「悪夢器械」という紙の本で読んだ作品が大半だった。「悪夢機械」では、トータル・リコールは「追憶売ります」として、マイノリティ・リポートは「少数報告」というタイトルで収録されていた。映画が現代のカナ表記でヒットしたのでそれ以降語られる場合にはカナ表記が採用されているようだ。「悪夢機械」が絶版なので売り場で混乱することはないだろう。
訪問者
ひいきメンの次のお題は「オススメSF作品」・・・難しいで書いていた。
この作品がこの本の中で一番好き。環境を語る時に常に必要となる視点を端的に表現している。
この作品を読むためだけに買ってもいいと思う。このブログ推奨作品だ。
非-O(Null-O)
ディックの作品に対する感情にしては珍しく、違和感しか無かった。
- 共感能力を一切持たない人間が、同じような人間に会えると知ってワクワクしたり、出会って喜んだりしている。
- 宇宙は原子ではなくエネルギーの渦だということだが。今あるオブジェクトを「還元」しようとする信念はなんだろう。理論的にそうなるということが分かっているのなら放っておいてもそうなるだろう(時間はかかるかもしれないが)。
- 架空の爆弾のような名前のモノを使って地球や太陽を「還元」するということだが、これについてのこじつけの説明すら無いのは手抜きだろう。そういう設定というのなら受け入れるが、太陽を「還元」できるような膨大なエネルギーを操れるなら地球なんか一瞬で跡形なくできるはずだ。なのに、中途半端に破壊して、その廃墟を見て悦に入っているし、生き残りの襲撃に耐えられずに宇宙船に乗って逃げている。
- 恒星を「還元」できとして、宇宙全部の恒星を壊して回るつもりか?どんな目算があって旅立つのか全くわからない。
完全に論理的な人物が何を動機に目的達成に向かうのかの説明がなされていないのが致命的だ。これは、AIが何を目指すのか目指さないのかにつながる問題だ。序盤で感情を持たない理性的な人間が提示された時に個々に説明があるのかと読み進めたが全く期待はずれ。
理性的で感情を持たないタイプの人類が現れたらどうなるかの思考実験かもしれないが、想像が中途半端で残念なできだ。
世界をわが手に
宇宙のシミュレーターという作品は子供の頃の学習の読み物で読んだ記憶があるが、この作品のオマージュだったのだろうか。
ただ、太陽系の他の惑星に知的生命体がいないからという理由で地球に住む一般人が閉塞感を持つということが受け入れがたい。
自分の住んでいる宇宙が誰かの世界球でないという保証はない。
マイノリティ・リポート
映画の原作になった作品だが、映画を観ていないので映画との違いは知らない。
予知とか超能力という設定を受け入れられれば面白いかもしれない。
トータル・リコール
映画も観たが、映画とは別物。
原作のほうが自分は好きだが、映画も別の娯楽作品として好き。
原作自体が短いので映画化する際に付け加えたプロットやアクションがメインに描かれている。
「胡蝶の夢」についての掘り下げは、原作・映画共にない。