UIについて考える

 「UI を全て同じにするべきではない」はずっと書いてきたことだ。iPhone で快適な UI が iPad でも快適かというとそうではない。まして、タッチデバイスとノートPC、さらにデスクトップ PC が同じ UI なんてありえない。

 そんなことを、狭浅を聴いていて思い知らされた。「#319 「スマホVR/Google Spotlight Stories/DMM.com」」の回でゲストのコロさん(親バカゲームミュージアム)がVRAVについて語られた「VRにはVRの演出や演技が必要だ」という下りだ。新しいUIだから、従来のコンテンツをそのまま持ってきたのではダメだという洞察は素晴らしい。

 同じ狭浅では、中之浦さんが4DXについて語られた回(#247 「4DX」)に同じことを言われていた。「4DXだからといって、画面で繰り広げられるシーンに合わせて刺激(振動や水や風)を起動すればいいというものではない。意味が合ってなければ体感が伴わないからだ」として、例として主人公が弓を射た時に矢が壁に刺さるのが大写しになって座席が振動することを例に挙げられていた。

 観客は弓を射た側なんだから、矢が刺さったからといって体が震えるのはおかしいというのには納得した。4DXやARがシーンへの一人称での没入を強化するものであれば、従来の映画のシーン展開もそれに合わさなければならないだろう。登場人物Aが矢を射て、Bの顔のすぐ横に刺さるようなシーンで、矢が壁に刺さった瞬間をBの横顔と一緒に大写しするというのは古典的な演出だ。従来は、Aの後ろ姿で矢が発射され、Bの顔の大写しで矢が壁に刺さるというのが普通だった(CG映画だと矢視点で飛んでいくのが入ることがあるが)。矢がギリギリに刺さったことを強調する演出を4DXでやるには、B視点で飛んでくる矢を見る必要がある。B視点なら顔の横に矢が刺さった時に客席に振動が来たことに納得できるだろう。

 こんなことを考えていたら面白いツイートがあった。目的がカスだが、スマホというデバイスの特性とスマホユーザーの習性をよく理解している。UIをデザインする人は学んでほしい。この精神があれば、セブン・イレブンのコーヒーサーバーのようなものがリリースされることはないだろう。

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