http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/NCC/denwa/20040617/1/
日興コーディアル証券
システム統括部IT推進課IT推進課長
長沼 久司 氏

日興コーディアル証券は2005年3月までに,店舗や営業部門,本社の間接部門,コール・センターまですべての部門に,合計1万台のIP電話機を導入する。IP電話機と連携するアプリケーションを連携させ, 6300人の全社員が一斉に使い始める。導入する目的は,IP電話によって社員の働き方を変えること。通信コストの削減は二の次である。(聞き手は市嶋 洋平=日経コミュニケーション)

――どのようなアプリケーションをIP電話と連携させているのでしょうか。

 アプリケーションは主に四つあります。IP電話への伝言を電子メールのサーバーで一元管理する「ユニファイド・メッセージ」,社員の在席状況を把握する「プレゼンス管理」,相手の名前をマウスで選択するだけで電話がかけられる「電子電話帳」,ノート・パソコンを IP電話の端末にする「ソフトフォン」です。

 伝言メモを簡単に送信できるアプリケーションも導入済みです。例えば,IP電話に代理応答した後,相手に伝言を伝えるまでの時間を短縮できます。IP電話と同時に利用することで,業務の効率化が一段と進みました。プレゼンス管理と電子電話帳,そして伝言メモに関しては,関連会社の日興システムソリューションズとともに開発しました。

――なぜIP電話とアプリケーションを連携させようと考えたのでしょうか。

 IP電話とアプリケーションを連携させることで,業務の効率化や迅速な処理が可能となり,最終的には仕事の進め方を変えることができると確信しています。営業社員であれば顧客へのレスポンスを向上させたり,顧客と過ごす時間を増やすことができると考えています。

 例えば,ユニファイド・メッセージを使えば,携帯電話やノート・パソコンを使って社外から伝言を聞くことができます。顧客から伝言が入った時点で携帯電話に連絡が入り,伝言内容を聞いたうえで素早く折り返すことができます。また,プレゼンス管理を使うことで,相手が席にいなければ電話ではなく伝言やメールを送るようになりました。意外と見過ごしがちですが,相手側で不在社員宛の電話を代理応答する社員の無駄な時間も節約できます。

――通信コストの削減には期待しないのですか。

 ほとんど期待していません。今回のIP化を機に,拠点間を内線電話網で結ぶことで多少のコスト削減は見込めるかもしれません。いままでは拠点間の通話に東西NTTの加入電話を利用していたからです。ただ,東西NTTに支払っている電話料金自体は,割引制度などでかなり低くなっています。トータルの費用で考えると,大きな削減効果はないと考えています。

――IP電話の設計や導入で苦労した点はありますか。

 先月の5月に東京・新川にある本社部門のビルからIP電話機の導入を始めました。切り替え作業はトラブルなくすみました。

 この新川のビルには株式や債券の取引を行うディーリング部門が入居してます。ところが,このディーリング業務用の電話機をどうするかで,多少悩みました。ディーリング業務に従事している社員は,受話器が二つ付いた特製の電話機を使っていたからです。株式や債券の売り買いを同時に行うためです。ただ,さすがに受話器が二つ付いたIP電話はありませんでした。結局,一人がIP電話機を2台使うことにしました。


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Last-modified: 2006-08-19 (土) 10:56:17