本:おしゃべりな宇宙 常識はずれ

 「おしゃべりな宇宙―心や脳の問題から量子宇宙論まで」を読んだ。興味深い話題満載だが、特に興味深い所を引用する。ぜひお買い上げいただきたい(自分は図書館で借りたが)。

 自分の中の「常識」や偏見が覆される痛快なフレーズに満ちている。「常識」が単なる偏見と浅い思考の産物でしかない事が分かる。

 「生命には酸素が絶対必要だという常識的な考えは、歴史の記録を完全に歪めてしまっている。そもそもその辺に浮かんでいる酸素など、この地球にとって新参者であり、太古の緑色植物が大気中に吐きだした毒気のことなのだ。また、大気中に吐きだされた二酸化炭素は、地球を「汚染」するという昔ながらの知識とは反対に、実は大気を自然な状態に戻すのである」

 一番面白かったのが「もちろん人類は地球にとって「自然」の存在ではないのだから、大気が自然な状態に戻るといった劇的変化には耐えられない。まあしかし、そんなことは宇宙全体から見れば取るに足らないことなのだ。」という一文。環境保護至上主義者やキリスト教原理主義者、「意識の高い人」などが聞いたら卒倒しそうだwww

 もちろん、これらは警句として反常識的に書かれている。自然を原初の地球と定義すれば人類は「反自然」だが、自然の変化に対応して進化してきた人類も自然の一部だ。これからどんな生物が地球上の覇権を握るかは分からないが、その時々の地球の環境に合わせて生き残ったものならそれらは全て「自然」といえる。数億年語の地球が氷に覆われているか海の面積がほとんどなくるほどに蒸発した状態かは分からない。どちらにしても人類は絶滅するだろうが、その状態もまた自然だろう。

 宇宙レベルから考えれば、惑星上の生物の生成も滅亡もとるに足らないことでしかない。「地球を大切に」などというスローガンは近視眼的な利己主義でしかない。ただ、人類がここまで築き上げたものを失いたくないなら、目の前の自然を大切にするしかない。だから、自然環境の保護はこの視点から行うべきだ。「人類が生き残れるように環境を保護しよう」というのが環境保護の目的だ。ここからスタートすべきなのだ。

P55 常識はずれ
 科学者を蹟かせるものが山つあるとしたら、それは「常識」だろう。常識は真実にいたる道のおよそ当てにならない案内人として、科学の歴史に繰り返し登場してきた。

 天文学を例にとってみよう。一八二五年フランスの哲学者オーギエスト・コントは、人類は星が何でできているかを決して解明できまいと断言した。これほど合理的な言い分もあるまい。なにしろ実験室で分析しようにも、星は遠すぎて手が届かないからだ。

 ところがそれから百年も経たないうちに、天文学者たちは星の発する光のスペクトルの明暗を読み取って、そこから星の構成要素はおろか、その温度や年齢、運動まで探りだせるようになった。

 では生物学はどうか。十七世紀にオランダの科学者レーウェンフックが簡単な顕微鏡で唾液を観察し、人体に多種多様なバクテリアが潜んでいることを発見したのだが、それまではそんなことが起こっているなど、いったい誰が想像できただろう?けれど今日の私たちは、地上や海中に住む地球上の生命体の大部分が、顕微鏡をとおさなければ目に見えないことをちゃんと承知している。私たち人間みたいな毛のはえた哺乳類なんぞ、およそ不格好な例外にすぎないのだ。

 もっと近年になると、生物学者は、生命というものは太陽の光と酸素がなければ絶対に生きていけないという常識的な結論に達した。ところがそう結論したとたんに、海底の完全な暗闇の中、他の穴から吹きだし、熱く煮えたぎる硫黄の蒸気によって繁殖する生命体の集団が見つかったのである。事実、生命には酸素が絶対必要だという常識的な考えは、歴史の記録を完全に歪めてしまっている。そもそもその辺に浮かんでいる酸素など、この地球にとって新参者であり、太古の緑色植物が大気中に吐きだした毒気のことなのだ。

