金脈に群がる山師か:人気無料レシート家計簿アプリDr.Wallet

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生き馬の目を抜く家計簿市場に期待のルーキー登場
 防水ケース目当てで週刊アスキーを買った。捨てる前に目次だけでも見ておくかと思ったら面白そうな記事があった。「レシート情報の入力は人力!? 全自動家計簿アプリ「Dr.Wallet」ができるまで – 週アスPLUS」がそれ。人気無料レシート家計簿アプリDr.Walletというアプリ・クラウド連携の家計簿ソフトだ。

 クラウド型家計簿によって消費者データを取り込んでビッグデータで商売するというビジネスモデルだ。ゴールドラッシュの夢:家計簿に群がる 14er(Zaim, MoneyTree, MoneyFoward)で取り上げた山師に新顔が現れた(自分が知らなかっただけかもしれないが)。近年稀に見る激戦区がクラウド型家計簿だ。スマホアプリとレシート読み込み、金融機関連携が採掘にとりかかく入山料だ。

 Dr.Wallet のセールスポイントは人力によるレシート入力サポートのようだ。写真データをサーバに送って、入力担当者が視認してデータ化するという人海戦術だ。これによって、OCR では実現不可能なレベルでのデータ化を実現している。

 Zaim のレシート読み取りの精度は消費税増税後に大きく下がって未だに上がらない。消費税の扱いが店によってまちまちだからだろう。全国チェーン店のレシート(コンビニやファストフード店など)は対応されているが、地元のスーパーレシートはまだ正確に読めない。また、Zaim は前から商品名の読み取り精度はあまり高くなかった。レジによっては印字の品質が低いものも多いし、受け取った時にポケットにねじ込んでシワになっているなど OCR 解析に不利な条件が重なる場合も多いから OCR による読み取りには限界があるだろう。

他のユーザがどうされているかは知らないが、自分の場合は金額が合っていればそのままにしている。レシートの合計レベルで合っていればお金の集計は問題ない。最悪の場合(レシートの明細行が認識されない場合がたまにある)はレシートの合計だけを手入力して明細は放置だ。

なぜなら、自分はレシートの明細まで管理していないからだ。コープで買った物がピーマンなのかナスなのかシャンプーなのかはどうでもいい。全部「食料品」で構わない。レシートの明細行レベルでカテゴリを入れても、コープの宅配で買った物は月単位の合計でしか把握されないので全く意味がないのだ。自分の場合は、現金で食料品や生活雑貨を買うのと宅配で買うのとはほぼ同額だ。なので、店舗で購入した物だけを細かくカテゴリに分けても全く無意味。こういうユーザの登録するデータは、入出金以外余り使えないだろう。

 Dr.Wallet はこのデータの品質での差別化を図っている。コストはかかるが、ユーザの満足度と同時に後工程の分析の精度は飛躍的に上がり。データの価値(つまりお金)も Zaim のそれを上回る。

 問題はコストだ。データ一件当たりにかかる費用が大幅に上がる。データ入力は歩合制の外注だから、固定的な人件費は発生しないだろうが、レシートの読み取り回数と比例して費用が発生する構造だ。これは利益化が非常に難しいはずだ。その点 Zaim を代表とする OCR 派は基本的にはサーバ維持料金とアプリ開発、メンテという固定費しかかからない(トラフィックが大幅に得たらサーバの蔵経が必要だろうが、それは Dr.Wallet も同条件だ)。

 コスト上昇分をデータの品質価値(分析情報の精度や有用性の高さによる売上の上昇やデータそのものの販売単価)でカバーできるかどうかが勝敗の分かれ目だ。

 しかし、家計簿の難しい所は乗り換えコストが大きいことだ。ゲームやユーティリティならアプリをインストールしてアカウントを作るだけで試せるが、家計簿の場合それでは不十分だ。特にクラウド型のように銀行との連携が必要な場合には銀行やクレジットカード、Amazonとの連携の設定が必要になる。そして、その使い心地を検証するには数ヶ月かかる。

 自分は Zaim を5ヶ月くらい使ってきた。Dr.Wallet のレシート読み込みが高精度だからといって乗り換える気にはならないし、試してみようとすら思わない。

Zaim はまだ西海岸に到着せず。Zaim iPhone 版の残高を信じるな!

