AED は有効だが胸骨圧迫こそが重要

 昨日会社で AED の使用方法説明会があった。導入時に受けていたので必要はあまり感じなかったが、全員参加というので参加した。

 前回は2年くらい前だったが、その後ガイドラインが変わっていた。その内容も納得できるもので参考になった。一通りの説明が終わった時点で多くの社員が帰ってしまって、残ったのが10人弱になってからの説明ややり取りが非常に参考になった。

 また、人が帰ってから、その担当者が自分がAEDに救われたことを話し、自分にはAEDと同じようなものを埋め込んでいるといい、ペースメーカーの人はこんな感じで入ってますとその装置(名前忘れた)を見せてくれた。もちろん、皮下に埋め込まれているので膨らんでいる所が分かるだけだが。その人は、4年くらい前に倒れて、たまたまいた医者の胸骨圧迫とAEDで助かった。対応が良かったのでほとんど障害が残らずに済んだとのことだった。(その話があるまではまったく障害があるとは分からなかったし、今もどんな障害が残っているのかは全くわからないレベルだった)。

 衝撃的な経験をされていて驚いた。しかし、こんなAEDの説明にぴったりなエピソードを掴みに使わなかったのが謎だった。もったいない。一番最初にこの話をして、「二日間意識が戻りませんでしたが、今ではこのように健康に生活できていて、AEDを広める仕事に就いています。倒れている人というのがイメージできないかもしれませんが、私が突然倒れたと思えばイメージできるかもしれません。もしもの時に、みなさんも誰かを救うことができるようになるためにもAEDの使い方を覚えてください。」とか言えば聞く側の身の入り方も変わっただろうに。

 あと、実際問題、女性には体力的に難しいから、自分でやろうと思わずにできるだけ大声で人を集めて指示を出すようにと教えたほうが実際的だと感じた。

 せっかくなので、ここに整理しておく。せっかくやから覚えて帰ってください。

  • 重要なのはAEDより胸骨圧迫。倒れた人の生存確率や生存後の障害の重さはAEDや救急車が到着するまでにどれだけしっかり胸骨圧迫できるかにかかっている。
  • 周りの人を巻き込む。なぜなら、胸骨圧迫は力仕事なので一人で長時間続けることは難しいから。成人男性でも1分続けるのはむずかしい。
  • 胸骨圧迫を早く開始しできる限り止めないことが重要。なので、交代の際にもタイミングを合わせて交代することが望ましい。
  • 胸骨圧迫は救急隊員が車で続ける。救急車が来たからといって手を止めてはいけない。
  • 押す位置は「胸の中央部」胸骨が強い部分なので強く押しても大丈夫。仮に、肋骨が折れたとしても手を止めてはいけない。肋骨はつながるが脳の障害は元に戻せない。また、「胸の中央」と覚えておけば焦って舞い上がっていても場所を間違えにくい。(細かい指示をするあまり、マゴついては意味が無い)
  • 肘を曲げてはいけない。上半身の体重を乗せるようにする。胸が5cm以上沈み込むくらい。これはかなり強い力だ。以前は4cm~5cmだったが、上限を決めると弱くなって4cmも押せない場合が多くなるので、最低5cmとした。このほうが強く押される確率が高くなる。圧迫不十分では血液の吐出し量が不十分になり脳が死んでしまう。
  • 左下の電極は胸ではなく脇腹に貼る。
  • 妊娠中の女性でもAEDを使って構わない。胎児は母体の血液から酸素を得ているので一刻も早く血流をもとに戻すほうがいい。そもそも、母体が死んだら子供も死ぬ。また、そのためにも一瞬の躊躇もなく胸部圧迫をする必要がある。心臓が機能しない状態で放置することは赤ちゃんの口を塞いでいるのと一緒だ。
  • 意識の有無を確認する際には顔を叩かないこと。叩くのは鎖骨付近。なぜなら、倒れた原因が脳溢血などであった場合に脳に衝撃を与えることが悪影響を及ぼす可能性がある。
  • 出血している場合には止血が先。止血せずに胸骨圧迫をすると失血死を招くことになる。緊急性では出血のほうが上。もちろん、出血がカッターで傷をつけた程度なら気にせず胸骨圧迫する。
  • ペースメーカーをつけている人の場合には電極を10cmくらい離して取り付ける必要がある。多くの場合左鎖骨付近なので気にする必要はないが、右鎖骨付近にある人もたまにいるので、右鎖骨付近に縫い目がある場合には注意。触って皮下に硬いものがあればペースメーカーである可能性が高い。
  • 人工呼吸はしなくてもいい。うまく出来るならやったほうがいいが、大きく影響はないとの検証結果があった。また、人工呼吸は心理的なハードルが高く躊躇してしまって胸骨圧迫の手が止まってしまっては本末転倒なので、ガイドラインが変わった。
  • 人を指して「あなたAEDを持ってきてください」「あなたは救急車を呼んでください」と指示することが重要。また、AEDのある場所がはっきりと分からない場所(屋外等)では AED を複数の人に探しに行かせるほうがいい。一番最初に届いたものを使えばいい。
  • 追加:女性や肉定的な不調などで、胸骨圧迫を自分でできない場合には、人を集め「私が119に電話するので、あなたはAED、あなたは胸骨圧迫をしてください」と言うようにすること。そして、「もっと強く押して」とか「もっと速く」「あなた代わって」と現場指揮官をやる。

http://ja.wikipedia.org/wiki/心肺蘇生法

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