ノーネクタイ

 俺の良く知っている会社でノーネクタイを行うようになった。そのときの掲示文書が情けなくて笑えるような、突っ込みどころ満載のクズだったが、残念ながら、ここに載せるわけにはいかない。

 一般的に、カジュアルデーとかは、硬直化した組織や風土を少しでも変えたいための苦肉の策で、ほとんどの場合が失敗に終わる。というか、柔軟な組織や風土を持っている会社がカジュアルデーなんて言い出したのを聞いたことがない。それは、省エネスーツをアピールしようとして失笑を買った自民党政権と同じくらいに硬直化して機能しなくなった終わってる組織の最後の足掻きだ。多くの企業が失敗し、効果がなかったことを認識し、諦めて元に戻した話を何回も読んだ。省エネスーツが定着しなかったことも誰もが知っている。省エネスーツを着ることではなく、スーツにこだわる習慣を変えない限りダメなのだ。また、その習慣が変われば、ノーネクタイだカジュアルデーだなんて旗を振る必要なんかないのだ。

 能力の少ない経営者にはそちらを買える能力がないので簡単に見た目で変えられるものを導入したくなるんだろう。

 本当に、柔軟で自由でユニークな個性や個人の能力の活性化を実現しているような組織はもともとこんな事をする必要がないのだ。GoogleやQUALCOMM、昔日のNetscapeにカジュアルデーはない。組織として目指すのはこちらだと俺は思う。

 まあ、わが世の春を謳歌しているGoogleの処遇のよさがいろいろ挙がっていてうらやましいが、そんな企業は昔にもあった。ほんの十数年前、Appleは毎週末にビアパーティーを開いているというのを聞いた(その後廃止)。Netscapeもバブリーに楽しんでいたから、数年後は分からないが・・・

 なんにしても、俺の良く知っている会社のノーネクタイは、実行率では100%だが、社内の雰囲気を変えるとか活性化するといった面では達成率0%だ。形だけ入れて、中身を入れないというというのはこの会社の得意技なので予想通りだった。だいたい、エアコンをガンガン効かせてノーネクタイにしても何のメリットもない。

 能力主義や個性尊重というマネジメント手法だけ取り入れて年功序列を崩さない日本社会の悪い面をそのまま現したような一夏の現象だった。来年どうするかは知らないが、やらなくても何も変わらないだろう。

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