 方向は間違っていないと思うが、残念なが鉱脈に手を付ける段階にない。アプリとサービスが正常に動かないのでは不信感を持たれてしまう。トランザクションは正しく記録されている。完全に社内の品質管理上のミスだ。早くしないと、金脈に気づいた他社に掘り尽くされてしまう。アカウントを作ってトランザクションを入力してくれるユーザを自ら網の外に追いやるようなミスだ。先にも書いたように、家計簿ソフトの移行は難しい。「Zaim に入力しても残高がおかしいもんな」というイメージを持たれてしまったら二度と戻ってこない。

 今回指摘したいのは集計ミスだ。

Web

201435_00 Home のトップに表示される「やりくり」。家計簿の日常的な節約対象となる費目だけを抜き出して努力目標を達成するためのUIだ。

201435_01 別のUIで表示した数字。こちらが正しい。

 やりくりの対象にしている取引は 4,550 円しかない。上のサマリーには集計の対象外としている銀行口座の引き落としが支払として加算されている。しかも、ページによってその設定が反映されたりされなかったりしている。

iPhone

 残高がクラウドと一致しない。カテゴリの設定や取引履歴のデータは正しく読み込めているのに残高だけが正しく表示されない。しかも、口座の残高を手で設定しようとすると、一瞬サーバ上の数字が表示される。にも関わらず、残高は間違ったままだ。

 モバイル版はクラウドのデータを表示するだけでいいのに何をやってるんだろう・・・

まとめ

 これらは技術的な問題では無いだろう。テストが不十分なのかソフトのバージョン管理不備かは分からないが、品質管理の問題だ。機能の追加に追われているのは分かるが、機能を追加する開発部隊とは別に品質をチェックする人間は別にいなくてはならない。

 ユーザのトップページに表示されるサマリーが誤っているというのはかなりお粗末と言わねばならない。この場所はサーバ側のプログラムの変更さえすれば済む場所だ。ユーザのデータの変更もモバイルアプリのアップデートも必要はない。それが直せていないというのはサービスの信頼性に関わる。

 iPhone 版にしても、金融機関連携によって銀行口座の残高が自動的に更新されるのに(Web版は正しく動いている)、肝心の iPhone で残高が間違っているのでは利便性が大幅ダウンだ。怖いのは、「この口座、残額がほとんど無いと思っていたのに50万円も残ってた。これならクレジットカードで20万円の Macbook pro 買ってもいいよね」だ。で、クレジットカードの引き落としができないという連絡が銀行から来るというパターンだ。

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ゴールドラッシュの夢:家計簿に群がる 14er(Zaim, MoneyTree, MoneyFoward)

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 TeckCrunch の記事で言及されていたアグリゲーションサービス2社を見てみた。

MoneyTree

moneytree マネーツリー moneytree.jpはチャレンジャーの香りが残るヴェンチャー企業のようだ。従業員の集合写真が微笑ましい。

 「家計簿に興味がない、挫折した人のために作りたかった」–マネーツリー創業者に聞くを読むと応援したくなる。確かにデザインも iOS 7 に最適化してありクールだ。

 今のところ iPhone 版しかなく、Web でのメンテナンスが出来ないとうのは個人的には不便だ。Web でメンテナンスができれば iPad 版を作る必要はないし多くの Android タブレットもターゲットに出来るだろう。(スマートフォン用レイアウトがあれば iOS も Android もブラウザで可能だろう)。

 エクスペンスフィーチャーは、例えばですが、取材をした打ち合わせのコーヒーやタクシー代など、立て替えて支払ったけど後ほど経費として請求する、ということがあると思います。そういったお金の流れを、マネーツリーのシンプルさを損なわずに管理できる機能を有料で出したいと思っています。

 これは、注目しておきたい機能だ。

MoneyForward

moneyforward 無料家計簿 – 家計簿アプリ・資産管理も充実|マネーフォワードはかなり成熟したサービスに見える。が、moneytree 以上に資産管理にフォーカスした印象を受けた。

 連携先も圧倒的に多い。証券会社や年金の口座、投資信託等の管理もできる所、確定申告に対応しているところなど、高年齢の資産家をターゲットとしていることを伺わせる。会社自体も、資本金は大きく、居並ぶ出資者や役員も、プログラムとは無縁の金貸し屋の下衆い匂いがプンプンする(偏見w)。

 課金サービスを行っているのもここだけだ。ビジネスモデルをユーザ相手に金融商品を売る広告メディアとして考えているのではないだろうか。少数の金持ちを相手にしている既存金融業者(銀行、信託、証券、不動産屋・・・)の視点から抜けていない。残念ながらそこに金脈はない。

