そらそうやろw「mixiまだ使っている人、7割が『毎日利用している』」

mixi startup
WindowsXPのIEも何もかも懐かしいww
 面白いアンケート。というより、分析次第でなんとでも言えることがよく分かる記事だ。こんなんパチンコ屋の開店待ちの行列でアンケート用紙配って「パチンコをする人の大半が一週間に一回以上パチンコ屋に来る」という結果を出すのと一緒だ。

 そもそも、このアンケートをどこでやったのかというのが問題だ。mixiの中のアンケートだったのではないだろうか。mixiの中のアンケートに答えるようなのはそこそこ関心があって今でも継続的にmixiを使っている人だろう。めったにログインしないユーザーはそんなアンケートの存在すら知らない(自分もそうだ)し、知ったとしても興味が無いのでアンケートに答えようとすらしないだろう。仮に会員あてにメールを送ったとしても、関心のない人間がわざわざアンケートの回答をすることはない。 

 そんな偏った母集団で「7割が毎日利用している」って、当たり前だ。煮こごりみたいなものなんだから。その中で満足度聴いても、そらええ答え返ってくるよ。満足度が高い人しか答えないんだから。

 もしほんとに mixi の満足度やユーザーの忠誠度を調べたいのなら、任意回答のアンケートではなく、全員を対象にするか無作為抽出で対象者を絞ったアンケートを行わななければ意味はない。

 まあ、回答数がたったの1879しか得られていないことで mixi がオワコンだということがわかる。

mixiまだ使っている人、7割が「毎日利用している」(ITmedia NEWS) – Yahoo!ニュース

 ミクシィが運営するSNS「mixi」は2004年のサービス開始から急成長し、11年にはアクティブユーザーが1500万人を突破したが、その後はTwitterなどほかのSNSが台頭して利用者が急減。アカウントはあるがもう利用していない“幽霊会員”が大多数とみられる。

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日経ビジネスオンラインのガラパゴスルール「通販王者はセシール」

 そういえば、先日TLを賑わしたトンデモグラフは日経新聞だった。日経ビジネスオンラインがどの程度日経新聞と人事的な交流があるかは知らないが、日経傘下には教育機関があり、日経関連企業の社員はそこで教育を受けさせられるはずだろう。だとしたらこんな記事が出るのは必然とも言える。

悪い例 まあ、右の表を見ていただきたい。この表をみて「セシールがネット販売王者」と思う人はすぐにバックボタンを押して去っていただきたい。時間の無駄だろうから。読んだ後で、「こんな戯言垂れ流しやがって」と苦情コメントを入れられてもうっとうしい。いいですか。注意しましたよ。

 「ネット販売王者」の定義が自分の感覚とずれているのだろう。自分の感覚で「ネット販売王者」といえば、販売実績と顧客が多いことが最大要件だろう。その上で反復購買や満足度といった定性的な基準で評価を補正したものだろう。そう、ツールの個人総合優勝者のようにだ。

 1万6421人もの有効回答数の調査で100件にも満たないものと1割以上あるものの割合を比べてどの程度の意味があるのか分からない。1000件以上のサンプルなのは Amazon だけだ。調査では 30 件未満は対象外としたとあるけど、31件のサンプリングしかないものも上位10位に入っている。31件といえば1件で3%もブレることになる。アホかwww

 セシール、「返品しやすさ」でネット通販王者に:日経ビジネスオンライン
ネット通販で「満足度指数」首位だったのは、カタログ通販を強みとするセシール。64.4点を獲得し、前回王者のJoshin web(ジョーシン)から王座を奪った。
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歪曲記事:PC・スマホ・タブレットなどを同時に使い分けるマルチタスクは脳の認知機能を低下させるおそれ

 元の実験結果とこの記事はかなり印象が違う。この記事では「同時に複数のデバイスを使うことが脳に悪影響を及ぼしている」ように読めるが、研究結果はそんなことを調べてはいない。

