GARMIN ForeRunner630J の感想まとめ

GARMIN ForeAthlete 630J (ForeRunner 630 の日本語化版)を買って約4ヶ月使ったので感想的なまとめをしたい。昨年出たモデルで、他に詳細なレビューを書かれている人がいるのでここでは自分が気づいたことだけを書く。
○外観
 外観は見たとおり。液晶の有効表示域と外枠の数ミリの差が残念だが、2016年の技術ではこれが限界なのだろう。そのうち外枠まで表示面が広がるのだろう。自分としては今の液晶の面積のままでいいから、ボディを小型化して欲しい。直径で5mmくらい小さくなれば嬉しい。多くの通信を行っているので非常に難しいとは思うが。

 外見で一番気に入らないのは色だ。630J がたたき売りになっているのは光学式心拍計がないことよりこの色のせいではないかと思うくらいだ。アメリカで売られている ForeRunner 630 には黒と青があり、青は 630J と同じだが、このぶどう色(マルサラというらしい)はない。黒の630Jがあったら、2,000円くらい高くてもそっちを選んだだろう。ちなみに、青も微妙な感じで今イチ。青でなくてこの色にしたのは通販で少し安かったから。

 ボディはプラスチックで高級感とか質感とは程遠いが、軽量化のためには必要な選択だったのだろう。ソーシャル・ウォッチ(造語)じゃないのでこれで十分。今時の自動車のような無意味な装飾やこけおどしのメッキパーツなどは要らない(そういう意味で、GARMIN が推している fenix シリーズには全く食指が動かない)。

 これだけの高機能・防水性能を持ちながらベルト込みで 44g しなかいというのは驚異的。普通の腕時計と同じ感覚で付けられる。

 ベルトは硬い。穴の間隔が近いのでフィット感は高い。ベルトは長い。海外モデルでワンサイズなので仕方がない。どうしても気になる場合には切ることもできるだろうが、切ることが前提のデザインではないので、切り口が残念な感じになりそうだ。

 fitbit charge HR と同様に、余りを止めておく輪っかの内側に突起がある。なので、着脱はちょっと不便だが、途中で外れてあまりがブラブラしてうっとうしいということはない(Pebble 2 ではよくある)。


○スクリーン
garmin 630 vs pebble 2 反射液晶を使っていた ZAURUS かゲームボーイカラーを思い出すような液晶パネルだ。省電力とタッチパネル、高解像度(ZAURUS と CGB は低解像度だったが)をバランスさせるための選択だったのだろう。広告のはめ込み写真とは全然印象が違うので期待しない方がいい。

 と書くと、批判しているようだが、自分は悪くない選択だと思っている。電池を大きくすればバックライトを点きっぱなしにできたかもしれないが、それではボディが大きくなり重量も増す。同時に、直射日光の下で見辛いというのも本末転倒だ。 また、Apple watch のように画面表示を消すというのもあり得ない。スポーツウォッチはいつでも一瞬で画面を確認できることが必要だから。

 ただ、他の選択肢も有ったのではと思う。マーケティング的に難しいかもしれないが、モノクロの液晶のほうが見易い可能性はある。スポーツウォッチに必要なのはミッキーマウスの文字盤ではない。必要な数値を一瞬で読み取れる視認性だ。

 画面の解像度が低い(Apple watch とくらべて)ので、凝った文字盤は斜め線がぎざぎざになる。

 全体にメニューのフォントが小さすぎる。余白が十分にあるのに読みづらいのはデザインセンスの問題だろう。この点、Pebble 2 は秀逸だ。モノクロのショボイ液晶なのに630より視認性が高い。さらに、日本語フォントは線が細く見づらい。せっかく通知が有っても文字が読めないので意味がない。

○操作感
 液晶はタッチパネルを兼ねている。が、あまり反応が良くない。ボタンでしかできないこととタッチしかできないこと両方でできることが混在していて分かりにくい。「ボタンで良くない?」と思ってしまう。ボタンででもできることをわざわざタッチパネルでやってる感が拭われない。ボタン前提で作られた操作体系の一部だけをタッチにしても全然効果的ではない。

 630J は解像度が高いが、日本語フォントの視認性が悪い。また、前機種との互換性を考慮してだろうが、文字が小さい。630以降の世代(235,735,935)の解像度と表示可能域をフルに使ったデザインにすればもっと使いやすいデバイスになるはずだ。

