「脳はすすんでたまされたがる」或いは脳の脆弱性について

 まだ9月だが、今年一番面白かった本がこれといい切っても良い。図書館で二度借りしたほどだ。電子書籍版が出たら絶対に買う。二回借りても汲み尽くせない内容の深さだ。サブタイトルはキャッチーに「マジックが解き明かす錯覚の不思議」と書かれているが、マジックのネタ明かし本ではない。マジシャンが経験から見つけた人間の知覚の脆弱性を心理学或いは大脳生理学の視点から学ぶという本だ。

 興味深いフレーズを Wiki に書きだしたので読んでいただきたい。興味をひかれた方は「脳はすすんでだまされたがる マジックが解き明かす錯覚の不思議」のリンクからお買い上げいただきたい。

 この本で知ったのは、人間の目が見られる範囲がいかに小さいかだ。というより、光子を受けた受容体からの情報を脳で「見る」段階でいかに多くの情報が抜け落ちるかだ。そして、脳が如何に手を抜いて情報を無意識のうちに取捨選択しているのか。「注意」とはなにかも興味が尽きなかった。

 「人は見たいものを見る」というフレーズはここにも書き記したが、実際には見たいものすら見ていない。しかも、視覚的には見えているのに脳には見たという記憶が残らない。

 この本を読んでからは「百聞は一見にしかず」という言葉が無意味に思えた。百聞も一見も同じ情報として虚心で総合的に当たらなければならない。むしろ、資格に対する人間の依存度の高さから考えて、見たことはよほど注意深く取り扱わなければならないだろう。

 この事実を知るにつけ、目撃者証言のあてにならなさを知らされる。最近の事件で、殺人事件の現場付近で犯行時間前後に白い車を見たという証言が報道されていた。本当か嘘か自分には判断できない。ただし、白い車に絞った捜査は早計だろう。今は先入観を捨てた捜査こそが重要だ。

 「説得力があるからこそ余計に慎重に」だ。

雨の週末は読書三昧|Google 音声入力死亡のお知らせ

 土曜日は中途半端で、ロードで出るのは怖いが一日中家でくすぶってるのももったいない感じだった。で、夕方に自転車で遠くのスーパーに買物に行こうとしたら雨に降られて退散。ずぶ濡れ。

 今日は朝から雨で全く迷いなく家にもこれた。図書館に行く必要がないくらいの気温だったので、窓を閉め切っていても扇風機で十分快適に過ごせた。ごごからは少し小康状態になったので、買い物を兼ねて2kmほど歩いてきた。

 今日は、前にも借りたことの有る「脳はすすんでだまされたがる」を抜書きしたり、「宵山万華鏡 森見登美彦」を1章だけ読んだりして過ごした。こういうメタボな一日も悪くない。

 抜き書きに Android の音声認識を使おうとしたらまともに反応しなくなっていた。しかたなく iPad の文字認識を使ったが手入力と大差がない。音声入力は同音異義語に弱いので、入力後の修正が必須だ。

 また、iOS の音声認識は逐次変換ではなく、タップするか自動的にバッファが一杯になった時点で入力が打ち切られるので、2〜3文で修正しなければならない。Google 音声入力の変換エンジンはリアルタイムで変換を行なうので、延々と入力を続けられる。しかし、句読点を入れられないのが致命的に不便なのでどちらもどちらといったところだ。

 OCRのほうが変換効率がいいような気がするが、スキャナにセットして認識する手間が大きい。青空文庫の入力のように何十ページも連続して入力するような場合にはOCR変換+修正がトータル負荷が少ないと思うが、抜き書きにのように段落レベルで飛び飛びに入力するような場合には音声入力のほうが効率がよさそうだ。ただし、音声入力は外では使えないという弱点が有る。図書館やドヤリング中には絶対に使えない。もちろん、そんな時にはOCRも使えないが。