自動車トマソン

eco idle badge 自動車には何故か仕様を誇示するステッカーが貼られている。自動車の仕様などは買う時の判断基準にはなるが、買った後は関係ない。機能があれば便利に使えばいいし無ければ使わないだけだ。大半の機能などは走っている時には意識することすらない。まして、人に知らせる必要のない情報だ。しかし、自動車を自分のアイデンティティに使っている人にとっては重要らしい。今ではどうか知らないが、数十年前までは「ステッカー(エンブレム)チューン」という言葉まであった。

 自分は全然興味はないしどうでもいいが、こういうアイテムに現れる意識が興味深い。これを見るだけで、その頃に開発・搭載されたものが分かる。同時に、社会の関心事が透けて見える。そして、それらが貼られなくなるということは、それが普及しコモディティ化したか廃れたかのどちらかだ。

 1970年代は基本が4速MTだった。なので、AT車には「AT」、5速MT車には「5MT」が貼られていた。自動車のグレードがステータスシンボルとして機能していた時代だ。この時代には高いグレードや性能を表すステッカーやエンブレムが多用された(今でもV6とかいうエンブレムを付けた車が時代錯誤の老人には愛用されていてゴルフ場周辺で見かけるが)。

 同様に、コモディティ化によって貼られなくなったステッカーとして思いつくのは、ABS、エアバッグ、イモビライザーがある。古くはエアコンとかもあった記憶があるが、思い違いかもしれない。

 Fitには排気ガス基準クリアとか燃費性能というステッカーが貼られている。これは、排気ガス規制や低燃費への関心の高まりを示しているだろう。2014年の車にはもっと最近の基準や燃費性能をクリアしたことを誇示するものが付いているのだろう。

 今流行りなのはハイブリッドだ。ステッカーというよりエンブレムが付いているものが多い。Prius のように全車がハイブリッドの場合には控えめだが、Fit のようにハイブリッド車とそうでない車とが混在する車種の場合にはエンブレムだけではなくボディデザインも変えて差別化を図っている。2014 年にはハイブリッド車に乗ることをステータスと考えている人が多いことが伺える。

 先日気づいたのはアイドリングストップだった。それ用の仕様はおそらくオプションなのだろう。だからそれを誇示するためのバッジが貼られていた。これも全社がアイドリングストップになれば消える運命だ。

 また、「カーナビ盗難防止ビス使用」というものはステッカーそれ自身に存在価値がある。これは、カーナビの盗難を防ぐことが目的では無く、カーナビを盗もうとする行為を抑止するためのステッカーだ。カーナビ盗難防止ビスでカーナビの盗難を防げても、盗難行為のためにガラスを割ったりドアをこじ開けたりされるだけで修理費用はかかるからだ。というより、盗まれたカーナビの価格より車の修理の値段のほうが高くつくというケースも有るらしいから、その気にさせないのは重要だ。

 イモビライザー装備というのも同様の効果が期待できるのに、イモビライザーが一般化したのか、自分のFitにはイモビライザーが着いているのに、イモビライザー装備というステッカーは貼られていない。残念だ(因みに、Fitにはカーナビは付いていないので盗難防止ネジは不要だ)。

 これは自動車メーカーの自動車に対する考え方が未だにステータスシンボル又はフェティッシュに留まっていることを示す例だ。コモディティ化し差別化に繋らないステッカーは貼る必要を感じないのだろう。それがユーザにメリットになるとしても。

 こういう自動車メーカーの意識はその広告で良く分かるが、話がそれるので、気が向いたら書く。

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