 GARMIN 630全体に言えることだが、操作体系に田舎の温泉旅館のような分かりにくさがある。この機能は本体でなければできないとか、アプリが必要とか、PCでないとできないとかあって、何かをしようと思った時にマニュアルを検索しなければならない。

 せっかくアプリがあるのだから、端末の設定や情報は全てアプリで確認・コントロールできるようにすべきだ。この点では fitbit シリーズは完璧だった。アプリで全設定ができるのは当然でwebから行った設定もアプリ経由で端末に反映された。

○GPS
 前にも書いたが、GPS の掴みは素晴らしいの一言。コールドスタートでも1分かからずに補足が完了する。昔、自転車で使っていた GARMIN eTREX VISTA Legende の数分の一だ。GPSヲタを喜ばせるような衛星データの表示などはないが。

 精度についても文句なしだ。eTREX よりも正確に走った道をトレースしている。谷間のようなところに入っても乱れることが少ない。GLONAS にも対応していることが功を奏しているのだろう。みちびきにも対応しているがこちらは運が良ければという感じだろう。

 A-GPS ファイルはスマホアプリ経由でダウンロードするらしい。特に意識する必要はない。

○ランニングアシスト
 データ表示画面はアクティビティの種類ごとに別々に設定できる。表示可能項目も多いが、自分の場合は小さい字は見えないので猫に小判だ。走行中に走り方にフィードバックできたらいいが、知ったからといってどうしようもないことも多いが。

○電池
 自分には十分。一回の充電で1時間程度のランのログを3~4回取れる。前日の移動を伴うような大会でも家を出る前にフル充電にしておけば不安はない。注意しなければならないのは心拍センサーの電池だ。心拍センサーの電池は残量がわからないし、取り替えるには工具が必要になる。なので、切れるのが嫌なら、定期的に交換する必要がある。電池はCR2032で自転車用のLEDランプ等で使えるので、早めに交換しても無駄にはならない。自分は2ヶ月に一回くらいのペースで交換するつもり。

○アドバンスド・ランニング・ダイナミクス(以下、ARD)
 興味深い。足の調子が悪かったときにバランスが崩れていたり、自分の癖が如実に現れる。走行中に確認することもできるが、走行中に修正することは難しいので、走行中に見ることはない。

 ARDを計測するには専用の胸バンド型心拍センサーが必要だ。この位置に取り付けるから左右のバランスや接地時間が計測できるのだから、腕時計型で完結しているトラッカーでは取れないものが取れる。

 ARDで取れる特徴的な指標は、接地時間・左右バランス・ケイデンス・ストライドの四つだ。これでランニングフォームの改善に取り組んでいる。

○パフォーマンス測定
 VO2max や乳酸閾値も参考になるが、こちらの改善は地道なトレーニングしかない。が、どういう条件で改善されるのかは分からない。

 特に、乳酸閾値に関してはいつ計測しているのかが定かではない。不定期に更新されている。また、乳酸閾値には心拍数とペースが表示されるが、ペースと心拍数が別々に増減する。

○リカバリーアドバイザー
 心拍センサーを付けて運動した際に、回復に要する期間が時間や日数で表示される。オーバーワークによる故障を防ぐためだろう。かなり安全を重視した設定になっている気がする。ただし、最後のトレーニングの強度からだけ算出しているので、回復に3日かかるという強度のトレーニングをした翌日にジョギングをしたらジョギング後のリカバリータイムだけが表示される。

 また、この指標は端末でしか確認できない。アプリやウェブサイトで確認することはできない。

○統計アナウンス
 STRAVA や Runkeeper のようなサービスと同様、スマートフォンアプリと接続している場合には、ラップ(時間や距離で設定可能)時に情報を通知してくれる(画面上にされる)。が、この音量が音楽やポッドキャストの音量に比べて小さい。STRAVA にしても Runkeeper にしても、その他のナビアプリにしてもアナウンスをするときにはその時に再生している音声の音量を落としてアナウンスするが、GARMIN connect は音楽等の音量を変えない上に(追記:当モデルでも音楽の再生音は小さくなっていた)音量が小さいから聞き取れない。