 この記事ではデジタルデバイスの並行使用について調べたかのようなタイトルが付いているが、調査はメディア全般について調べられていて、紙媒体やテレビ、音声電話なども含まれている。メディアを同時に長時間使っていればスコアは高くなる。それが、「音楽を聴きながら本を読む」とか「テレビを観ながら新聞を読む」であってもだ(自分が読み違えて無ければだが)。これらを「PC・スマホ・タブレットの同時使用」と考える人はいないだろう。

Graph MMI / ACC volume また研究は、記事にもある通り、アンケート調査とfMRIを使った脳構造の検査しか行っていない。なので、「低下させる」ということは言えない。元の調査には書いていない(ように自分には読めた)。そして、この調査では因果関係は分からない。この記事を書いた人間は相関と因果関係の違いが分かっていない。というか、因果関係があるかのように書いたほうが読者の関心を呼べると思って、歪曲して書いたとしか思えない。

 このグラフが正しいとしても、このグラフからは「PCやスマートフォンなどの複数のハードウェアを同時に使う「マルチ端末同時利用」をよくする人の脳を調べた研究から脳機能が低下しているという事実が明らかにされ」ない。他のストレス要因について考慮していないからだ。

 長時間労働により自由にできる時間が少ないために同時にメディアを使う時間が長いことは「脳の認知機能や社会的感情の悪化」をもたらすだろう。そんな生活環境なら人間関係にも問題を含んでいる可能性が高く、ストレスも大きい。

 どちらが先かは結論づけられない。家庭生活にストレスを抱えて仕事に打ち込む人もいるだろうし、長時間労働により夫婦関係が悪化した人もいるし「ネット依存症とパチンコ依存症 ~プチネット断食のススメ[5]|三谷流構造的やわらか発想法|ダイヤモンド・オンライン」に挙げられるような依存症かもしれない。デジタルデバイスに限らず、メディアに依存しているような人が示す症状は「認知機能や社会的感情の悪化」と一致しているのではないか。

PC・スマホ・タブレットなどを同時に使い分けるマルチタスクは脳の認知機能を低下させるおそれ – GIGAZINE

複数の作業を同時に行う「マルチタスク」は忙しい現代人にとって避けられないことですが、作業効率の低下だけでなくストレスの増加や脳機能への悪影響といった心身への負担が近年、指摘されています。そんな中、PCやスマートフォンなどの複数のハードウェアを同時に使う「マルチ端末同時利用」をよくする人の脳を調べた研究から脳機能が低下しているという事実が明らかにされました。

Higher Media Multi-Tasking Activity Is Associated with Smaller Gray-Matter Density in the Anterior Cingulate Cortex
(PDFファイル)http://sro.sussex.ac.uk/50361/1/KanaiPone.pdf

News : News and events : University of Sussex
http://www.sussex.ac.uk/newsandevents/?id=26540
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ツムツムとソシャゲのあしたはどっちだ

 数ヶ月前に娘に教えられてツムツムをやってみた。タッチパネルを活用したアクションゲームで戦略性はほとんどない。パズドラの拡張についていけなくなった人間にはちょうど良かった。しかし、戦略性が低いことはゲーム自体の奥行きの浅さでもあり、すぐに飽きた。残るのはキャラクター収集だが、課金に誘導するためのハードルの高さに心が折れてしまった。

 このゲームには、プレイを習慣づけるための誘引として日替わりのミッションがある。これをクリアするとボーナス的にコインやアイテム(貯めることでコインに変えたり、プレイ回数にすることができる)を貰える。大体、20回プレイするとクリアできる程度のハードルに設定されているようだった。

 先日、このハードルが動的に変更される事に気づいた。数日間ミッションをクリアせずにいたら、ハードルが下がったのだ。どうやら、個人的なプレイ履歴とミッションクリア履歴を基にハードルを調整するようだ。こうすることで、プレイを継続するやる気を保持させて、脱落者を減らすという作戦だろう。

