F1 の明日はどっちだ?

 Kindle unlimited を契約してから F1 雑誌を何冊か読んだ。 三和書房の「」という雑誌で、ジョン・バーナードが今のF1のフロント・ウィングについて「」と言っていたが、まさに同感だ。レギュレーションの穴をつくような空力付加物だらけのF1には美しさは感じない。それが最も合理的な形ではないからだと思う。

 ここで F1 の現在の技術を知って、ますます自分が F1 から遠ざかるのを感じた。何より、「何のためのレギュレーション変更なのか」だ。安全のためにクラッシャブル・ストラクチャーを大きくするとか、ドライバーの露出を減らすとか、モノコックの強度を上げるとかはいい。ところが、見世物としての「見どころ」を演出するためだけのレギュレーション変更は見苦しい。

 以前、「安全のために、燃料の補給を禁止」としていた頃があったが、今では義務付けられている。タイヤだって、溝付にしたり無くしたり、使用可能本数を制限したり。安全なレースにしたいならタイヤはヘタっていないものを付けさせるべきだろう。

 F1 にかぎらずモータースポーツはドライバー(ライダーetc)の技術が締める割合は肉体を使ってやるスポーツよりはるかに少ない。なので、スタート地点ですでに勝敗の半分以上は決まっている。セナとプロストが乗っていた McLarenなんか、リアのウィングを大きく立てたセッティング(当時はウィングは固定)で直線でバンバン前走車を抜いていた(NA 車と混走だったこともあるが)。

 本当にレーサーの腕を競うスポーツを目指すなら、競艇のようにワンメイクにするしかないだろう。というか、もうカートでいいんじゃねということだ。オートレースのようなハンディキャップ戦も考えられるが、速いドライバーが後方からスタートするのは危険だろう。

 運営やマスコミは F1 カーを最強とか最速という修飾語を付けて表現するが、実際には、「指定のサーキットでは」という但し書きが抜けている。INDY カートレースに使われるようなコースでは INDY カートマシンのほうが速いし、ル・マンのストレートでは耐久レーサーの方が速い(どちらも最高速は 400km/h を超える)。レギュレーションが違うのだから当然だ。

 一方でマシンの優劣を競うなら、ドライバーを載せない無人運転車にすればいい。人間が乗らないのなら、ドライバーのスペースが不要になるしクラッシャブル・ストラクチャーも小さくていい。で、純粋な技術の最先端を競うマシン開発の勝負の場になれば自分はレース毎に雑誌を買う(見には行かないWW)。グランド・エフェクト、4WD、アクティブ・サスペンション、トラクション・コントロールを使えば F1 のコースレコードは全て破られるだろう。これこそが「最強のレーシングマシン」だ。ま、レースは退屈そのものになるだろうから、安全性を重要視するポーズを見せながら「命がけ」を強調する見世物ビジネス(F1サーカスというのは言い得て妙だな)として成立しないだろうが^^;

P.S.
 タイレルが逆ガルウィング・ハイノーズを採用してからノーズを高くする流れが生まれ、今では全てのマシンが採用している。しかも、どんどんノーズの最低高が上がり、「ドライバーの足はどうなっとるん?」と思っていた。透視図を見て驚いたというか、納得した。「こんなことしたら、仰向けになったみたいになってまうしなぁ」と思っていたとおりの状態でドライバーは操作しているらしい。
sauber F1 cutting image
 1980年台に、ゴードン・マーレーが作った寝そべるようにして操作することで話題となったブラバムBT55(だったかな?)というマシンが有った。前面投影面積を減らすためにドライバーが寝そべり、メガトロン(BMW)の直4ターボエンジンのシリンダーブロックを斜めにするクランクケースを特別に作ったという野心作だった。このマシンが発表されたときはシーズンインが楽しみだった。結局、目立った成績は残せず、失敗作のように扱われ、死亡事故もあったり(マシンの設計ミスとは関係ない、スタート時の他のマシンのトラブルが原因)して、消えたが。今のマシンはそれよりもっと極端な姿勢だ。ペダルはシートより高い位置にある。シートも、尻で座るというより尻から背中で体重を支えるようだ。こんな姿勢で、あんな繊細な操作をしているとは・・・そら、昔みたいなクラッチやシフターの操作はやってられないわな。

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