 また、大気中に吐きだされた二酸化炭素は、地球を「汚染」するという昔ながらの知識とは反対に、実は大気を自然な状態に戻すのである(もちろん人類は地球にとって「自然」の存在ではないのだから、大気が自然な状態に戻るといった劇的変化には耐えられない。まあしかし、そんなことは宇宙全体から見れば取るに足らないことなのだ)。

 比較的安定した地球や惑星を研究する地質学者ですら、常識が生みだす危険を避けられなかった。なにしろ彼らは、大陸が動きまわって遊園地のバンパーカーのようにぶつかり合っては、その過程で地震を引き起こしているという(一見とんでもないが)紛れもない事実を、最近になってやっと信じはじめたぐらいである。

 それでは、火星からやってくる、太古の化石を思わせる模様のついた岩石はどうだろう?隕石が偶然にその赤い惑星にぶつかって弾き飛ばしたかけらが、太陽系を一六〇〇万年ものあいだ漂ったあげく、やっと南極の氷原に落っこちてきたのだ、というのが惑星科学者の解釈だ。ところがつい二、三年まえまで、学者たちは火星の破片が地球に届くなどとは頭から信じていなかった。しかし今日の推定では、毎年約五〇キロもの火星のかけらが、地球に降り注いでくるのである。

 しかし、そのなかでも常識をあまりに度々ひっくり返すので最も悪名高いのは、数学者だろう。まず明らかに理屈にあわない「負数」を発明したのが第一(マイナス二個のリンゴを持っているとは、そもそもどういうことだろう?)。それから今度は「π(パイ)」のように永遠に尽きない無理数を発見してのけた。伝説によると、この無理数という文字通り無理なアイデアは当初、太陽の周囲を球形の地球が回転するという理不尽なアイデアと同様の扱いを受けたそうだ。そんなとんでもない考えを言いだした科学者は、嘲られるか、もっとひどい目にあわされるのがおちだったのである。

 今日の数学者は虚数をはじめ超越数、他のすべての無限大よりもっと大きな無限大から、二〇次元の幾何学にいたるまで、すべてを受け入れている。かつては幽霊みたいな「無限小」を扱う不条理な学問だとして非難されていた微積分も、今では高校で必ず教える科目になっているのだ。

 自然にとって人間が考える「常識」など何の意味もないというこの真理は、人をたいへん不安にする。だが、偉大な科学者の面々は、私たちよりずっと寛容にこの真理を受け入れるようになってきた。

 アイザック・ニュートンは、「何もない空間に広がる目に見えない力」という考えに基づく自分のとんでもない重力理論など正気の人間なら誰一人信じはしまいと、自ら予言したぐらいだ。けれどもこのニュートンの考えだした理論こそ、NASA(米航空宇宙局)が火星へ宇宙船を打ち上げることを可能にし、また、火星の岩石を南極に送り届けたのである。ここで私たちが肝に銘ずべきなのは、理屈に合おぅと合うまいと、当たりまえであろうとあるまいと、もしうまくいくようなら、それはおそらく自然が意図したことなのだ、という教訓である。

 物理学者のフランク・オッペンハイマーは、科学であれ社会政策であれ、とにかく「常識」に従って世界をあるがままに受け入れろと人に言われるたびに腹を立てた。そして、繰り返しこう言って聞かせたものだった。「常識的な世界なんてのは本当の世界じゃないんだ。そんなものはしょせん人間がでっちあげたものなんだよ。」

本:おしゃべりな宇宙 不自然とは

おしゃべりな宇宙―心や脳の問題から量子宇宙論まで 「おしゃべりな宇宙―心や脳の問題から量子宇宙論まで」を読んだ。興味深い話題満載だが、特に興味深い所を引用する。ぜひお買い上げいただきたい(自分は図書館で借りたが)。

