無類のマルチペン好き。何本も持ち歩かなくてもいい所が最高。経理の担当者だが、手書きで書類を作ることはほとんどない。手書きするのは殴り書きのメモと資料チェックのための書き込み程度しかしない。レポートや稟議書も全てPC出力だ。経理というと帳簿や伝票に手書きしているような印象があるかもしれないが、今時そんな会社は個人商店くらいしかないだろう。

 筆者は、Sharp Power Zaurus MI-610 以来、Visor Delux、Visor Prism、Sony CLIE UX-50 とPDAを使ってきた。本体収納のスタイラスは小さくて書きにくいので、スタイラスチップ付きのマルチペンを使い始めた(し始めたのはPrism以降だが)。CLIE をiPhoneにしてからはスタイラスが不要になったので、通常のマルチペンを物色してきた。

 マルチペンには様々なタイプがあり、メーカーの思想が窺われて面白い。ここでは筆者が実際に手に持ったことのあるモデルだけを取り上げる。また、評価については、好みが大きいので前もって断っておきたい。文章を書くことはしない。赤やシャープペンの使用頻度は多い。事務仕事時に会社で使用(メイン業務はPCで行うことが基本)。太いペンは嫌いでグリップゴム付のペンは使わない。

メーカー名不詳 シャープ+黒、赤、青ボールペン

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 NTTの割引サービスプロバイダが配っていたもの。価格は不明だが、おそらく希望小売価格1000円程度のものだろう。

 グリップ部が太くなっていてローレット加工されているのがデザイン上のポイントと滑り止めになっている(けっこう金がかかってるかも)。

 細かいローレット加工が施されたグリップは握りやすいが好み的は少し太すぎる。グリップゴム付きボールペンやシャープペンシルが好きな人なら十分許容範囲というより、グリップゴム付きペンより細い。

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 スイング機構の作りがちょっとお粗末でペンをの中で動く金属音がする。動きが悪いのか、回して他の色を出そうとしたときに前に使っていた色が出てくることがおおい。4本を使い分けなければならないので、精度が必要なのにスイング機構の精度が低いような気がする。

 クリップはよく言えばシンプル、正確には安っぽい作り。金属の弾力で広がるだけで数ミリのキャパシティしか無く、長期間使ってると疲労して折れそう。

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 クリップ上に設けられたリリースボタン。分かりやすいし押しやすさも十分だが、遊びがあって安っぽい。軸の質感の良さをスポイルしてしまっているようで惜しい。

PILOT 2+1MIDY シャープ+黒、赤ボールペン

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 どこかの事務機メーカーの研修会に参加した時のお土産。

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 全体にデザインに統一感がない。軸はステンレス製でヘアライン加工が施されて金属質を前面に出した高品質な感じがする。しかし、芯を送り出すスライド部がプラスチックでぶちこわし。

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 スライドレバーが三角形になっているのも納得出来ない。このペンの何処にも三角形を連想するような箇所はない。軸の後端かクリップ部に見られるような丸にすれば良かったのではないか。

 このクリップの形状も、軸と全然統一感がない。ボディのような素材はコスト的に無理としても、もうちょっとあるだろうにと思われる。これも、クリップは固定されている。

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 グリップ部は溝が彫ってあって、底は黒くペイントされて、強調されている。滑り止め効果とデザインを狙ってのことだと思われるが、完全に無駄。ヘアライン加工された軸はそのままでも全然滑らない(汗っかきな人や脂性な人はよく分からないが)。デザイン上も無駄な要素を増やしただけだと思う。せめて、ペイントしなければヘアラインのアクセントのようになったかもしれないが。

 これらの写真では分かりにくいが、配されたロゴのフォントが全く統一されていないこともデザインの不調和を強調していると思う。前面(クリップの下)の2+1MIDYと逆面のメーカー名、スライドレバー下の色を示すローマ字とシャープペンシルを示す数字それぞれが全く違うフォントなのだ。ひどいのは色を示すローマ字で独特なものが使われている。何でわざわざ変えなければならないのか理解出来ない。しかも、スライドレバーは色分けされているから文字が無くても色は十分に分かる(スライドレバーのUIのいいところ)。
 他にも、継ぎ目を強調する溝やクリップのメッキリングなど、軸の質感というメインメッセージと相容れない要素がいっぱい入っているために、美しさの全くない残念なものになってしまっている。

