大豆油をグラフェンに変える方法、オーストラリアのチームが開発

 グラフェン自体は特別な物質ではない。ただの炭素だ。危険でも何でもない。セロハンテープで取り出しに成功している。問題なのは産業レベルで使うコストで大量生産できるかどうかだ。例えば、ろうそくに火を灯してススをとることは誰でも知っている。その中にはグラフェンが含まれている可能性はある。フラーレンやカーボン・ナノチューブだってあるかもしれない。

 問題はどうやって取り出すかだ。グラフェンの特性は原子一個分の厚さしか無いことによって発現する。炭素の原子がたくさん集まった団子では駄目なのだ。

 下の記事で疑問なのは、廃油を使って純粋なグラフェンが取り出せるのかということだ。現在、真空雰囲気で作るのは不純物が入らないようにするたということも大きい。加熱段階で不純物を完全に気化してしまうくらいの高温にするのだろうか?だとしても、作ったシートに空気中の不純物が付着する可能性も高いだろう。

 この記事は「クレジットカード大」を低く評価するような書き方だが、クレジットカード大でも大変なことだ。それはこの動画を見れば分かるだろう。

 基礎研究の段階だから、これからどうなるかわからない。フラーレンやカーボン・ナノチューブも基礎研究では夢の素材のように扱われたが、未だに研究室から出ていない。グラフェンがこれらの列に並ぶのか、カーボン繊維のように工業化が進んで生活を変えるのか。自分が生きている間に変わればいいなぁ・・・

 
大豆油をグラフェンに変える方法、オーストラリアのチームが開発|WIRED.jp

オーストラリアの研究チームが開発した新しいテクノロジーが注目されている。このテクノロジーがさらに発展すれば、希少な「次世代素材」であるグラフェンをもっと手軽に、安価に手に入れられるようになるかもしれない。

その性質ゆえに、電子工学と医学の世界において重要な道具になることが期待されている。しかし、現在のところ、グラフェンは高度に制御された環境、つまり真空かつ非常に高い温度でつくらなければならない。多額のコストがかかるために、応用範囲が限定されているというのが現状だ。

しかし、この事態も、新たなテクノロジーによって変わるかもしれない。科学者たちは、通常の空気下でグラフェンをつくり出すことに成功したのだ。それも、単に大豆油を使うだけで。

「このグラフェンの製造プロセスは、時間がかからず単純で、しかも安全です」と、研究者の一人、韓兆軍は説明する。「わたしたちの技術はほかにはないものです。グラフェンの製造コストを引き下げることで、結果、応用もしやすくするでしょう」

「GraphAir」というのが、このテクノロジーに付けられた名前だ。

まず、大豆油を管状の炉で約30分間熱して炭素ブロックに分解する。炭素はその後、ニッケルのフィルム上で急速に冷やされ、薄い正方形のグラフェンとして再構成される。できあがった素材は、わずか1nm、つまり髪の毛1本の約80分の1の厚さしかない。

このテクノロジーは、これまでに実験されたほかの手法と比べて、経済的で実行しやすいだけではない。彼らオーストラリアの研究者たちによると、より短時間で済み、製造コストを10分の1に減らし、台所油の廃油のリサイクルのためのサステイナブルな解決策をも提供する。

「いま、わたしたちは、ほかのやり方では捨てられるであろう廃油をリサイクルして、有益なものに変えることができるのです」と、共同研究を行なった研究者、徐东翰は説明する。

次の挑戦は、このテクノロジーが、より大きな面積のフィルム製造にも利用できるかどうかを解明することだ。いまのところ、製造されるシートはクレジットカードと同じくらいの大きさにすぎない。商業利用で望まれるサイズにはほど遠いのは確かだ。

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