 「ここまできたか」というのが正直な感想だった。レアアイテムの出現確率を操作して深みにはめることをやっているというのは知っていたが、それらが適用されるのはヘビーユーザーだけかと思っていた。Amazon がやっているような個人別の購買履歴から行動を予測したり、需要を喚起したりするアルゴリズムの応用といえるだろう。

 ひょっとしたら、A/Bテストを行っているかもしれない。というか、自分がソシャゲ会社にいたら絶対にやる。報酬(ミッションやボーナス)はランダムに表示されることにしておいて、どの程度の報酬をどの程度の頻度で提示すれば「はなれ」を防げるか。課金に繋げられるかを検証できるだろう。

 うまく運用すれば、パズドラのようにインフレさせることなく、キャラクターの追加頻度も下げられるかもしれない。

新入社員に優しい「ホワイト企業」トップ300www

 とりあえず、「新入社員に優しい「ホワイト企業」トップ300 | ランキング | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト」をお読みいただきたい。このリストを見て疑問を抱かなかった方は「日本企業を襲う「自分のアタマで考えない」病」をお勧めする。もちろん、こんな記事を書いた担当記者も載せた編集長にも。

 このリストの問題点は、数字に対する感度の鈍さだ。100人が100人残っている会社と3人が3人残っている会社を並べている。一人でも退職があったら126位になる。入社人数が少ない企業の場合は、一人で退職すれば大きく比率が下がる。バラツキが大きすぎる。300人採用して100人辞めた企業と3人採用して1人辞めた企業と同じにしていいとは思えない。100人辞めた企業には問題があると思われるが3人のうち1人が辞めた企業を同列と見るべきとは思えない。3年もすれば個人的に辞めざるをえない事情を抱える人もいる。採用数の少ない企業でたまたま家庭事情で辞めた人がいたのと大量採用してふるいにかけるような環境のところとを同列にすべきではない。

 毎年1人の採用を続けている企業があったとして、対象の年度の社員が交通事故のような不慮の事故で退職したら、残留率ゼロのブラック企業になり次の年は 100% で 1 位に返り咲きだ。職場の「優しさ」などこれっぽっちも表していないことが分かるだろう。突発的な変動が影響をしないくらいの人数を採用した企業同士で比べないと意味が無いのだ。

 数字は便利だ。特にExcelでの集計で説得力の有りそうな資料が簡単にできる。集計用紙を使って手計算をしていた時には上位300などというアホなものは作らなかっただろう。新卒採用が50人以上の企業に絞るとか、採用人数上位50社とかにしていたはずだ。そして、そのほうが資料としての価値も高かっただろう。

タブレット端末に関するリサーチバンクの(ダメ)調査

 日本の「調査」の常として基本的な統計情報が提示されていない。調査方法と、サンプルの抽出方法、設問、誤差が書かれていない。調査方法とサンプリングは母集団を想定する時に大きく関わってくるところなので記事にする時には必須だと思う。また、数値の比較を行う場合には誤差を抜きにしては判断を誤る。以下は全て、自分の予想で書くチラ裏であることをお断りしておく。

 調査は、登録したユーザ宛にメールを送信し、サイトに誘導して行われたものだろう。この時点で、パソコンと回線を持っている人が母集団ということだ。これだけでも下記のことが予想される。日本人全体の意識調査とは言えない。

  • パソコンによるネットアクセス環境がある
  • ネットアクセスに抵抗のないユーザであり、パソコンに対して親和性が高い
  • この調査にはタブレットだけを保有している人の意見は反映されていない。
  • この調査にはパソコンもタブレットも保有していない人の意見は反映されていない。

 つまり、既にパソコンやネット回線に対して支出をし、パソコンでなら追加投資なしにネットを使えるのだ。その人達にとってタブレットは純粋に追加投資なのだ。両方無い人に、Aパソコンだけ買う、Bタブレットだけ買う、C両方買う、D両方買わない。と聞いたらCよりAかBになって、Aという人はBよりどれくらい多いかは分からないだろう。
 