まとめ

 MoneyTree には好感をもったが、web でメンテナンスが出来ないのは自分は致命的。MoneyForward は連携先では自分の持っているほとんどの口座(Amazon や Tカードを含む)を管理できる。が、自分は同社のターゲットと相性が悪そうなのでアカウントをつくろとは思わなかった。

 Zaim はアプリの不具合が多いがWeb版は十分に機能している。今のところ、Zaim がビッグデータという金脈に一番近そうだ。

 Zaim も MoneyTree も金脈の利用についてはまだ明らかにしていない。ユーザに警戒されることを恐れて口をつぐんでいるように見える。MoneyForward は金脈に気づいていないように見える。サービスに上げているような金融資産を持っていて運用をしなければならない個人は少ない。もっと多ければ専門家を雇うだろうし、持っていなければ管理する必要がない。前のエントリでも書いたが、トランザクションデータは多ければ多いほどいい。ある閾値を超えたところからデータが金脈になるのだ。そして、その閾値はデータの品質によって変わる。そのゴールはサービスによって変わるだろう。その閾値を最も先に越えるサービスがこの市場の覇者になる。

 Zaim の経営陣はこれが見えているのではないだろうか。Zaim の変更履歴を見ると、最近まであまり使えないものでしか無かったことが分かる。2月に入ってからのアップデートで急激に機能が上がったように感じる。そのために、昨年から開発リソースを大量投入したのではないだろうか。そして、ユーザの要望の高いものとデータ品質に関わる部分を集中的に実装した結果が現在なのではないか。

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Zaim 資産の管理はしない方向で・・・

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 まだ、試行錯誤中だが、Zaim の基本的な設定がほぼ完了したのでまとめておきたい。まず、用語が独特なので、対比表を作ってみた。

Zaim 会計 備考
支出のカテゴリ 科目 ほぼ費用科目
収入のカテゴリ 科目 ほぼ収益科目
口座のカテゴリ 財布、金融機関コード、クレジットカード、プリペイドカード等の残高を管理する口座 会計上の資産・負債科目がごちゃ混ぜ。
入力データ 取引データ ほぼ仕訳データ

201434_zaim-kamoku Zaim では取引データを入れる時に、取引種類・カテゴリ・口座を選ぶだけだ。相手科目という概念がないが、カテゴリ自体が支出と収入に分かれているので、複式簿記に近い入力ができる。資産という概念がないので、仕訳イメージでいると戸惑う。資産も費用も同じだと考えると分かりやすい。実際、こうしないと資産が増える一方で収集がつかなくなるだろう(会計では減価償却で減らす)。

 後、立替払というのも不思議な感じだ。会計では立替払という費用科目は存在しない。現金を支払っておいて後で補填されるようなものは仮払か貸付金のような科目で一時的に資産(将来的に現金等の科目に振り返られるから)に載せて、入金時点で現金と相殺する。Zaim では立替払というのは食費や交通費などと同じ扱いだ。これでは何に使ったのか分からなくなる。個人の財布で出張の交通費を立て替えた程度くらいしかないし、財布への影響は間違っていないから、木にする必要もないのかもしれないが・・・

 Zaim 特有の、一時的な問題かもしれないが、金融機関連携で取り込んだデータと連携できない口座との整合性を保つのが難しい。金融機関連携で取り込んだデータの取引種別を変更できないからだ。本来ならA銀行からB銀行に資金移動なので、振替が正しいが、どちらかが金融機関連携をしていると、どちらか一方の取引だけが「支出」または「収入」に記録されてしまう。連携していないデータについて手入力で修正するのは当然だが、振替への変更ができないのは残念だ。

 iOS 版の Zaim は残高が更新されない。予算も適当だし(これは自分の責任)、iPhone 版は入力専用にするしかない・・・

・バックナンバー
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家計簿入力ってめんどくさいよね(Zaim)

家計簿入力ってめんどくさいよね(Zaim)

201433_00 Zaim でデータを入力するのは楽しい DB ジャンキーが自分。DB を作ると分かるが DB が Excel の利便性を凌ぐ瞬間がある。それまでは「こんなん表で十分」と思っていても我慢して入力しなければならない。今はまだ、過去の分析やフィードバックの段階には達していないが、金融機関連携による過去データの自動入力によって最初のハードルを超えられた気がする。