 このエントリでは「自然」に対する鋭い洞察に触れることができた。「自然」を無条件に礼賛する姿勢はここでも批判的に取り上げたと思う(未来の生き物)。

 大半の点で前から感じていたことだが、一つ大きな気付きがあった。それは、「地球の前住人である微生物が酸素と呼ばれる「毒」ガスで地球を汚染したからこそ、その酸素のなかで繁栄する私たち人類とその祖先は進化できたのだ。」という点。よく考えれば当然なのにこの発想はなかった。地球大進化で地球ができてから早い段階で栄えた種が酸素が増加するに連れて絶滅したという話を聞いていたのにだ。

 次の「今のこの時点が別に特別だというわけではない。私たちは皆、どこからか来てどこかへ行く途上にあるのだ」というのも同感。関心空間に書いた漂流教室への批判と同じ視点だ。そして、環境キャンペーンに感じる胡散臭さもここから来ている。彼らが何を維持しようとしていて、何のために維持しようとしているのかを明らかにせずに現状や現在の人類を特別視する考え方には違和感がある。マーク・トゥエインが「”神様の特別な思し召し”この言葉を聞くと、私は吐き気がする。人間がいかにも重要な存在で、神が軽薄な存在だと言ってるかのように聞こえるからだ。私の考えでは、この無数の天体は、神の動脈の中を漂う血球にしかすぎず、我々人間も、その血球にすくい、それを冒し、それを汚染している極微生物にしか過ぎない」と述べたのと同じだ。

 最後に、遺伝子組み換え食品についても、簡潔にまとめられている。自分の考えもこれと同様。「遺伝的組み替えの真の問題は、それが安全か、有効か、その利益はリスクを犯すほどの価値があるか、ということである。」遺伝子組み換え食品を全否定するのは、品種改良を否定するのと同じくらい愚かなことだ。

P308 不自然さ
 これほど豊かな自然界の誘いを無視できる人がいるだろうか? 草の輝き、かぐわしい牧草のかおり、ほとんど罪深く感じられるほど柔らかな薔薇の花びら。日曜日の朝市のうっとりするような匂いや、公園で戯れ、入り乱れて駆けまわる犬たちの匂いには、どこかしら心を惹かれるものがある。木目の美しい床や、暖炉、海の眺望ほど、家の売れ行きを早めるものはない。

私たちが人工品を嫌うのは、ごく自然なことだ。人工品を見ると、まるで肌を逆撫でされたような気持になってしまう。だから、最近増えてきた遺伝子組み替え作物を、人々が不安に感じるのも決して不思議ではない。それに対する抗議運動はヨーロッパ中のあちこちに芽生えており、フランスではそうした産物を「フランケンフード」と呼びだすありさまだ。そのような遺伝子は、トウモロコシを害虫から守るのかもしれないけれど、やっぱり細菌の遺伝子で「質を向上させた」トウモロコシを食べるのは、どうも気色が悪い。

ただし、私たちは次のようなことも念頭におく必要がある。つまり、ダリアや飼い猫はもちろんのこと、農夫の露店から私たちを招くうまそうなメロン、トウモロコシ、トマトなどは、完全な「有機栽培」と銘打ってあっても、どれ一つとして「自然」なものではありえないのだ。異種交配による遺伝形質の操作は、別に今はじまったことではなく、ほとんど文明の歴史ほど古い。白桃だって、私の台所の戸棚に入っている「自然食品」というふれこみのシリアルが木に実るわけでないのと同じに、「自然」な果物とは言えないのだ。パンやワイン、それにピーグル犬のどこにも、自然なところなどありはしない。

 しかしそれを言うなら、この私たちにも「自然」なところはちっともないのである。実のところ、地球の前住人である微生物が酸素と呼ばれる「毒」ガスで地球を汚染したからこそ、その酸素のなかで繁栄する私たち人類とその祖先は進化できたのだ。

