【営業プロセス管理のポイント(2)】 営業現場にプロセス管理を根づかせるには uFJ総合研究所 経営戦略部(東京)チーフコンサルタント 東條 悪明 ◆プロセス管理を根づかせるコツ 「売れた・売れなかった」の結果管理から脱 して、売れるための活動プロセスに目を向け よう。こうした考えに共感する経営者は少な くない。 結果管理だけでは、外回りの多い営業担当 者の働きぶりは、まさに結果でしか推測しよ うがない。しかし、活動プロセスの実施状況 にまで踏み込んで見ていれば、数字に現れに くい各担当者の貢献度もクリアに見えてくる。 デキル担当者とデキナイ担当者の活動の違い もわかる。担当者の入れ替わりがあっても・ これまでの経緯がハツキリしていれば引き継 ぎもスムーズに行いやすい。 だから、そもそも営業担当者の活動内容が よく見えなかったり、担当者の実績のバラツ キが大きい企業にとって、営業プロセス管理 に取り組むメリットは大きい。しかし・プロ セス管理を根づかせるには・多少の工夫と根 気が必要である。少なくとも・営業マネジャ ーの役割、評価の仕組み、管理帳票や会議の もち方を修正しておかなければ、結果管理に 逆戻りするのも早いだろう。 ◆営業マネジャーの役割はプロセス推進 プロセス管理に取り組む上で一番にすべき ことは、営業マネジャーの役割の明確化であ る。営業マネジャーは、実績の上がらない担 当者に対して結果数字をツメルのが仕事では ない。当然、営業担当者の行動の一挙手一投 足にまで口を挟むことでもない。 プロセス管理における営業マネジャーの主 な仕事は、クロージングまでのプロセス全体 を見通し、活動項目の要所要所で担当者が直 面している障害を取り除くアドバイスを与え たり、実際に自ら行動することである。 担当者がサボっていないか・営業マネジャ ーが目を光らせるだけのプロセス管理では効 果も半減である。営業マネジャーが・プロセ ス推進に必要な助言・行動を適時的確に示す ことが個々の担当者の成果に結びつき・最終 的な全体数字にも反映してくるのである。 ◆プロセス指標を評価に加える 営業担当者の評価指標も変える必要がある。 売上高のような最終的な結果数字だけを評価 指標にしていては、担当者の思考も行動も結 果管理に陥ったままである。当然・プロセス に関連する指標を評価項目に加えて担当者を 評価しなけれぱならない。例えば、訪問○件、 提案○件、社長面談○件などと・活動プロセ スごとに必要な行動指標を設定して達成度合 を評価すると、担当者の有効活動量を底上げ する効果も期待できる。 ◆管理帳票とPDCA会議を工夫する さらに、プロセス管理のための帳票を整備 することも必要である。少なくとも・各担当 者別のスケジュール管理シートと・顧客ごと の営業プロセス管理シートの二つは用意した 方がよい。 各担当者は活動計画と実績をこれらのシー トに記入するとともに、定期的にマネジャー とPDCA(Plan,Do,Check,鮎tion)の会 議を行う。ここでのポイントは・会議の頻度 と、活動計画に日付を入れることである。 pDCAとは反省と学習のサイクルそのもの であるから、毎週行うのと月に一回行うのと では、長い間に大きな差となって現れる。特 に、上司や先輩からのフイードバックの頻度 が重要である。 また、今後取り組むべき目標をPDCA会 議で設定したら、「いつまでに行うのか」日 付を必ず入れる。目標や日付そのもの以上に、 目標の日付から逆算して一日一日やるべきこ とを明確にしてやり切ることが重要である。 プロセス管理とは、結果一発勝負ではなく1 なすべきことを日々の活動に落とし込み・効 率的な時間配分を実現することなのである。