iPhone 6でAndroidからシェアを奪回、日本のみ例外

 興味深いというか意外な結果だ。これまでずっと、日本は他の国と違って iPhone のシェアが異常に高いという話を聞いていたから。

 日本市場が世界市場と異なった動きを見せた要因はいくつか考えられる。

iPhone 6, iPhone 6 Plus の大きさが敬遠されたこと

 日本人の平均身長(手の大きさ)が小さいので、今年2年縛りが解ける iPhone 5 ユーザの買い替え需要を獲得できなかった。従来の、iPhone のコンパクトで高品質なイメージが Galaxy のようにしてしまったことで反発を招いたと考えられる。

 同時に、巨大化するスマートフォンに対する批判(iPhone に限らず)の影響が見えやすい形で影響したとも言えるだろう。Android なら同じ要素技術の世代の端末でも本体サイズにはバラエティがあるので、Android OS から他の OS への移行は不要だから。iPhone の場合は 6 世代は大きな端末しかないので、5 や 4S 世代の液晶の大きさでいいユーザは Android に乗り換えるか、使い続けるしかない。

価格

 SIM ロックフリー版などは発売後 2ヶ月という時期に値上げが行われ需要に冷水をぶっかけた。しかも、発売後品薄で注文しても数週間待ちだった状態で値上げが発表された。このため、「在庫が潤沢になってから買おう」と思っていたようなユーザにブレーキを掛けてしまった。

 Apple 製品は 2013 年から円安による値上げが行われて価格競争力を失いつつある。キャリアの料金プランでわかりにくくなっている iPhone は別として、iPad シリーズの Wi-Fi モデルは軒並み Android よりコストパフォーマンスが低下している。iPhone についても料金プランに隠れてわかりにくくなっているが、円安による仕入れ価格はキャリアが払っているので、間接的にサービスの悪化を招いている。例えば「かけ放題」強制などだ。

 価格に対して補足するなら、消費税の上昇や不況も影を落としているだろう。可処分所得が減った家計部門は同じことができるのなら安価な Android 端末への性向が高くなるのは当然だし、可処分所得の低い国の Android のシェアが iPhone を圧倒していることとも一致する。日本もそれらの国々の仲間入りということだろう。

20141204_moblie-shareApple、iPhone 6でAndroidからシェアを奪回、8–10月期は記録的な好成績―日本のみ例外(Kantar調べ) – TechCrunch
Appleはここ数年、さまざまな機能を詰め込んだ低価格Android機にシェアを奪われてきた。しかしここに来て最新のiPhone 6シリーズの大成功で少しではあるがシェア奪回に成功したようだ。われわれは10月末に速報を紹介したが、今回私はKantarの主席研究員でアメリカ調査部門の責任者、Carolina Milanesiに取材してさらに詳しい説明を受けた。

WPPグループの調査会社 Kantar Worldpanelが発表した最新の統計によれば、8月1日から10月31日までの3ヶ月で、日本を除く世界中ほとんどすべての市場でAppleのスマートフォンのシェアは微増している。これに対してAndroidのシェアは微減している地域が多い。iPhoneが依然スマートフォンのリーダーであることは明らかで、これは当分続きそうだ。

Android陣営については、地域によってリーダーが異なる。中国ではシャオミー(小米)がシェアトップだが、他の多くの市場では依然Samsungが1位だ。 Milanesiは私の取材に対して「(Android機のメーカーは)Samsungからシェアを奪えず、互いにシェアを奪い合っている」と説明した。例外はアメリカ市場で、LGがSamsungから少しだがシェアを奪った。

ヨーロッパの5大市場、イギリス、ドイツ、フランス、イタリー、スペインではAndroidが70%弱のシェアを占めている。しかし前年同期と比べると2.6%ポイントの下落だ。一方Appleは6ポイント近くアップして20.7%に達した。特にイギリスではAppleは今やスマートフォンの40%のシェアを占めている。昨年同期に比べて10.4ポイントの増加だ。

特にイギリスではiPhone 6が6 Plusに対してて4倍も多く売れたという。統計で実証された数字ではないが、大型の6 Plusは男性に好まれる傾向があるという。Kantarの統計によると、全売上の34%が16-24際のグループによるもので、全購入者の64%が男性であり、Kantarの説明によれば「iPhone 6購入の動機のトップは、4G (51%)、画面サイズ (49%) 、デザイン(45%)」だという。またイギリスにおけるiPhone 6の販売台数の31%は実店舗のAppleストアによるものだ。

Appleがすでに十分成功を収めた市場の動向はやや異なる。アメリカでのiPhoneのシェアは「0.7%の微増」にとどまった。

またアメリカではアンロック版スマートフォンがヨーロッパほど普及していない。iPhoneのキャリアに関してはVerizonが42.2%、AT&T 41.4%と完全に2強状態だ。ただしAT&Tは利幅の大きいiPhone 6 Pluのセールスでは63%と好調だった。

アメリカではiPhone 6がiPhone 6 Plusの3倍程度売れている。6 Plusの購入者は6よりもやや年齢が上だという。

「発売後1ヶ月でiPhone 6は33%の市場シェアを獲得し、8-10月期でもっとも売れたiOSデバイスとなった。iPhone 5sは26%で2位、iPhone 5cが18%で3位、iPhone 6 Plusは10%だった」Milanesiは説明した。

Appleはヨーロッパで大幅な伸びを見せたが、Asiaではさほどでもなかった。

中国ではAppleのシェアは前年同期に対して0.2ポイントアップの15.7%だった。売上が伸びなかった理由は10月にはいるまでiPhone 6の販売を開始できなかったことが大きい。シャオミーはシェア30%を獲得してトップに立った。iPhone 6は10月17日から31日までの期間の販売しか計上されていないにもかかわらず、シェアは3位だった。

ところが、世界中で一箇所だけAppleのシェアが大幅に減少した大市場がある。日本だ。ここ数年、日本はiPhoneのシェアがもっとも高い市場だったし、日本の市場調査でも依然としてトップの売れ行きを示している。われわれはKantarにこの現象の原因についてコメントを求めている。あるいは製品の供給がネックになったのかもしれない。

下に詳しい対話的統計レポートをエンベッドしておく。

〔日本版〕10/30の速報記事の日本版注でも日本市場におけるiPhoneシェアの大幅減について触れたが、Kantar側でも正確な原因がつかめていないようだ。引き続き注目したい。

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