 アプリと他の音声再生との相対的な音量を調整できないので、音声コンテンツを聴きながら使うことは事実上不可能だ。天下の GARMIN なのに、なんでこんなアホな仕様なんだろう。これはGARMIN630の問題ではなく GARMIN connect というアプリの問題なので、アプリのアップデートで解決できる問題だ。早急に改善して欲しい。

この点ではやはり STRAVA や Runkeeper の専業メーカーが優秀だ。アナウンスの声の聞き取りやすさや統計の選択肢の多さ。そして、当然アナウンスを聞きやすくする工夫が凝らされている。特に Runkeeper は再生をストップして、再開時に少し巻き戻す(この言い方自体が伝わるかどうか分からないが)芸の細かさだ。

○ダウンロードコンテンツ
 ダウンロードコンテンツには、アプリ・watchface・ウィジェット・データの四種類がある。ダウンロードにはスマホアプリまたはPCが必須。

・アプリ
 630が持っていない機能を追加することが可能だが、数は少ない。

 スタートボタンを押したところから iQ メニューに移動し、選んで起動する必要があるので面倒。ほとんど使わなくなった。

・watchface(文字盤)
 インストール例として掲げられた写真と実際にインストールしたときの落差は大きい。液晶の発色が悪いので色を多用したデザインは逆に見づらい。一番見やすいのは標準のデジタルウォッチだ。Pebble のような楽しい文字盤はほとんどない。

・widget
 アプリと同じように機能を持ったアプリだが、時計表示をスクロールすれば表示されるところが違う。こちらのほうが起動が簡単。

 アプリ以上に数が少ない。

・data
 アクティビティ中に表示される文字盤。標準の画面でもカスタマイズできるが、標準のアクティビティ画面では設定できない組み合わせやデザインが選べる。

 一画面の情報量を多くすることができるが、多くすると文字が小さくなってしまい、老眼には辛い。また、走行中に参考にならない情報を増やしたところであまり意味はない。ランニング中に電池残量が見えたからといって充電することはできないし、レース中に現在時刻を知る必要もないだろう。

 結局、自分がよく表示するのは心拍のみが表示される画面だ。数字が大きくて読みやすいだけでなく色で心拍レベルが分かる。そして、現在心拍がわかれば運動レベルを上げ下げする参考になる。

○スマートウォッチ的機能
 スマートウォッチに求められることの多くはできることになっているが、はっきりいって全く使い物にならない。スマートウォッチとして日常的に使うことは諦めた。Pebble 2 のほうがはるかに便利。一番問題なのは信頼性がないこと。

 通知をフィルターできない。そもそも、文字が小さすぎて読めない。画面いっぱいに表示すればいいのに・・・

 アラームについては前に書いたとおり。平日が定休日の人は使えないだろう(休日でも同じ時刻に起きるという人なら無問題だが)。スマホアプリで設定することはできない。しかも、設定通りに機能しない。単発のアラームは正常に機能するが、繰り返しで設定したアラームは機能しないことが多い。ならないかもしれない目覚まし時計なんて危なすぎて使い物にならない。スマートフォンの目覚ましを併用しないといけないのなら最初から要らない。

○設定の謎
 ライフログという機能があるが、勝手にONになったりOFFになったりしている。閾値の値が更新されたりされなかったりする。

 アラームの件といい、実装が雑で不安定だ。あれもできますこれもできますと詰め込んだ物の大半は使われずに終わる。カタログの星取表で好成績を上げるためだけの機能でしかない。

○ウェブサービス
 ウェブサイトのアクティビティログは最高。アドバンスド・ランニングダイナミクスを大きな画面で見られるのは代えがたい。

○結論
 スマートウォッチやフィットネス・トラッカー的な用途にも使いたいというのならこの機種はやめたほうがいい。絶対後悔する。

 トレーニング用としては申し分ない。胸バンド式の心拍センサーが必要というのは面倒だが、胸バンド式のセンサーがなければアドバンスド・ランニング・ダイナミックスを確認するためには選択肢はない。

 価格は自分が買ったときより更に下がっている。ランニング・ウォッチに求められることは全てできる。今の価格(2017/10/16時点25,661円 amazon調べ)からすれば十分に価値のあるものだ。GARMIN(ガーミン) ランニングウォッチ GPS タッチパネル VO2Max ライフログ ForAthlete 630JをAmazonで買う。少し安い心拍センサー無しも並んでいるから要注意。心拍センサーがないとこれを選ぶ意味が全くない。

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