Days of SpeakEasy: V601SH画像比較で、前に書いたエントリにトラックバックをいただいた。そこでは、「JPEGの圧縮率より、デジカメとしての基本性能こそが画質の差になる」との指摘をされていた。
結論から書く。私がまちがっておりましたm(_ _)m俺の蒙を開いてくれたのは、Vins-Tさんのところにあった比較画像。ほぼ同じ基本仕様(1.5Mvs2.02M、オートフォーカス)での比較だったから。俺の場合は、IXYとA5502Kの基本仕様が違いすぎるために、一番差の大きいファイルサイズに目が行ってしまったのだった。
言い訳はこの辺にして、A5502KとIXYで同条件で比較データを撮ってみた。今回は、圧縮率も調べてみた。参考に、Vins-Tさんのデータも調べてみた。快晴の12時半の直射日光下で、手前にチューリップ、正面は茂み遠方には白っぽいビルという、ダイナミックレンジの狭いデジカメには過酷な条件での撮影となった。
機種 | イメージ | 画質設定 | サイズ | 圧縮率 | ファイルサイズ |
ixy digital | 2406 | superfine | 1600×1200 | 1:6 | 2.2mb |
2407 | fine | 1600×1200 | 1:8 | 933.8kb | |
2408 | fine | 640×480 | 1:6 | 195kb | |
a5502k | 24001 | fine | 1152×864 | 1:11 | 344.5kb |
24002 | fine | 640×480 | 1:9 | 121.8kb | |
24003 | 標準 | 1152×864 | 1:16 | 230.8kb | |
24004 | 標準 | 640×480 | 1:18 | 65.2kb | |
v601sh | V6010014 | 高画質 | 1024×768 | 1:6 | 472.5kb |
V6010015 | 高画質 | 1024×768 | 1:8 | 344.5kb | |
dsc-sx560 | sanyo0010 | 高画質 | 1024×768 | 1:14 | 217.4kb |
sanyo0012 | 高画質 | 1024×768 | 1:13 | 221.0kb |
機種 | 撮像素子 | フォーカシング | フィルター |
IXY digital | 2.1メガ1/2.7型CCD | オート | 不明 |
A5502K | 1メガCCD | 固定 | 不明 |
V601SH | 2.02メガCCD | オート | 不明 |
DSC-SX560 | 1/2型1.5メガCCD | オート | 原色 |
注)
・IXY(初期型2.1メガピクセル)には上記3種類の画質・サイズ設定しかない。IXYのsuperfineはMTのアップローダーではアップロードできなかったので載っていない。V601SHとDSC-SX560の写真はvins-Tさんのサイトでご確認いただきたい。
・残念ながらケータイはCCDサイズやフィルターの種類は分からない。
色々と分かることがある。
・カメラの設定で同じ画質モードであっても圧縮率は一緒ではなく、サイズによって変わる。
・同じカメラの場合は圧縮率が低いほうが高画質だが、相対的なものでしかない。
・A5502Kの標準画質は「標準」とは程遠い低画質で使い物にならない。
・同じ「高画質」とか「ファイン」という言葉であっても、機種によって圧縮率はちがう(V610SHはIXYと変わらないほどだ)。
・A5502Kの1152×864は遠景でエッジ部分がにじんでしまっている。パンフォーカスにしてはピントが近いのかもしれない。
今さらながらだが、思い出したことがある「画素数イコール画質ではない」ということ。これは、何年も前、デジカメが30万画素から100万・200万と画素数を増やしていったときに、俺がパソコン批評で何度も指摘したことだった_| ̄|○
そして、当時そのことを教えてくれたのが、奇しくもサンヨーのデジカメDSC-X100だった。85万画素、パンフォーカスでありながら、今のメガピクセルケータイよりはるかに高画質だった。
Vins-Tさんも書いておられたとおり、デジカメ画質の差は圧縮率だけではない(もちろん、同じ機種なら小さいほうが間違いなく高画質だが)。CCD・フォーカス・光学系・フィルター・シャッター(機械シャッターの有無)・絞り(物理的な絞りの有無)・CCDから取り込んだデータをカラー画像に変換するソフトのアルゴリズムなどが複雑に絡まっている。最後には、保存形式・圧縮率の設定だ。
もちろん、画素数は基本的な性能として大きな要因ではあるが、それだけではない。だから、「100万画素は30万画素のデジカメよりきれいな写真が撮れる」ということではない。まあ、自動車で2000ccの車が1000ccの車より、エンジン以外のところでも差があるのと同じように、100万画素機は他の点でも高性能なものを使っていることが多く、結果的に差が付くことが多いということでしかない。このことを、DSC-SX560の画像が如実に教えてくれる。1.5メガでも総合力が高ければ2メガの機種と遜色のない絵を撮ることができるのだ。
しかし、これをケータイデジカメに求めるのは難しい。まず、物理的な制約が大きいために大きなサイズのCCDを使うことが困難なこと。小さな画素の素子を小さくすることで高画素数化すると、感度が下がるだけでなく、レンズの性能も高いものが要求される。撮像素子以外の要素についても、ケータイでは採用できないものが多い。物理シャッターや絞りなどは物理的に無理だし、小さな画素で原色フィルターを使うことも難しいだろう。
A5502Kについて考えてみると、jpegの圧縮率以前に、CCDの仕様が問題なのかもしれない。京セラはCONTAXも作っているメーカーなので、ケータイ・パッケージングという制約がなければ、十分な画質のデジカメを作れるはずだ。ソフトウェア的なものはA5502Kにも応用が可能なはずだ。にもかかわらず、一時代前のデジカメにも負ける(はっきり言うとDSC-X100に負けている)画質しか撮れていない。小さいボディに100万画素を埋め込むために小さなCCDを使ったのではないだろうか。そのために、ダイナミックレンジの低い元データしか生成できなくなり、それをソフトでコントラストと明度を上げて見栄えのよい画像にしようとしたのがこの結果なのではないだろうか。しかも、そのデフォルメして作った絵を高圧縮で保存したのがこの絵の原因なのではないか。
2chでは、200万画素を待つ声が書き込まれているが、今の延長上で200万画素化したら悲惨なことになってしまう。今でも光量不測気味な絵が悲惨なことになることは明白だ。ケータイの限られたサイズの中で、CCDのサイズを大きくすることや機械的なギミックを盛り込むことはできないだろう。200万画素にするのではなく、画素を大きくすることを考えてはどうだろう。そして、しつこいようだが、圧縮率の小さいモードを作って欲しい。今のサイズでもメールで送信することはできないのだから、サイズにこだわる必要はないのだ。メールで送信するのはQVGAで十分なのだから。
#Vins-Tさんにトラックバックを頂いた時に書いたままにしていて忘れてました。失礼しました。
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