 しかし、未だに解決を見ていない問題がある。これは考え方の問題か運用の問題かシステムの問題か自分の中で切り分けが出来ていない。

期間把握
 「これはいつ使ったものか」というのと、Zaim でいう「やりくり」を一致させることは不可能だ。現金だけで支出する生活をしていれば可能かもしれないが、子供の小遣いでもなければそんなことは無理だろう(そんな生活なら Zaim のような高機能な管理環境が不要だ)。

・翌月払
 自分は食料品や雑貨を現金だけでなくコープの宅配でも買う。食料・雑貨の半分くらいはこれで買っている。これは発注した翌週に受け取り、支払は月末締めで翌月払いだ。会計的には受け取った日が取引日とするべきだが、銀行口座から引き落とされるのは翌月だ。会計では、こういう場合(決算をまたぐ場合だけだけど)買った日に「資産・費用/負債(買掛金・未払)」という仕訳を行い、実際に支払った時点で「負債(買掛金・未払)/現金」とする。こうすれば、買った時に費用として計上されお金は実際に払った時点まで残っている。

 この問題は、水道光熱費や回線使用料など後払いのもの全てに当てはまるが、これらは元々月の途中に「今月は使い過ぎだからセーブしよう」という使い方はしないので無視すればいい。

 また、引き落としで購入するものと現金で購入するものとで科目が異なってしまう。現金で支払うときには支払カテゴリとして食料品とそれ以外のものを分けているが、宅配購入では合計額で引き落とされるので内訳が分からない。宅配購入では食料品以外に日用雑貨や衣服を買う場合もある。コープの共同購入が連携先になって明細を取り込めるようになれば解決されるが、セキュリティ上難しいだろう。

・クレジットカード決済
 特に難しいのはクレジットカード決済だ。このシステムではクレジットカードの残高は-で表示される。BS上の資産・負債という概念がないので、資産の負数として見せているのだろう。クレジットカードで買い物をするとクレジットカード口座の負数が増える。そして、銀行の引き落とし時に銀行口座を出金口座、クレジットカード口座を入金口座として振替登録を行うことで資産と負債を相殺するというイメージだ。 

 クレジットカードは締の翌月か翌々月に引き落とされる。なので、クレジットカードの残高を見ても、それがいつ買ったものか分からない。買い物をする時点で「今月は使いすぎだから自重しよう」と思えないのだ(これがクレジットカード会社の狙いだが)。

・不定期引き落とし等
 固定資産税は年 4 回に分けて引き落とされ、自動車税は年 1 回、定期券は年 2 回、上下水道は隔月・・・といった、毎月は発生しないが必ず発生する費用の認識をどうするか。

・ガソリン代
 実際には乗った時に使っているが、金額化されるのは給油の時だけだ。「今月はやりくりが厳しいから来月に給油しよう」というのは意味が無い。走行距離を減らさないと節約したことにならない。通勤に使っていて毎月給油するようなケースは問題にならないかもしれないが、自分の場合は3ヶ月に一回くらいなので、給油する月としない月とで1万円くらい違ってくる。

・住宅ローン
 税金とともに完全に管理不能だ。家を買うと決めて金を借りた時点で決まっているのでやりくりの対象ではない。

試案

 上記のような費用を全部「やりくり」集計から外し、やりくりではキャッシュ・フローのみを見る。食料品が毎月どれくらいというのは諦める。上記費用はストックの残高で管理する。上記費用はクレジットカード払いの買い物とガソリン代以外はほぼ同水準の金額が予想されるので、引き落としができるようにだけ見ておけば、運用上は問題ない。

面白い|オンライン家計簿の「Zaim」が銀行口座アグリゲーション機能 1146の金融機関に対応
Zaim は金脈を掘り当てたか・・・家計簿SNS
Zaim は金鉱を掘り当てたか(2)
家計簿入力ってめんどくさいよね(Zaim)

Zaim は金鉱を掘り当てたか(2)

 「Zaim は金鉱を掘り当てたか・・・家計簿SNS」で家計簿アプリ(サイト)によって個人の購買行動を包括的かつ詳細に取るというビジネスを掘り当てたと書いた。

 が、開発者の言葉の通りまだ慎重な姿勢を崩していない。それは、この鉱脈が儲かるかどうかはユーザ数にかかっているからだ。これはウェブサービス全てに言えることだ。Facebook の一挙手一投足が話題になるのも、Google や Amazon の政策が注目をあびるのも全てユーザ数によるものだ。

