デジタルヲタクのジョギング再開と Vibram five fingers

 暖かくなってきたので、ジョギングを開始した。5年くらい前に試みたことが有ったが、交通事故を口実にやめてしまった。自転車は再開したのにジョギングは再開しなかったので、事故は止めるきっかけでしかないと自分でも思う。走っても楽しくないし辛いだけだったからだ。

 先日、ウォーキングでは身体が温まらないので、ゆっくりと走ってみた。足を前に出さず蹴り上げないよう、T6 で心拍が 140bpm を超えないように意識した。すると、以前よりずっと楽に続けられた。自宅は山間部なので、周辺に平地はほとんどない。登るか下るかしかない。しかも自宅は山の上の方なので、帰りには嫌でも急坂を登らなければならない。更に、都会とは言い難いが自動車の往来はコンスタントに有るので信号も多い。とても心拍を140bpm未満に保って走ることはできない。初心者で自分のペースもフォームも掴めてないのでアップダウンや信号のあるルートで負荷をコントロールすることなどできなかった。そしてすぐに消耗した。これがジョギングを楽しめなかった原因だと思う。

 社宅の周辺は平坦な場所が多い。また、大きな公園もある。更に、田舎なので信号無しで10km以上の一筆書きのルートを作ることも可能だ。周回が嫌いでなければ公園だけでも一周数百メートルのルートが作れる。ランナーにとっては願ってもない環境といえる。

 真冬は夜に外を走ることは考えられず、室内でローラーを回したが、気温が上がるとローラーは辛い。かといって、近場を自転車で走ってもトレーニングにはならない。負荷が低すぎるか高すぎるかで心拍を維持するのは、田舎とはいえ、難しい。

 こうなるとウェブで効率のよい方法を探るのがヲタク。ジョギングについていろんなサイトを見て回ってるうちに興味深い考え方に出会った。それがベアフット・ランニングだ。5年以上も前に話題になっていたらしいが、ランニングについてのアンテナを立てていなかったので全然知らなかった。かろうじて5本指のシューズが話題になっていたことを覚えている程度だった。

 普通、ジョギングをする際には、特に初心者はクッション性の高いジョギングシューズを勧められる。足や膝を衝撃から守るためだ。ベアフット・ランニングでは衝撃から守るのではなく衝撃を受けない走り方を身につけることを推奨する(らしい)。そして、裸足や衝撃吸収性の低いシューズで走る(歩く)ことでそれを身につけようという考え方らしい(外してるかもしれないので、気になる方は・・・とかを参照)。

 自分が興味を持ったのは、厚いソールのシューズを止めることで足回りの筋肉や骨を鍛えるという考え方だ。

 足が多数の骨と筋肉でできた精密な器官だということは昔から知っていた。これについて異論を唱える人はいないだろう。人類が二足歩行をするようになる段階で安定をとるために発達させたものだろう。人は歩く時に常に足の筋肉を使ってバランスをとっている。目をつぶって片足立ちをしてみると足裏でバランスを取る感覚が良く分かる。

 つまり、歩くことはこの能力を常に使うということだ。筋肉だけではなく、衝撃をうける骨も常に刺激を受ける。刺激を受けた骨や筋肉を発達させ使わなければ衰えるというのが人体の基本的な適応能力だ。不要な器官を弱くするのは退化だと思うかもしれないがそうではない。最適化でもある。不要な筋肉はエネルギーを無駄に消費するし重量にもなる。今のような飽食の時代は人類が生きてきた期間の最近だけだ(今でも飢えに面している人はいるがここでは取り上げない)。

 自転車でのトレーニングにはバランスを取ったり地面を蹴ったり、衝撃を受け止めたりするという刺激がない。なぜか。

 自転車が肩代わりしてくれるからだ。足で重心をコントロールしなくても自転車のジオメトリーでバランスは保たれる。進んでいる限り転ける心配はない。ショックはタイヤとホイール、フレーム、サドル、ハンドル、ペダルで分散して受け止める。スピードが速いことと進み方の違いで自転車のほうが路面からの衝撃は大きいが、少なくとも足で受け止めることはない。

 だから、1時間も歩けば足が痛くなる自分でも自転車に乗っている限り足が疲れることはない。その代わりに足がつることは多い。足の指や筋肉が動かない状態で力をつかっているからだろう。自転車用のシューズは底に板が入っていて曲がらないので歩くときのように足を動かすことは、したくてもできない。疲れが溜まったと感じても、動かしてほぐすこともできない。

 自転車に乗っていると心肺系や体幹筋は鍛えられる気がする。自転車に乗りたての頃には駅から自宅までの8km程度の距離を走っただけで腰がだるくなったが、今は半日走っても腰がだるくなることはない。心肺系も、以前は徒歩でも120bpmに上げられたが今は100bpmを超えることは難しくなった。

 ウォーキングをしても、身体が疲れる前に足が痛くなってしまう。なので、昨年からウォーキングの機会を増やした。有馬温泉ルートで8km程度は余裕で歩けるようになってきたが、10kmを超えると足の甲辺りに疲れが溜まって痛くなる。舗装の継ぎ目や歩道と車道の段差が辛くなる。

 このままジョギングシューズでジョギングをしても足を鍛えることは可能だろうし、ひょっとしたらそのほうが安全かもしれない。が、ヲタクの悪い癖で、効率を求めてしまう。同じ時間でより高い効果を得るための努力を惜しまないのが天邪鬼。特に、人と違うことをすることが大好きな自分だからベアフット・ランニングというか Five fingers に強く惹かれた。

 指が分かれたジョギングシューズがあることは知っていたが、ジョギングやランニングが大嫌いだったので、「そんなもんもあるねんな」といった程度だった。

 調べてみたら、山靴のソールで有名な Vibram が提唱しているらしかった。そして、2010年ごろから一部でブームになり、2013年にアメリカで、広告表現について集団訴訟を起こされ、事実上負けを認める形で和解(解決金を払うことを認めたので、原告の主張を認めたのと同じだろう)、一気に下火になり、現在に至る。ということらしかった。

 一時期は Nike や Adidas でも出していたが、今は見当たらない。恐らく、訴訟による悪評で印象が悪化して売上が落ちたのか、訴訟に巻き込まれるのを恐れて撤退したのかだろう。ただ、この足を守り過ぎないシューズという考え方を踏襲したシューズは今でも残っていて「ミニマルシューズ」と呼ばれているらしい。これは普通のランニングシューズに見えるが、ソールの構造や厚さが裸足に近いものらしい。

 で、この訴訟で批判された内容自体は妥当なもので、Vibram社がやっていた広告を自分が見ていたら眉に唾をつけて見ていたことだろう。だが、自分が求めているのはそこで訴えられていたことではない。

 とりあえず、ウソかマコトか試してみたくて、amazonを検索。が、サイズがない。自分が履けそうなサイズは一足もなかった。普通のジョギングシューズなら小さすぎなければ紐で固定すればなんとかなる。今履いているのもよく考えると大きすぎる気がするが、大して困っていない。

 それに対して、Vibram five fingers は許容範囲が狭いと思われる。できれば実物を履いて選びたいところだ。が、Vibram five fingers を扱っている店がない。近くに無いという意味ではなく、関西地方には Vibram のショップはない。こんなに高いシューズを試さずに通販で買うのは怖い。

aliexpress VFF そこで、アリババを思い出した。

 Vibram five fingers とは書いていないがよく似た形状の靴が見つかった。価格も安い。これならサイズを失敗して2足買ったとしても日本の Amazon で一足の Vibram five fingers より安い。

 アリババの6周年記念セールを利用して発注した(イマココ)。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です