これを聞いて頭がこんがらかってくるとしても、それはもっとものことだ。おまけにそれは生き物の世界に限ったことではない。たとえば、ほとんどの人はプラスチックが絶対に「不自然」なものだと言う。しかし、化学者のロアルド・ホフマンの指摘どおり、プラスチックの大部分は石油製品からできており、その石油は太古の植物が何百万年ものあいだ地球の臓腑の中で醸成されたあげくできあがったものなのである。したがって、ある意味でプラスチックは木に実ったことになる。

 物理学者でさえ、長いあいだ「自然」の法則をめぐつて混乱を続けてきた。たとえばアリストテレスは、雲のように軽いものが空に浮かび、岩みたいに重いものが沈むのは、「自然」だと思いこんでいた。また天体が輪を描いて動くのも「自然」なことだと信じていた。後の物理学者たちは、岩を地に、惑星を軌道に引きつけているのが、重力だということに気がついた。岩も惑星も「自然」のまま放っておけば、ただあてどなく宇宙にフワフワ浮かぶだけなのだ。それからさらにのち、アインシュタインは落下する物体や軌道上を回る惑星が、湾曲した四次元の時空に刻まれた「自然な」経路にしたがって動いているだけだということを発見した。一事が万事このとおりである。

 今日物理学者たちは、宇宙を構成しているいわゆる素粒子に不自然なところを見つけはじめた。地球上のすべてのものは、お馴染みの電子、陽子、中性子からなっている。けれどこうした粒子は一つ残らず、もっと重い「従兄弟分」をもっているのだ。それがなぜなのかは誰も知らないけれど、とにかくこれは不自然に見えてしかたがない。こうした「余分の」粒子の第一号「ミューオン」が発見されたとき、物理学者Ⅰ・Ⅰ・ラビが「だれがこんなものを注文したんだ?」と言ったのは有名な話だ。それ以来、物理学者はいまだにその間いに答えようと努力を続けている。アインシュタインによると、彼が最も答えたいと思う質問は、宇宙を創造したとき神にはもっとほかに選択の余地があっただろうか、ということだった。そもそも私たちはミューオンをもつ必要があったのか? 重力がもっと強いことがあったのだろうか?言い換えると、自然の法則自体、世界の「自然な」特徴なのだろうかということだ。それとも別な宇宙であれば、自然の法則も異なっていたのだろうか?

 何が「自然」であるかは、むろんその前後関係による。カウンターの上の角氷が溶けるのは自然だけれど、北極で溶ければこれは不自然だ。アメリカ大陸を最初に占領したヨーロッパ人にとって「自然」だった病気も、「自然」な抵抗力がなかった原住民のあいだでは、死病となって広がったのである。

 また数学にすら「自然」な数と「不自然」な数がある。好んで自然数(正の整数として定義される)ばかりに偏っていようものなら、私たちは代数は言うに及ばず引き算さえもできなくなってしまう。

 でもこのようなことと、遺伝子を組み替えた食べ物と、どんな関係があるのだろうか?私たちが世界的な農業関連産業の動機や方法に疑いの目を向け、進化をいじくりまわして未知の遺伝的雑種を野に放つ危険を懸念するのは、おそらく賢明なことだろう。

 ただし自然とか不自然とかいうことが肝心なのではない。遺伝子の組み替えは、常時起こっていることなのだ。恋に落ちるのも、種を遺伝的に改善する自然の方策だと言える。それをコントロールするのが、たち騒ぐホルモンであろうと、試験管のなかでこしらえた誂えのDNAであろうと、どこが違うというのだろう?

