ライブドアがTurboLinuxを買収したときに堀江社長が「2006年にはTurboLinuxのシェアはサーバで20%、パソコンで10%。合計30%を超える」とか言っていた。「合計30%」という算数は別としても、どちらも全く達成していない。
開発コミュニティの努力には頭が下がるし、macOSやwindowsの「いいところ」を貪欲に吸収して完成度の高いデスクトップ(Gnome とか KDE)を育ててきた。しかし、これを人に勧めることはできないし、自分でも選べるならmacOSXを選ぶだろう。管理の楽さが天と地ほど違うから。
同じような感慨を抱いている方がおられたので引用する。
LinuxがWindowsにとってかわる、こんな妄想を俺は何度抱いてきただろうか。そして、世の中はそう動かなかった。たぶんこれからもそうに違いない。
使っている連中はみなコマンドラインが基本だと思っているのだ。ソフトをインストールするのにtarボールとってきて解凍して、./configureで make、それでsuしてmake installだよ。なんて言われても、わかるか、そんなもん!!となるのは必至だ。
Linuxが一般人に受け入れられない理由は、メーカー製のプリインストールマシンがないこと(メーカーのサポートが受けられるマシンは店頭では売っていない)。MSofficeを使いたいユーザの不安。周りにLinuxを使っている人が少なくて情報がないこと。そもそも一般ユーザはOSに興味などない(選べるものだと思っていない)といったことだろう。一般パソコンユーザにとっては、OSとアプリケーションの区別などなく、興味もないというのが一番の理由だろう。
ところが、パソコンをそこそこ使っていて、ブラウザやメーラを自分でインストールして使うという弱ヲタな人にとっても参入障壁はある。それはlinux界のコマンドライン至上主義ではないかと思う。どの解説書にもviの使い方が書いてあって、それを覚えないとメンテナンスもできないかのように書かれている。まるで、コマンドを使いこなすことが能力であるかのような書き方だ。これに馴染めない人も多いだろう。俺もそのうちの一人だ。
コンピュータはそのパワーをユーザビリティの向上に使ってきた。クソ重たいGUIを載せているのもそのためだ。そして、それによって神官でなくても日常的に使えるようになったのだ。未熟なインターネットでは技術系の知識が必要とされるシーンがまだ存在し、技術的な知識を使いこなせることとそれを使って何かできることとが混同されている。まるで、DOS時代に戻ったようだ。余談になるが、macがOSXになってからというもの、TidBITSですらコマンドラインが出てくることがある。user experience を向上し、生産性をあげるためにOSXというツールを導入したのにそれを使いこなすためにコマンドラインの学習をしなければならないなんて本末転倒だと思う。特に、macの場合はこの乖離がひどいと思う。
キャラクタベースだからといって2006年に10年以上前のDOSのeditより使い難いようなエディタを覚えるのはナンセンスだろう。コミュニティに「viを覚えるのはunixを使うためには当たり前」という意識があるのだろう。linuxを一般ユーザにも普及させたいと思っていて、コマンドラインでのメンテナンスが必須なら、せめてdosのedit程度のエディタくらいは作るべきだと思う。
コマンドラインでコマンドを使いこなせることをひけらかすようなのは、自分が苦労して習得したことを後続の人間が苦労して習得いる様子を眺めているような選民意識じゃないのかと思う。ひょっとしたら、そんなことはやる必要のないことかもしれないのにね。
もっともっとGUIツールの完成度を上げないと無理だろう。こういったツールやドキュメントを用意するのは新しい機能を作ることに比べると面倒で技術的達成感は少ない。「設定なんて、cnfに書き込みゃいいじゃん」になってしまうのだろう。無償で開発してくれている人にドキュメントまで完璧に作れと要求するのは酷だし、マニュアル作成に時間がとられて開発がお留守になるのでは本末転倒だ。また、マニュアルやドキュメントを作るのは別のスキルが必要だ。設定ツールなどは、ディストリビューションで商売している企業が作り、マニュアルは解説本で出す。ユーザはディストリビュータからパッケージを購入し解説本を読んで設定すればみんなハッピーになれる・・・かな・・・