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一七八九年、フランス革命が起って、ルイ王朝がつぶれると、[[サド>マルキ・ド・サド]]はようやく自由の身となって、[[バスティーユ牢獄>バスチイユ]]を出ることを許される。ところが、このとき、じつに不思議なことが起ったのだ。

 あれほど長い年月にわたって、忠実に夫に仕え、夫の出獄の日を何よりも待ちわびていたはずの夫人が、どうしたことか、修道院に閉じこもってしまって、訪ねてきた夫にも、会いたくないと伝え、離別の意思を明らかにしたのである。

 夫人の心は、謎としか言いようがない。[[三島さん>三島由紀夫]]の戯曲『サド侯爵夫人』も、この謎を解こうとして書かれたものだった。

#ls2(女のエピソード/ルネ・ペラジー)

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