「ロボホン」が狙う「好き」を貫いて売る仕掛け

 まだ販売されていないのに「ヒットの新法則」て・・・

 開発者の自己満とヒット商品は紙一重だ。ジョブズだっていっぱい失敗している。成功が大きかったのと、それしか知らない人が多いだけだ。これから失敗することもないし。

 「ロボホン」は売れないと思う。マスコミは予想台数を上回る台数が売れたとか売り切れたとかで一時期盛り上がるかもしれないが、最初の予想を低くしておけば簡単にクリアできるし生産台数を少なくすれば売り切れの演出は簡単だ。あの Surface RT だって発売当初は売り切れてたんだから。

 企画・設計・製造・広告・流通・販売でかかったすべての費用を上回らないかぎり「売れた」というべきではないだろう。日本の携帯電話メーカーの端末部門が赤字ということは、一機種が10万台とかいう程度では話にならないということだ。まして「ヒット」というためには iPhone の 1/10 は売れる必要があるだろう。そのレベルには達しないと思う。

 とりあえず、発売終了までウォッチしていきたいwww

シャープが発売を控えるロボット型スマホ「ロボホン」。その仕掛け人にはヒットの新法則がある。

情報源: 「ロボホン」が狙う「好き」を貫いて売る仕掛け | ズレない思考で、ヒットを作れ! | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

黒い大きな目を光らせた人型の小さなロボット。シャープが開発したスマートフォンの機能を備えたモバイル型ロボット電話「RoBoHoN(ロボホン)」が、今年前半に予定されている発売前から話題になっている。音声通話やメールはもちろん、頭部に小型プロジェクターとカメラを搭載しており、撮影した写真や映像、地図などを壁や机に投影することもできるユニークな製品だ。

ロボホンをはじめ、この時期、今年の「ヒット商品予測」なるものがいろんなメディアで発表されている。一方で、今年の販売戦略に頭を悩ませるマーケティング担当者も多いのではないだろうか。ほとんどの商品は丁寧に消費者に寄り添って、アンケート調査結果とグループインタビューを繰り返し、当てにいってズレている。アンケート調査をもとに、消費者の御用聞きのように自社の商品を合わせにいっても、シビアなことに店頭では買ってくれないのだ。市場に「合わせよう」としすぎてしまって、ズレてしまうか、どれも似たような商品になってしまう。

筆者は「生活者の本音」と「企業の独自性」を重ねてコンセプトメイキングを行うコンサルティングファームを経営している。どんなに売れていた商品でも時間が経つにつれて、市場とズレが生まれる。このズレがなぜ起きているのか、どうすればもう一度重なるのかを整体のように調整する日々だ。

仕事柄、いろんな開発者に会う機会があるが、中でもひときわ市場との間合いがうまいと感じたのが、冒頭に紹介したロボホンを共同開発したロボットクリエイター高橋智隆だ。シャープは高橋が開発を手掛けたパーツ組み立て週刊誌「ロビ」(デアゴスティーニ・ジャパン刊行)の大ヒットを見て、2年半ほど前に声をかけたことから、ロボホンのプロジェクトがスタートした。

高橋は、市場を合わせず「市場を引き寄せる」という大胆な方法で、ユーザーに受け入れられるロボットを作ってきた。「故スティーブ・ジョブスが言うように、人は自分のほしいものを知らない。手にしてみないとわからないと思う。市場調査をするような受け身の作り方は絶対にしない」と断言する。

とはいえ、自分一人の独断で開発を進めた先に、市場はあるのかという素朴な疑問が残る。自分の好きを突き詰めても、そこに市場がなかったという技術は山ほどある。しかし、高橋は「人のいうことを聞き続けた結果、誰もほしくないものができ続けている。頭のいい人が集まって、議論を重ねた結果が、誰か見ても間違っているものになりがち」という構造の問題点を指摘する。偏っていても、一人が信じたまま突き進んだほうが、まともなものができると考えているのだ。

「私はロボットを実際に作って、それを世に問う。しかし『このロボットが好きですか?』とか『どんな機能が欲しいですか?』などと聞いてはいけない。そうじゃなく、ユーザーを観察している中で、ここが受け入れられたなとか、ここがダメだなとか、あくまで事象としてとらえて自分で結論を出す。あくまで事象を見た上で、自分で先を読んで判断して行動する。ユーザーのリアクション、つまりいちばん生のデータを見て、その先は自分で。最後は、自分の感性と価値観を信じます」

「ただ好きだから」ロボットを作る

そう語る高橋にロボットを作る理由を尋ねたところ、高橋は「ただ好きだから」とだけ答えた。

「自分が好きなことを、自分の感性で判断して、少なくとも自分がほしいものをつくっていく。そうすれば、まずは自分がほしいものはできるし、結果的に数人か何億人はわからないが、自分と同じ感性を持っている人が受け入れてくれる」