 多くのユーザが集まりそのログを解析することがビジネスとして成り立つことに Google が気づいた。同じことを Facebook は目指している。SNS と検索エンジンは以前は競合ではなかったが、今は同じ広告業界のライバルだ。Twitter も昨年から広告業界に本格参戦してきた。Zaim がこれらの業界に参入するのかニッチなアプリ広告メディアとして終わるのかは一重にユーザ数をどこまで伸ばせるかにかかっている。

 Zaim の優位性はデータ一件あたりの情報量と正確さだ。SNS のクリックなどとは比較にならない、背景に経済行為を伴ったデータの入力だ。しかし、それを差し引いても、ネット上で他にない有益性を示すには 100 万ダウンロードでは少ない。家計簿アカウントの半分以上が継続せずに終わるだろうから。

 導入ハードルの高さ、市場の小ささ(一家庭で家計簿をつけるのは一人だろう。この点ゲームとは違う)、継続ハードルの高さという家計簿サービスの難しさを克服する事ができるかが Zaim の将来を左右する。

 機能を充実させればさせるほど入力が煩雑になるのは否定出来ない。金融機関連携はこの上なく便利だが、ネットでアクセスできるように銀行口座でアカウントを設定しておかなければならない(最初から付いている銀行も増えたが)。科目についても、初期状態は詳細すぎて使いにくく感じる人も多いだろう。SNS やバッジでモチベーションを保とうとしているようだが、自分は全く興味を持てない(というか、自分は充実した機能こそがサービスと思っているから、これを上回る利便性のあるサービス・アプリが出ない限り移行はしない。)

面白い|オンライン家計簿の「Zaim」が銀行口座アグリゲーション機能 1146の金融機関に対応
Zaim は金脈を掘り当てたか・・・家計簿SNS
Zaim は金鉱を掘り当てたか(2)
家計簿入力ってめんどくさいよね(Zaim)

Zaim は金脈を掘り当てたか・・・家計簿SNS

 Zaim を使っていて無料な理由がわかった。Facebook と同じ、ユーザが商品だからだ。しかも家計簿のデータはSNSの活動やコミュニケーションよりはるかに価値が高い。金の使い道やどこで使うかといったことを尋ねるアンケートは多い。それだけ企業の関心が高いということだ。

 Cookpad が Zaim に投資した時に、「ピンポイントの広告を打てる」といった説明があったようだが、そんなものはごく一部に過ぎないだろう。家計簿データや家計簿データから得た分析結果を企業に売ることのほうがビジネスとして大きいだろう。そして、機能の追加全てがこのデータの品質を上げることに直結している。

20140303_zaim

 レシートのOCR機能を搭載したアプリは以前からあったが、クラウドの入力環境とすることでその価値は数倍に値する。Zaim はユーザへのサポートとしてアピールしているが、実はこの機能は Zaim やそのデータを買うユーザにとってのほうが効果が大きい。なぜなら、レシートで入力すると正確な店の情報がデータに付加出来るからだ。購入年月日、アイテム、金額、購入店舗が正確に得られる。しかも、POSデータが持っていない個人情報付でだ。各コンビニがポイントカードを作って使わせようとするのは、POSデータと個人情報をリンクさせてデータの品質を上げるためだ。Zaim のレシート読み込みを使ってもらうだけでポイントを付与する必要なく、それが得られる。さらに、この記録が横断的であることも重要だ。どこのコンビニでも、自社のポイントカードを持っている(つまり個人が特定できる)ユーザが自社以外でどのような消費性向があるかを知ることはできない。ポイントカード会社が横断的に合従しようとするのは、横断的なデータが欲しいからだ。Zaim はそれを無料で入手することができる。こんな入力をアンケートで取得するためには月数千円の費用がかる。しかも、正確性には疑問が残る。

 次に、金融機関との連携も大きい。アンケートでは絶対に答えない情報を取得できる。自分でも、自分の銀行口座を横断的に残額を把握することは面倒くさくてできなかった。「オンライン家計簿の「Zaim」が銀行口座アグリゲーション機能リリース、1146の金融機関に対応 | TechCrunch Japan」では、「データのマーケティング利用についてはよく聞かれますし、お話もいただきますが、ユーザーに誤解や不安を与えるような方法は取りたくないため非常に慎重に考えています」とあるが、時間の問題だ。それができるような使用許諾権契約になっている。このような条項はテンプレみたいなものだが、これがあれば、ユーザの情報を商品にできるということだ。

