実に興味深い。後年の疫学者への良い教材となるだろう。
吉村府知事が緊急事態宣言を前倒しで解除した2週間後くらいから感染確認者の数が増え始めて加速されている。「こうやったらダメ」というのを正確にやってくれるから素晴らしい。
逆に言うと、感染症の専門家が言っていたとおりにすれば減らすことができる。彼らは最初からワクチンが開発されて人口の60%が接種したら収束に向かうと言っていた。新型コロナウイルスに対して科学は勝利した。政治家が足を引っ張らなければもっとダメージは少なかっただろう。
GoToと緊急事態宣言の解除前倒しが致命的だった。これに比べれば、あべのマスクなんかマシな方。というか、あべのマスクは実効があったといえる。使ってないとかは別だ。自分も使う機会がないままに普通のマスクが手に入るようになった。重要なのはマスクがなかなか手に入らない中で「待っていればマスクは届く」というメッセージを発信したことだ。メーカーの増産体制が整ったということもあるだろうが、買い占めや出し惜しみの経済的な合理性が失われて、逆に在庫を早く売りさばくという行動を促したことで一気に市場が沈静化した。
GoToも緊急事態宣言解除前倒しも直接的な感染拡大につながったかどうかはわからない。が、人の行動を変えてしまった。「旅行してもいいんだ」「前倒しするくらいだからもう心配ないんだ」といったメッセージを与えてしまった。Gotoや前倒しと直接関係していない地域へのメッセージともなってしまった。東京などは自粛解除を先送りしたのに大阪の解除前倒しの雰囲気のおかげで感染が再拡大した。
4月18日時点で大阪府の新規感染発覚者数は東京をリードしているが、自粛解除のタイムラグが有るだけで東京はすぐに追いつくだろう。当たり前だ。有効な手立てを打たずに放置してるんだから。
このテキストが後年の疫学研究者に届くかは知らないし、わかりきっていることだろうが、2021年に渦中にいる一般人の感じていることの記録としては少しは参考になるだろう。
一日あたりの接種者が増えない。こんなペースでは年内に収束させることは不可能だろう。一日あたりの接種者が100万人レベルにならない限り9月までに日本人が集団免疫を獲得することはできないだろう。しかし、今の政治家がやることは製薬会社に対してワクチンを送ってもらうように契約することだけだ。送られてきたワクチンを国民に接種させる地道な作業を蔑ろにしてだ。
2021年4月18日 京都府北部のマンボウ非対称地区に住む独身59歳男性単身赴任者によるテキスト。