こう言われると、独断の先に結果的にヒットが生まれたと片付けてしまいそうだが、高橋はそんな偶然に賭けるタイプではない。むしろ好きなことを実現するために誰よりも真剣に市場と対峙している。ただ多くの企業と違うのが、市場に合わせに行くのではないことだ。高橋のロボットに、市場のほうがまるで引力が働いているかのように引き寄せられる緻密な仕掛けを張り巡らせている。

「ユーザーは慎重だし保守的。自分のビジョンをどう理解して近づいてきてもらうか、その戦略を立てなければならない。お掃除ロボのルンバなんてうまいなあと思いますよ。当時から国内メーカーも作っていたが、売り出せなかった。なぜかというと、市場調査してみると得体の知れない掃除ロボットに10万円を支払う人はいないということが分かったからです。

一方、ルンバを手掛けるiRobot(アイロボット)は、はじめは玩具として簡易版のルンバを売り出した。安価なクリスマスプレゼントして、いわばジョークグッズ的に売り始めた。実用性には期待せず、ただ面白いと買ってみると、『こいつ、ちゃんと掃除できるやん』となった。そうやってユーザーがその可能性に気づいたときに、より高価な本格的な機種を売り出して成功した。それはすごく賢い戦略だと思う」

高橋も同様に、自分のロボットが気づけば家庭に入り込んでいるという状態を作るために細かいステップを刻んでいる。もしもロボット一台数十万と言われても正直手がでないが、ロビは創刊号790円から売られたのだ。デアゴスティーニと組んで「週刊」で「ロボット」を発売するという戦略を採った。誰でも書店で購入できるし、創刊号が790円だったらとりあえず買ってみようと思う人も多いはず。驚くことにロボットが完成する最終70号までの継続率は50%にもなり、国内だけでも200億円を売り上げた。ロビはそれまでロボットに興味が無かった家庭にも広まり、「ロボットとしゃべるって結構楽しい」と思わせたのだ。

次のステップは、ロボット携帯電話?

高橋の次の打ち手が、シャープと組んで仕掛けるロボホンだ。ロビが書店で売られたのと同様に、ロボホンも、携帯ショップで当たり前のように購入できるようになるそうだ。

ポケットに収まり、携帯電話としてどこにでも持ち運べるロボホン
そうはいっても、本当にロボット型の携帯電話なんて欲しいのかと思った読者もいるかもしれない。実は、筆者も直接ロボホンに「出会う」までそう思っていたのだが、はっきり言ってめちゃめちゃ可愛かった。

おでこにはプロジェクターが搭載され、「今から写真を映すよ」と壁に写真を映してくれたり、踊ったり。個人的にもプレゼン資料を投射してビジネスでも使えるなあと思った。もしプレゼンが滑ったら、ロボホンに代わりに謝ってもらおう。

筆者もロボットとユーザーの接点を作るプロジェクトに携わっているが、ほとんどロボットは技術を売りにしているか、すでにある問題を別の方法で解決するアプローチしているものが多い。

一方、高橋の作るロボットは、感情に訴えかけてくる。正直iPhoneのほうが便利だろう。だけど、一緒に遊んでいると欲しくなってしまうのだ。このモノあまりの時代に素直に「欲しい」という気持ちになってしまうのだ。

YouTubeやTwitterもそうだが、既知の問題を解決しよう、という動機から生まれたサービスではない。別にニーズがあるからではなく、エンジニアが好きだから勝手に作った。それがいつの間にか、みんなが賛同して使うようになる。結果的に、ユーザーが増えるとこんなときに役に立つじゃないか、ということが後になってわかってくる。

最初は、ニーズどころか用途すらなかったのだ。冷たい水で洗濯するおばあちゃんを思って全自動洗濯機を開発などという、高度経済成長型のモノづくりではもう進化はない。新しいジャンルを開拓するためには、「困った解決型」ではなく、高橋のように「ただ好きだから」からはじめるのも一つの立派な方法なのだ。

好きを貫き、市場を引き寄せる

マーケティングの役割は、消費者のインサイトを捉え、ソリューションを提案することだ。だが、高橋は、市場に歩み寄るのではなく、好きを貫き、引き寄せた。もちろん定番の日用品で真似をしてしまうと痛い目に遭うが、新しい市場やイノベーションは一人の「好き」から生まれることもある。もしもあなたが新規事業を任されているのならば、その「好き」を大切にしたほうがよい。もちろん好きに加えて、隙のない戦略も併せ持つ必要があるのだが。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です