御堂筋くん、ちょっと・・・ 弱虫ペダル 13ステージ感想

 ステレオタイプな漫画の敵キャラとして登場の御堂筋君だが、やり過ぎ感があって興ざめだ。ロードレースは強力な人間がひとりで優勝できる世界ではない。グランツールのような長いステージレースは当然、一日のレースでもチームのサポートなしには優勝は難しい。彼がチームとして戦える他チームとのやりとりの中で学んでいかせるための伏線かもしれないが。

 作者はロードレースにも出場するような自転車や自転車レースにも詳しい人なのに、なんでこんな描き方なのか分からない。他にもロードレースを勘違いさせるような表現が散見されるし。作者がストーリーを描いた時(ネーム)に編集者が自転車競技のリアリズムではない視点からアドバイスするんだろうか・・・

 まず、誰もが同時に走っているにもかかわらず縦にならないというのは考えられない。縦に並ぶのが合理的な姿でスキルが有ればあるほど縦に並ぶ。

 一番おかしいと思ったのは、千葉県予選だ。県内では総北高校は飛び抜けて強い。なので、3年制3人で出場しても余裕で優勝できるらしかった。そして、10週のクリテリウムで残り2周でトップから50秒遅れで走っていた。そこからスプリンターの3年制が高速巡航して次の周回ではトップで帰ってきてそのまま2位に1分差を付けて優勝した。そして、主将は1年制達(主人公を含む)に向かって、「他の県の学校が偵察に来ていた。そこで、お前たちを出場させなかった。」と言った。

 何から何までロードレース的にはおかしい。そんなに強いなら50秒ものリードを許す必要はない。逃げが50秒先を走っていて集団が追い上げていないというのならあり得るが、バラバラに走っていた。そのなかであえて間隔を開けさせる意味が分からない。

 なぜなら、他校の偵察が来ていることを知っていて手の内を見せたくないなら、田所の速度を見せる必要はない。また、リードして優勝する必要もない。ギリギリでスプリンターが前に出てなんとか優勝したというほうが手の内を見せないという意味ではいいだろう。

 更に、残り2周でスプリンターが先頭を牽いてあっという間に先行する2校を抜いてしまったが、スプリンターは10km前から先行するなんて絶対にない。もし仮に、タイム差を付けて優勝することを狙ったとしても、そこは平地が走れるエースの主将が牽いてトップに追いつき、力を温存し残り1km位から一度もトップを牽かなかったクライマーが300mくらい牽き速度が上がった所で主将が引き継ぎ残り200mでスプリンターを発射というのが正しい戦い方だ。

 自分がストーリーを作るなら下のようにする。そうすればロードレースを知らない読者にも3年生の力を示すことができるはずだ。

(ギリギリで優勝した3年生に1年生が食って掛かる)
鳴子「だらしないレースしてから」
主将「このレースの目標は、偵察に手の内を見せずに予選を突破することだ。それ以上の事をする必要はない。本当の力はインターハイで見せればいい」
鳴子「全て計算通りっちゅうことか」
坂道「ギリギリに見えたのはわざとそうしてたんだ」
今泉「敵の力を見切ってギリギリで勝つ。相当な力の差がないとできないだろう」

 後、前年のインターハイ優勝校の「全員がエース」というのは間違い。エースとは役割であって強い弱いを表す言葉ではない。野球、サッカー、アメリカン・フットボールのポジションとして考えるべきなのだ。クライマー、スプリンター、TTスペシャリスト、オールラウンダーは役割ではなく脚質だ。だから、「全員がオールラウンダーで誰が優勝しても不思議はない」チームはあってもいいが「全員がエース」はあり得ない。

 話は変わるが、今回からopとedが代わった。opを観ていて、路面のヒビが描き込まれていることに驚いた。マンホールのフタの縁のアスファルトの盛り上がりもある。これらは細い高気圧のタイヤでは負担でしかない嫌な物だ。自転車の慣性モーメントが上下動で殺されて速度が落ちる。振動で体力を奪われる。また、マンホールはアスファルトと面があっていることは少ない。浮き上がっているか凹んでいるかだ。リム打ちパンクにつながる可能性も有る。

 ついでに思いついたこと。作画のテイストが違うシーンがあって驚いた。失速か・・・

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