黒ミサとは、簡単にいえば、キリスト教のミサを逆転して、神を冒漬し、わざと不潔な行為や卑濃な行為にふけることによって、神聖な儀式を愚弄することである。キリスト教のミサでは、キリストの肉と血を象徴するパンと葡萄酒を、うやうやしく司祭が神にささげるのだが、黒ミサでは、子供の小便や精液や、女の経水を葡萄酒に混ぜて神にささげる。そして十字架を足で踏みつけたり、全裸の女の腰を祭壇のかわりに用いたりする。つまり、神聖な儀式を茶化して、神の敵である悪魔を喜ばせるわけである。
 もっとも、ダッシュウッドとその取巻き連中は、いずれも教養のあるディレッタントだったから、彼らが本気で地獄や悪魔を信じ、崇拝していたとはとても考えられないのだ。彼らは、もっぱら自分の快楽の追求のために、悪魔の教義を利用し、宗教のタブーを犯すことに、ひそかな愉悦を感じていたのではあるまいか、と思われる。


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Last-modified: 2005-05-07 (土) 00:29:46