タブレット端末に関する調査。51%がタブレット端末を使っていても、ノートパソコンは必要と回答。|リサーチバンク
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北条かやさん、ちょっとくらい調べよう|「売れない電子書籍、ライバルは中古本?」

 japan.internet.com の元記事を見ればこの記者の分析がアホなのはよく分かる。japan.internet.com のページも統計調査の結果としては不十分だが、販売用の見本だから調査自体について批判するのは見当違いだろう。この調査については別のエントリに書きたい書いた

 記事の前半部は取るに足りないアホ分析。北条かやさんはjapan.internet.com の調査を遡って確認しなかったのだろう。その根拠は下の表を見れば分かる。「読みたくない人の率」は一貫して増えているわけではない。傾向はほとんど読み取れない。
電子書籍意識調査

電子書籍意識調査 電子書籍の普及が進まない理由のひとつに古本を持ち込んだのは正しい。出版社の売上だけで出版不況を論じている多くのマスコミよりはましだ。

 しかし、これを電子書籍が普及しない理由にするのは間違いだ。それは右のグラフを見れば分かる。「電子書籍を読んだことがなく、今後も読まない」と思っている 492 人のうち電子書籍が高いからという理由を挙げているのは 10.2% 50人しかいないからだ。電子書籍を買わない理由として「そもそも書籍/雑誌を読まない 25% 125人」の半分以下だ。しかもこの調査項目は複数回答だ。複数回答で10%程度しか支持を得ていないようなことは解決すべき大きな課題ではない(このグラフにはもっと興味深い意識がありそうなので別エントリに書きたい)。

 Amazon の中古本流通について調べたことがあってそれを書きたかっただけだろう。また、表題を付けた人間がアホなだけかもしれない。

売れない電子書籍、ライバルは中古本?EconomicNews(エコノミックニュース)
2013年11月03日 16:05
「電子書籍元年」と言われた2010年から3年経つ。だが紙の本をおびやかすほど、電子書籍が普及しているかといえば、答えは「否」だ。それどころかこの2年間で人々の電子書籍に対する関心が低下していることが、インターネットコムとgooリサーチの調査で明らかになった。
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電子書籍調査定点観測をウォッチする夜

 興味深い調査だ。調査自体は安直なネットアンケートでしかないが(金を払えば見せてくれるのかもしれないが)、同じ調査項目を定期的に行っていることは評価できる。

 「電子書籍経験者」と「電子書籍非経験者の内読みたい意向のある人」を「読みたい」としているのは乱暴だ。これでは「電子書籍を読んだことはあるが今後読みたいとは思わない」人を「読みたい」にカウントしてしまう。「今後電子書籍を読みたい」と感じている人はもっと少ないかもしれない。

 調査方法に問題があるのかサンプリングに問題があるのかわからないが「電子書籍を読んだことがある」という人数が誤差と思えないくらい減っているのは謎。「読んだことがある」という人は一度でも読んだらそのまま一生「読んだことがある」はずなので、基本的に減るはずがない性格の設問だ。一回目の調査がおかしかったのかもしれない。

 後、基本的な調査結果の記事として誤差を示さないのは問題がある。また、サンプル数が少ない電子書籍端末保有者の調査は母数が20程度しかないので小数点以下のパーセントで表記するのはほとんど意味が無い。一人の違いで5%動くようなものはパーセント表記すべきではない。数字にすればもっとはっきり分かるはずだ。一向に増えない利用者と利用希望者―定期調査「電子書籍」(9)にあるグラフと印象を比較して欲しい。

電子書籍端末調査結果

 注意すべきはこの調査がインターネットのアンケートサイトで行われているということだ。答えている母集団は少なくともインターネットにアクセスしてアンケートサイトに答えるだけのリテラシーは持っているということだ。どちらかというと電子書籍に馴染みやすい層だと思われる。にも関わらずこの結果ということは、日本で電子書籍が普及するのは相当先のことになりそうだ。