 われわれは進化する、ゆえにわれわれは存在する。その他のすべての植物も動物もまたしかり。トウモロコシであれ、人類であれ、犬であれ、どんな種の歴史であろうと、今のこの時点が別に特別だというわけではない。私たちは皆、どこからか来てどこかへ行く途上にあるのだ。遺伝的組み替えの真の問題は、それが安全か、有効か、その利益はリスクを犯すほどの価値があるか、ということである。

 もしかすると神は、宇宙の進化をどう指揮するかについて、選択の余地がなかったのかもしれない。けれど人間にはその余地があるのだ。

人類ピクミン化計画でしのげ|人類は資源浪費と貧富二極化で滅亡する

e3ed4e2d 人類が滅亡することは分かっている。自分が死ぬことと同じくらいに確かなことだ。しかし、ここで上げられた原因には違和感がある。これらは、人類が築き上げたシステムを崩壊させはしても種レベルの絶滅を招くとは思えないからだ。なぜなら、資源浪費や格差による人口減少が起きても、人口が減れば均衡する。経済システムが崩壊すれば格差は自然になくなる。分業による経済が崩壊して自給自足になった時点で貧富の二極化は解消される。

 人類が生物レベルで絶滅するには、全球凍結が起こるくらいの環境破壊が無ければないだろう。地球温暖化も現在の人口を維持することが前提だから問題だが、途上で起こる人口減少による人類的環境負荷低下と必要資源の減少とがバランスするのではないだろうか。もちろん、そのじてんで現在のような経済システムは全滅し人口は1/100以下になるだろう。その途上では激烈な生き残りの戦いが繰り広げられるに違いない。

 まあ、そんなことにならなかったとしても、天体が衝突したらリセットされるし、太陽の寿命が尽きればゲームオーバーだ。人類は、自分たちがピクミンだと思わなければならない。

やっぱり人類は滅亡することがNASA出資の調査で判明。資源浪費と貧富二極化で : ギズモード・ジャパン

文明生活をエンジョイしているみなさま、ご機嫌よう。

人類文明はこのままいくとあとウン十年で崩壊することが、NASAゴダード宇宙飛行センター出資の最新調査で明らかになりましたよ。まあ、今のうちに、エンジョイ。

なんでも、現代の工業化社会は持続不可能な資源消費欲求の重みに耐え切れなくなって崩壊する運命にある、貧富の二極化がこれを加速しており、この崩壊におそらく逆戻りはないだろう、というんですね。
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Go science go!! 使うのは人間。

 前にも取り上げた気がするが検索してもヒットしないので書いておく。この動画のコメントで一番好きなのは “Go science go! This is where you go to” だった(一部間違ってるかもしれないが見当たらない。書いた人がアカウントを消したのか・・・)。

 3D プリンタはただの道具だ。作ったのは 3D プリンタを使って義手を作った医者(技師)だ。小さな子のために軽い義手を作ってあげたいと思った人の心がこれを可能にしたのだ。超能力も奇跡も要らない。というより、超能力者も霊媒師も義手は作れない。

 これは、宗教家が安息を祈っても風疹の流行を止められないのと一緒だ。卑近な人間が積み上げた知識と技術で作り上げたワクチンだけが食い止められるのだ。

受けよう予防接種!! 西宮市の助成金制度は残念感が漂うがないよりはマシ。

※このエントリは2014年に書いたものです。最新情報は西宮市のホームページでご確認ください。

moyashimon stop fuushin とりあえず、風疹予防接種をするのはいつ? 今でしょ! オリゼーも推奨するっしょ!を読んでいただきたい。

 助成金制度があるかもと思って調べてみたら残念な事実が判明。ないよりはマシだが効果的とは言いがたい内容だ。しかし、ないよりはマシ。該当する人は是非今のうちに受けときましょう。他の自治体でも助成金を出してくれるところはあるので積極的に受けていただきたい。

 50歳を超えたようなおっさんどもは、「助成金が出ないから」などというミミッチイことを言わずに大人射ちして欲しい。パンデミックの原因になるなんて恥ずかしい。若い世代を「ゆとり世代は」とか大人ヅラしてふんぞり返りたいならやることをやってからにしろ。大体、俺らの年代は上の年代から「会話が通じない新人類」とか呼ばれてきた世代だ。経済的合理性とか効果がとか副作用がとかいうような理屈は通用しないだろ。

