はない。太陽そのものに飲み込まれるその前に、太陽の外側の大気が地球にかかりはじめる段階で、この大気は希薄になっているとはいえ、それでもなお地球側の軌道上を運行するのを妨げるので、われわれは容赦なく熱核融合のただなかへとらせんを描いて落下させられてしまうのである。


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Last-modified: 2013-01-09 (水) 09:10:35