リボンの憂鬱:WoodStreamのデジタル生活 (マイクロソフト系Podcast) 第185回

第185回 わかってくれとは言わないが、そんなにリボンが悪いのか | WoodStreamのデジタル生活 (マイクロソフト系Podcast)

 技術ヲタと一般人との感覚の違いがよく分かる。木沢さんの気持ちもよく分かる。「なんで、この機能の良さが分からんねん」というのはよくある。

 しかし、Office は Mac OS とは比較にならないくらいの本数が出荷されている。しかも、そのユーザの大半は仕事でいやいや使い方を覚えた人たちだ。仕事で必要でなければ一生パソコンを触らずにいたであろう人も多い。ヲタには考えられないことだが、自宅にPCがない人やあっても触らない人もいるらしい。帰宅したら電灯を点けた次の動作でPCの電源を入れるようなヲタとは感覚が違うのだ。彼らは、ソフトの UI に込められた意味なんかに興味はない。

 木沢さんの説明は分かる。増えてきた機能をヴィジュアルにわかりやすくしようという試みも理解はできる。しかし、目的の機能を探すのに従来より必要なステップ数が増えている。コンテクストメニューに畳み込まれている機能を呼び出すためには2回以上クリックしなければならない。しかも、うっとうしいのはそのときに表示されているリボンの状態によって手数も押すべき場所も変わるということで、これが混乱の原因になっていると思う。

 Office 2003 でも、「よく使うメニューを上に持ってくる」とかいうおせっかい機能があって、まっさきにオフにしていた。メニューアイテムは同じ場所に有るほうが使い易いのだ。でないと、一々メニューを見てポインタ操作しなければならない。毎日使っていれば固定されていればほぼ無意識に選ぶことができるのにだ。階層メニューの階層を上げられるのならともかく、位置だけ変えられても迷惑なだけだ。このおせっかいの悪い方向への進化がリボンだと思う。

 もうひとつ、リボンは場所をとることについて言及されていなかったのはなぜだろう。リボンを設計した当時はパソコンのモニタは大型化されつつあった。ノートPCでもビジネスモデルは 1280×800 や 1400×1050 が主流になりそうな勢いがあった。しかし、その後ワイド化がすすみ 1366×768 のPCが標準となりつつ有る。XP登場時に主流だった 1024×768 と上下幅が一緒なのだ。2003 と比較するとリボンの面積が増えた分本来の作業エリアが1割近く減っている。これが実に腹立たしい。(自分は普段は折りたたんでおいて必要な時だけ cntl+F1 で表示しているが)。
ribon01 1366×768 でリボンを表示した場合:26行しか表示できない。フォントはメイリオ9ポイント(以下同様)。

ribon02  1366×768 でリボンを表示しない場合:30行。自分の通常作業モードはこれ。

ribon_1400-1050. 1400×1050 リボンを表示しても47行表示できる。これならリボンを出しっぱなしにしても問題を感じない。

 リボンのカスタマイズについても語られていた。自分もオリジナルのタブを作って殆どの作業はそのタブだけで完結できる。しかし、大半の人はそんなことができることを知らないない。また、自分の場合は必須のクイックアクセスツールバーのカスタマイズもしている人は、自分が勤めている会社では、いない。

 MyMenu というユーザー設定タブとクイックアクセスツールバー、キーボードショートカット、右クリックメニューで呼び出すダイアログで殆どの作業が完結する。チューニング不足でリボンとクイックアクセスツールバーとで重複しているのはご愛嬌。

 これらの根本的な原因は、Microsoft の考える Office とユーザの求める Office との食い違いだ。「マイクロソフトの使って欲しい便利機能」なんて、一般事務で使っている文書を作るときには全く必要とされていないのだ。だから、それらに簡単にアクセスするための UI なんて邪魔だけなのだ。ワープロや表計算に求められる機能なんて 2003 でほぼ完成していた(自分のようなヲタには 2010 の追加機能が便利なシーンもあるが他の人達が使っていることを見ることはない)。

 自分は 2010 について、Excel の使用出来るセルの数が大きく増えたことで2003では分けて処理しなければならなかった作業を一つのシートで出来るようになったことを高く評価している。xlsx のファイルサイズが xls より小さくなるのも嬉しい。Word については 2003 よりスタイルの管理が若干楽になったことくらいしかメリットを感じていないが。

 ちなみに、サーバーの管理費用を捻出するための過去ログ有償配信で一口購入した。こういう投げ銭システムで長く続けられるなら他の番組でも採用して欲しい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です