 21gという、金属軸にしては軽いことやスライドレバー方式のスムーズさなどから、ペンとしての基本性能は十分なだけに、無駄な要素を詰め込んでデザインを台無しにしなければと残念な一本だ。正直お勧めしないけど、「見た目なんてどうでもいいんじゃ」という人のためにリンクしておきますので、お買い上げの場合はこちらからどうぞ。amazonでPILOT 2+1MIDYを買う

Rotring trio-pen シャープ+黒、赤

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 製図用サインペンで有名なRotringのマルチペン。amazonより購入。amazonからRotring trio-pen black を買って寄付をするamazonからRotring trio-pen silver を買って寄付をする

 ほぼデザインで選んだものなので、自分好みのデザインなのはいうまでもない。軸は真鍮製でシルバー塗装に梨地仕上げが施されいる。全てのデザインがこの軸の印象を損なうこと無くまとめられているところがさすがだ。

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 スイング機構のノック式。軸丈夫に描かれた色を上にしてノックすることで使う芯を決める。文字ではなくアイコンの形状と色だけで表示されていて分かりやすく、シンプル。

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 こちらはシャープペンシルを表すアイコン。唯一のロゴは細いゴシックで、ボディ全体から受ける印象と違和感がない。

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 グリップ部はほんの少し太くなっていて、上部と異なる仕上げになっている。少し目が粗くなっているが滑り止め効果にはあまり貢献していない。悪くいうと見かけ倒しだが、ここに実用的な滑り止め効果があるような加工を施してデザインをぶちこわしにするよりは、個人的にはいい。もしそんなことがしてあったら買わなかっただろう。

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 クリップがリリーススイッチを兼ねており、バネ仕掛けのクリップの上部(写真の右)を軸側に押す(クリップの先端を開くようにする)ことで、芯が戻される。このため、スイング式にも関わらず明示的なリリースボタンがないデザインが可能になった。

 同時に、クリップにソリッドな素材の使用が可能(というより、リリース機能のスイッチとして十分な強度が必要となるため)となり、バネによる可動と相まってキャパシティが大きく安心感のあるクリップとなっている。

 ただ、複雑な機構を内蔵することで故障の可能性が大きいことは否めない。これは長期間の使用によって検証するしかない。

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 クリップには装飾としてメーカー名がエッチングされている。クリップ上部のくぼみはここを押さえることを表しているのだろう。ノック部の丈夫に施された二本の溝と統一されたUIとなっているようだ。

 因に、このモデルをどのように紹介しているのかと本国のサイトhttp://www.rotring.com/を見ても見当たらなかった。商標利用権を買った日本の会社による日本市場向け製品なんだろう。rotringは本国では高級筆記用具ではなく、実用一点張りの製図屋さん向けの製品しか作っていないようだ。rotring.comにあった3 in 1マルチペンhttp://www.rotring.com/en/produkte/technisches_schreiben/tikky_3_in_1_multipen.phpのみだ。

その他 調べているときに気になったもの。

  • ステッドラーアバンギャルドライト多機能ペン クールシルバー 927 AGL-S
     これまで挙げた中で一番軽くデザインも悪くないが、レビューに壊れ易いという指摘があり、軽量化による弊害があるのかとも考え今回はRotringにした。amazonでステッドラーアバンギャルドライト多機能ペン クールシルバー 927 AGL-Sを買う
     ステッドラーのアバンギャルドライトの軸、クリップ、リリースボタン、ノック、滑り止め加工に共通したデザインは見事だ。全てのパーツが一つのデザインを語っている。残念なのは、ロゴ(シルバーでは目立たないが)。モデル名(この例では avant-garde)とサブタイトル(light)がそれぞれ違うフォントなのはちぐはぐだ。

    このモデルをアヴァンギャルドラインとして専用のフォントを作って展開するなら、文字色を示す文字も同じフォントにすべきだろうし、light とかいう後で付けたサブタイトルも同じフォントにすればいいのではないか。それが煩いというのなら付けなければいいのだ。

     こんな失敗をするのは日本のデザイン臭いと思って、http://www.staedtler.de/を見たらこのようなラインの製品は一切見当たらなかった。Rotringのトリオペンと同じか。

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Last-modified: 2010-09-23 (木) 17:12:42