アホ分析:地域ごとにみるアメリカの教育水準

 分析がアホ過ぎる。大学を出た人間が大都市圏で就職するだけだろう。また、大学も州立はともかく私立の学校は大半が大都市圏にあるだろう。田舎で高校を卒業した人間が都会の大学に行きその近くで就職するというだけのことだ。

 記事の全般の高校卒業者の分布率についても、その地方の高校生のドロップアウトが多いかどうかはこの図からでは分からないはずだ。なぜなら、この図は26歳以上の学歴についての調査結果だからだ。高校を出た30%が大学に行くのなら当然ながら高校を卒業した人間も大学の分布に比例して都市圏に集中するだろう。また、産業の構造として、酪農や農業、石油などの比率が高いところは高校を卒業していない人が就職口を求めて移動する可能性が高いのではないだろうか。

 地方の教育水準を調べるなら高校を卒業する比率(これを調べればドロップアウト率も分かる)と大学への進学率だろう。大学卒業後に住んでいる場所は教育水準を示さない。

こんなに差があるなんて! 地域ごとにみるアメリカの教育水準 : ギズモード・ジャパン
ひとくくりにはできません。

アメリカの国土は日本の約25倍。広大な国だけにそれぞれの地域に異なる特色がありますが、教育水準は地域によってどれくらい違うのか? ステレオタイプや偏見を抜きにして、国勢調査に基づく数字を地図の上で確認してみましょう。

この地図は米国勢調査局の新しいインタラクティブなデータマッピングツールを使って、アトランティック誌が作成したもの。各州の各郡で26歳以上の成人のうち、高校卒業あるいはそれと同等のプログラムを終了した人の割合を示しています。濃い色ほどその割合が高く、薄い色ほど低いことを表しています。

こうして見ると南部は高校を卒業する人の割合が少ないですね。アトランティック誌はメイソン・ディクソン線からテキサスにかけて色の薄い部分を「南部のドロップアウト・ベルト」と呼んでいました。

一方、下の地図は大学を卒業した人がどこに集中しているかを表したもの。やはりというか、東海岸とメジャーな都市に集中しています。中西部ではコロラドが大健闘していますね。コロラドは従来の農業・畜産業に加え、1990年代からの軽工業や観光業に力を入れて経済を多様化、最近ではハイテク産業が盛んなので人が集まるのでしょう。

国全体では31%の人が大学を卒業しているアメリカですが、大部分の郡では、大学の学位を持つ人は5人に1人もいないのが現状。地域によってこんなに差があるんですね。
201416_01

本:「ヤバい統計学」は全然ヤバくない。

http://ecx.images-amazon.com/images/I/41PhpxvzNxL._SL160_.jpg Kindle を日替わりセールで買っていたヤバい統計学をやっと読み終わった。気温に正比例して電車での読書の時間が減ってしまうから時間がかかってしまった(読み終わってからもだいぶ経っている)。

 胡散臭い感じのタイトルで定価の紙本だったら絶対に手を出さなかっただろう。しかし、原題の “Numbers rule your world” が示すように中身は至って真面目な本だった。統計学の教科書ではないので公式や数式はないが、「統計学者はこんな視点でものを見る」ということが例を引いて丁寧に書いてある。多くが実生活上の非統計学者の直感と相容れないものも多いが、説明されるとなるほどと思わされるもので興味深かった。

 ディズニーワールドの待ち時間を最短にする回り方を研究している統計学者とか待ち時間を負担に感じないようにさせるためのディズニーの統計担当者、高速道路の運送効率を高めるための方策やそれに対するドライバーの意識、飛行機の安全性に対する統計学者の意識などは特に面白かった。

 そして、ドーピング検査はこの本が出てからもランス・アームストロングを始め、多くの選手が自身が黒であったことを告白しており、複雑な気持ちになる・・・