第 10 条(統計データ等の閲覧、利用)
当社は、家計に関する情報その他コンテンツ、登録情報等を個人を識別、特定できないように加工、集計、及び分析した統計データ等を作成し、当該利用履歴又は統計データ等を何らの制限なく閲覧、利用(第三者に閲覧、利用させること、マーケティング資料としての提供、本サービスの新機能の開発、市場の調査を含みますが、これに限られません)することができるものとし、利用者はこれをあらかじめ承諾します。

第 11 条(コンテンツの著作権について)
利用者が本サービスを利用して投稿・編集等した家計に関する情報その他コンテンツが著作物に該当する場合、当該著作物に関する著作権は、利用者に留保されるものとします。ただし、本サービスを利用して投稿・編集等した家計に関する情報その他コンテンツについては、当社及び当社と提携するサイト又はその他の媒体・サービスにおいて個人を識別、特定できない措置その他当社が必要とする処置を行った上で、当社又は当社が利用許諾する第三者が全世界で非独占的に無償で利用できるものとします。利用者は、本項に基づく当社及び当社が利用許諾する第三者による著作物の利用について、著作者人格権を行使しないものとします。
前項に定める著作権を除き、本サービスに関連するコンテンツに関する著作権その他の権利は当社に帰属し、利用者は、本サービスに関するコンテンツを無断で複製、上映、公衆送信、頒布、譲渡、貸与、翻訳、翻案、二次利用等することはできません。

 しかも、家計簿サービス・アプリは囲い込み圧力は強い。自分が iBear Money から離れなかったのは、他のサービスを試すにも初期設定が必要となるからだ。各口座の残高を調べて入力しなければ使い勝手を調べることができない。そして、Zaim はこのハードルを大きく上げた。金融機関アグリゲーション、レシート読み込み、マルチプラットフォーム、これらの全てが 2014 年 2 月移行の家計簿サービスには必要になる。

面白い|オンライン家計簿の「Zaim」が銀行口座アグリゲーション機能 1146の金融機関に対応
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Zaim は金鉱を掘り当てたか(2)
家計簿入力ってめんどくさいよね(Zaim)

面白い|オンライン家計簿の「Zaim」が銀行口座アグリゲーション機能 1146の金融機関に対応

 家計簿ソフトは iBear Money シリーズ(有料版)を使っていた。アイコンをカスタマイズしてレシート入力を行って、月間数千円の誤差があるものの我が家のキャッシュ・フローの管理を行えていた。しかし、バージョンアップの際にアプリケーションが2ヶ月近く使えなくなった。このため、口座データ全てを修正・更新する必要に迫られてから使わなくなった。どんぶり勘定で2年近く経過してしまった。

 Zaim の存在は知っていたが、iBear Money ほどの機能がなかったので、使わなかった。家計簿ソフトはゲームと違いちょっと試してみることが難しい。口座の残高や手持ち現金などのデータをセットしないと始められないし、レシートなどの入力をして使っていかないと機能の評価ができないからだ。複数のアプリを試すためには並行的に同じ入力をしなければならない。業務の移行期間ならともかく、財布の管理のためにはやってられない。

 このアプリを知ったのは、みんなの企画会議 Blabo! というサイトだった。ここでアイデアを募集していたのを見ていた。が、このサイト自体に興味を失ってフォローしていなかった。この記事を見て初めて、「こんなに成長してたんや」と驚いた。早速アカウントを作ってみた。

 iOS や Android アプリだけでなくウェブでの管理も可能だ。これは大きい。サイトを観た瞬間に iBear Money を捨てる決心をした。出先での入出金を忘れないうちに入力できるのはモバイルのメリットだが、科目(カテゴリ)の設定といったメンテナンス作業を iPhone でやるのは不便だった。入力はモバイルでやって管理をウェブでやるというのは非常に効率がいい。

 Zaurus のころから家計簿アプリを使っては、環境の変化によって挫折を繰り返してきた家計簿ヲタとしてレビューしてみたい。

オンライン家計簿の「Zaim」が銀行口座アグリゲーション機能リリース、1146の金融機関に対応 | TechCrunch Japan
オンライン家計簿の「Zaim」(ザイム)が今日、銀行口座の入出金記録やクレジットカードの利用履歴を自動取得するアカウントアグリゲーションサービスを開始した。家賃や光熱費などの銀行引き落としを利用する支払い項目やクレジットカードによる支払いを自動で家計簿に反映させたり、複数口座を合わせた残高金額を一目で確認できるようになる。
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