飽和に達しそうなアプリストア, 新人はわずかに全体の2〜3%

 前に書いたアキバのメイドカフェの閉店についての考察と同じ基本的な誤りを犯している。2~3%という数字だけを見て「少なそうだから、その理由を考えてみた」というものでしかない。「2%」というのが多いのか少ないのかはそれだけでは分からない。予防接種の副作用による死亡率が 2% だとしたらすぐにその予防接種は止めなければならないくらい「高い」と考えるべきだし、社内セミナーで居眠りする人間の割合が 2% なら「低い」と考えそのセミナーは続けるべきだろう。これは、前提となる(期待されるあるいは予想される)数字と比較しているからだ。

 「予防接種の副作用による死亡率」や「社内セミナーで居眠りする人の割合」などの期待値は議論しなくてもほぼ同じような数値を共有しているだろう。前者なら 0.001% 以下であることが期待されているだろうし後者なら10%くらいは珍しくないだろう(20人の会議室で2~3人が寝ている姿は日常茶飯事だろう)。つまり、「新人の割合が 2%」というのが高いのか低いのかはこの調査では全くわからないのだ。Windows や Mac OS などの商用アプリの開発者の新人の割合がこれより高いのか低いのかと比較して初めて、開発者がどのプラットフォームに投資するのがいいかの参考になるのだろう。

 iTunes store も Google play も数が大きくなったということでしかないだろう。古くからの開発者は既存ユーザという資産を持っているし知名度も高い。累積した結果での順位付けなら既存開発者が上に並ぶのは当然だ。それが分かっているから、新しいプラットフォームができたらユーザー数が少なくて投資の回収ができないことが分かっていても参入する開発者がいるのだ。プラットフォームが育てば、その中で先行利益を得て後で回収するという戦略だ。今、上位に並んでいる企業は iOS や android から資金を回収できるかどうかわからない頃から資源を投下し、OS のアップデートやハードの進化に合わせてアプリをアップデートしてきた企業だ。後発者が厳しいのは当然だ。

 「iOS のアプリも Android のアプリも、プラットフォームとしての規模が大きくなり新規参入が難しくなった」ということでしかないのではないか。アプリの数がわずかしかなかった頃はそれぞれのカテゴリで上位に入ることが簡単だったが、数が増えたので難しくなったというのは、ユーザにとってプラットフォームの熟成とカスを掴まされる危険性の低下を意味することだろう。

 一方、新しいアイデアを持った挑戦者が評価されるチャンスを失う可能性が増えているというのも事実でこれは別の課題だろう。

飽和に達しそうなアプリストア, 新人はわずかに全体の2〜3%

アプリストアの分析サービスを提供しているDistimoが今日発表したレポートによると、iPhone App Storeの最上位250社のパブリッシャー(デベロッパ企業)のうち、“新人”はわずかに2%にすぎない。AndroidのストアであるGoogle Playでは、3%だ。今日のモバイルアプリストアでヒット作を生むことがいかに難しいかを、これらの数字は物語っている。

同じレポートによると、小さな国では新人の比率がやや高くて、Google PlayもiPhone App Storeも共に6%だ。

最上位250社の全売上額の中で、新人たちのシェアはどれぐらいだとお思いか? iPhone App Storeでは、わずかに0.25%、Google Playでは1.2%だ。非常に厳しい市場である。

Google Playでは、新人が比較的好調なのは最初の一瞬だけだ。これらのことが暗示しているのは、ストアが、あるいは市場が、完全な飽和状態に達しているのかもしれない、ということだ。数の多さでいえば、やや先輩であるiOS Storeの方がGoogle Playより多いのだけれど。

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