ヘルスケア 医療・保健関係のビジネスモデル

 未だに紙の「カルテ(これが紙という意味だが)」で運用している病院が多いように、自分の経験から思う。医師が書く記録も大半の医療機関では紙に書いている。これらは全てネットワーク化できる。既に実用化されているレベルのことは書かない。

 診断をAIでサポートすることはできるだろうが、診断そのものをAIでやるのは今のままでは難しいと考えられる。患者が自分の状態を正しくAIシステムに伝えられるとは思えない。本人が意識的に軽く言う場合、例えば試合前のスポーツ選手が試合に出たいために故障の状態を軽く言うことがあるだろう。逆に、会社や学校を休みたい時に症状を重く訴える場合もある。これらは、AIで読み取ることは無理だろう。また、人によって感じ方の違いもある。症状を重く訴える性格の人があれば軽く言う人もいる。本人すら意識していない表現の違いを機械的に読み取ることは非常に難しい。これらを的確に判断できるのは医師の対人的観察眼や患者を取り巻く環境への深い洞察だけだ。

 が、病院内で行われる情報の伝達についてはネットワーク化が可能だ。医師が処方した薬の取り違えによる事故などは、医師が入力した処方により取り出すようにすれば起こらなくなる。また、医師の処方箋そのものもAIによってチェックが可能だ。患者への投薬履歴や身体データからその処方が有りうるものかどうかはかなり正確にチェックできるはずだ。

 更に、個人の医療機関にかかった履歴DBをネットワークで共有すれば、医療機関ごとに「カルテ」を保管する必要はなくなる。他の医療機関で処方された薬が分かれば、重複して投薬する心配もない。

 個人が持つ保健カード的なもの(スマホやスマートウォッチのICカードに対応する)を医院の読み取り装置にかざせば、一々個人情報を書く必要はなくなるし、健康保険証を持ち歩く必要もなくなる。病歴やアレルギー、血液型、持病、投薬履歴も、本人のあやふやな記憶から聞き出す必要はない。

 更に、ここでIDバンド(フィットネスクラブ発行)やフィットネス・トラッカー(スマートウォッチを含む)の情報にもアクセスできるようにすれば、患者の生活習慣を本人に聞かなくても分かる。

 IDバンドによる生活習慣病予防については保健機関(会社と契約して健康診断をやってくれるようなところ)や自治体による保健サービスによる活用が適所かもしれない。そしてそれらの保健機関が医療記録と突き合わせて、病気予防対策を打てれば、病気になってからの対処療法に使っている金を減らせられるし、国民全体の生活の質の向上につながるだろう。

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