 自治体によって助成の条件が異なるかもしれないが、残念ながら、西宮市の助成金は不十分だ。若い女性の接種率を上げるというのが最重要というのは当然だ。女性は全員射って欲しい。しかし、それだけでは感染症の予防としては不十分だ。抑えこむために重要なのは接種率をいかに100%に近づけるかだ。この西宮の方針では、妊娠に無関係な世代にアピールが弱い。

 子供のできる都市の夫婦でなくても子供の世代が妊娠する可能性はある。中間の世代であっても姉や妹が妊娠する可能性はある。更に、独り暮らしだからといって安心してはいけない。会社の女性社員が妊娠する可能性もあるし電車で乗り合わせた助成が妊娠初期の可能性だってある。自分が菌をばらまくのはそれらの人たちを傷つけるのと一緒だ。

 もちろん、世の中は迷惑をかけたりかけられたりで成り立っている。しかし、それはお互い様といえる事柄についてだ。ワクチンを射てば済むものを面倒がって射たないで、「お互い様でしょ」は通らない。風邪のように予防薬が開発されていないものについてはお互い様としか言いようがない。マスクをして咳をするときにはハンカチで押さえるといったマナーを守るくらいしか手立てがないのだから。

 が、風疹は違う。風疹は統計学的に有意と証明されたワクチンがある。それを摂取することによる副作用の可能性は、射たないで放置することよりはるかに大きいことが分かっている。副作用が怖いから射たないというのは愚の骨頂だ。今、日本では結核や日本脳炎や狂犬病で死ぬ人はほとんどいない。中世では国の人口が半分以下になったコレラやペストも今ではほとんど聞かない。野口英世が無くなった黄熱病も暗い歴史が未だに残っているハンセン病も克服された。これを支えたのが予防接種やワクチン注射だ(医学的に正確な表現かどうかは分かりません。間違っていたら教えてください)。

 なお、女性にだけ予防接種をしても効果は薄い(無いとは言わない)ことはブラジルで証明されている。女性全員に風疹の予防接種を行う制度では食い止められなかったために国民全員に予防接種を行うこととし、成果を上げた。

西宮市ホームページ:風しん・麻しん風しん任意予防接種費用助成制度請求受付がはじまりました ~6月1日以降の接種分が対象です~
現在、風しんが流行しています。風しんは、妊娠初期の女性が感染すると、赤ちゃんに難聴や心疾患、白内障、発達障害などの障害(先天性風しん症候群)が現れる可能性があります。西宮市では、予防対策として以下の対象者の方に対し、風しんまたは麻しん風しん混合ワクチン予防接種に必要な費用の一部を助成します。
これらの予防接種は任意の予防接種です。接種を希望される場合は、医師から効果や副反応について十分な説明を受け、ご理解ご納得いただいたうえで接種を受けてください。
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風疹予防接種するのはいつ? 今でしょ! オリゼーも推奨するっしょ!

風疹で障害の赤ちゃん40人に
1月22日 16時21分
風疹の流行の影響で赤ちゃんに障害が出る症例が全国で相次ぐなか、新たに2人の赤ちゃんが「先天性風疹症候群」と診断され、おととしからの流行で障害が出た赤ちゃんは全国で40人となりました。

風疹は、妊娠中の母親が感染すると、赤ちゃんの心臓や目、耳などに障害が出る「先天性風疹症候群」になるおそれがあり、去年の春から夏にかけて風疹の流行がピークとなったことから、この冬にかけて生まれる赤ちゃんへの影響が心配されています。
こうしたなか、埼玉と東京の医療機関からそれぞれ1人ずつ、合わせて2人の赤ちゃんが「先天性風疹症候群」と診断されたと自治体に報告があったということです。この結果、おととしから続いた流行で「先天性風疹症候群」と診断された赤ちゃんは全国で40人となりました。
日本周産期・新生児医学会では、風疹で障害の出る赤ちゃんは今後も増えるおそれがあるとして、医療機関での対応の方法をまとめた産科や小児科の医師向けのマニュアルを作り、赤ちゃんを早期に診断して治療や支援につなげるよう呼びかけています。

 「今でしょ」というのはネットでしか知らなくてこの動画で初めて見た。短い時間で必要十分なメッセージを口頭で使える技術が素晴らしい。付け加えることは何もない。

 下をよく読んでどう行動するか考えて欲しい。なお、この画像はもやしもんの作者石川雅之氏が公開されている画像。太っ腹なことに拡散自由だ。中の数字は2013年のものなので注意いただきたい。2014年以降がどのような数字になるかは分からないが、ワクチン接種率を上げない限り、数字が下回ったとしても単なるラッキーパンチでしかない。(石川先生よりご指摘頂きました)

moyashimon stop fuushin

風疹の予防接種を受けた

MR-injection 2013年の流行の時から気になっていた風疹の予防接種を受けた。単独のワクチンはないということで MRワクチン(風疹、はしか混合ワクチン)だった。

 ワクチンは常備していないということを先日インフルエンザの予防接種をした時に聞いていたので、昨日の昼休みに窓口で予約した。その時に窓口の人が電話をして在庫を確認し、今日の午後に届くということで、夕方に予約していたのだ。

 17時35分位に病院に行った。マスクをしたしんどそうな人が入れ替わり立ち代わり待合室に来たり帰ったりしていった。5分くらい待って、診察室で注射。注射は献血の針に比べたら蚊の針ようで大した痛みを感じることもなく終わった。その後、15分程度、急性の副作用が出ないか確認のために待合室で待たされた。が、風邪かインフルエンザか分からないが、症状が出てしまっている人が4〜5人もいる所にいるのは他のウィルスをもらうだけなのではないだろうか(^^;

 因みに、自分は配偶者が妊娠しているわけではなく(というか配偶者がいない)、もちろん自分が妊娠しているわけではない(男だからな)ので自治体の補助は受けられない。自費で 8,000 円だった。これで、自分が知らないうちに風疹の菌をばらまく心配がないというだだけでも十分に価値がある。

アンドロメダはこんなに大きくて近い

photo_andromeda こんな視点は無かった。地球からの視野角が月より広いというのは知らなかった。どんだけでかいねん。

 40億年くらいしたらアンドロメダは天の川銀河と衝突するらしいが、この写真を見てさもありなんと思った。銀河系とアンドロメダ銀河の衝突合体のように一つの銀河系になるそうな。天体同士の衝突ということはほとんど考えられないくらい低いらしいが、近くの空間で新星が発生したら夜空は華やかになるんだろうな。それでなくても、衝突後期には数十万光年先に発生するクエーサーの明かりが満月を上回る輝度で観られるほどの明るさになって銀河系を照らすらしい。他の銀河系に生まれた生命体によってはこのシミュレーション動画のような姿が観測されるかもしれない。

andromeda 銀河×アンドロメダ星雲衝突は約40億年後。そのとき地球の空はこんなすごいことになっている(NASA):GIGAZINEの上の動画は更に面白い。もし、地球上に今の人類と同じ視覚をもった生命体がいたら観られる夜空らしい。実際に肉眼で見たら今の天の川もあんなに暗いのだから天の川が交差するような感じでしか無いだろうが。それに、人間の寿命のスパンは動画のワンカットを一生見続けるということでしか無い。

 途方も無いスケールだが、アンドロメダ銀河と天の川銀河の距離とそれぞれの大きさを考えると宇宙空間では衝突しても不思議がないくらい隣接していることが分かる。隣接しているというより太陽系ができる前の銀河系形成時からお互い引き合って近づいて来ている最中ということなのかもしれない。それは下の図を見れば分かる。野球のボールとゴルフボールを野球のボール10個分の位置に並べたようなものだ。
distance-galaxy

ただし、太陽の巨大化に伴い地球の温度が上昇しアンドロメダ銀河と衝突するはるか前に現在の動物が生きられる環境ではなくなっている(二酸化炭素による温暖化とかいうレベルではない)ので、劇的な生態系の進化が無ければ見ることはできないだろう。タイムマシンが開発されてもこんな先の地球に行ったら即死だ。

本:ブラックホールで死んでみる

death by black hole

 ブラックホールで死んでみる―タイソン博士の説き語り宇宙論 ニール・ドグラース・タイソン 吉田 三知世 を読み終わった(2012年10月に)。ポピュラーサイエンス本で、今の宇宙論を一般人でも理解できるように解説してくれる。アメリカのインテリのエッセイにありがちなあまり面白くない喩え話や冗長な翻訳が鼻につくかもしれないが、描かれた事実に興味をつなぐことができる。

 この何十年かで宇宙への理解が深まったことを感慨深く読んだ。学研の「科学」ではブラックホールは有ると予想されているが観測の方法がなく見つかっていないしほんとうにあるかどうか確かめようのない存在だった。しかし、本書(に限らず21世紀に入ってからの科学解説本)ではブラックホールは数多く見つかっており地球が属する銀河系も中心にはブラックホールがあるということが事実として記載されている。

 興味深かったのは、質量の大きなブラックホールになればなるほど潮汐力が小さくなり、物質は潮汐力に引き裂かれること無く(例えば宇宙船が宇宙船の形のまま)事象の地平線を越える可能性があるということ。ブラックホールの質量は事象の地平線の半径を大きくするが事象の地平線付近の重力はブラックホールの大小とは無関係かと思っていた。なので、ブラックホールに引き込まれるものは全て潮汐力に引き裂かれて分子レベルまで分解され粒子の流れになって吸い込まれていくのかと思っていた。

 後、地球の最後についてこの本では太陽のガスに包まれて公転速度が落ちて遠心力が減り太陽に落ちてしまうとあった。この考えは初めてだった。超新星爆発によって吹き飛ばされるのかと思っていた。もちろん、赤色巨星になった太陽に包まれて現在の生物は完全に死滅した後の話という点は変わらない。実際にはそれ以前に太陽が赤色巨星化する過程で地球の気象が変わり地球上の現在の大型哺乳類は全滅しているしね。

 

反射性の塗料で小惑星の衝突から人類を救う–MIT院生のアイデアが国連で優勝

 今更だが、学問は素晴らしい。勉強と創造力が両立した所に、無知な人間では空想すらできないものを発想できる。

 太陽風という言葉は知っていたし、太陽風を受けて加速する宇宙帆船も見たことが有ったのに、それで小惑星の軌道変更に使えるなんて全く想像の範囲外だった。

 こういう記事を読むと心が晴れる気がする。これが、サイエンスや日経サイエンスを読む理由だ。

反射性の塗料で小惑星の衝突から人類を救う–MIT院生のアイデアが国連で優勝

映画アルマゲドンでは、近く地球に衝突する小惑星の上に派遣された屈強な鉱夫たちが、メガトン級の核弾頭でそれを粉砕しようとする。しかし最近発表されたMITの論文は、小惑星の衝突による人類の滅亡を、ペイントボールで防げると主張する。ペイントボールの弾を、小惑星に命中させる。弾の中には反射性の塗料を入れておく。院生Sung Wook Paekの研究によると、小惑星の全表面がその塗料によって光を反射するようになったら、太陽からの光子の圧力が増し、それによってコースがそれる。下の短いビデオが、そのことを説明している。映画では、27ギガトンの岩が地球にやって来るのは2029年だったから、このコース逸らし技術は今からでも十分間に合う。

Paekの論文は、将来の小惑星の衝突から人類を救う新しい方法として、国連のコンテストで優勝した。映画「アルマゲドン2」を作るとしたら、まず、かっこいいペイント銃をデザインする必要があるね。