長く続きし乳の雨の後 ランスの処々方々で天と地とが触れん その近くでは血の争いが起らん 王族は父も子もあえて近寄らざらん これは第三巻第十八番の詩であるが、第一次世界大戦を暗示しているという。一九一四年に大戦が勃発するまで、ヨーロッパは四十年間の平和を楽しみ、ブルジョワジーは我が世の春を謳歌したのである。いわゆるベル・エポックであるが、詩に出てくる「長く続きし乳の雨」とは、このブルジョワジーの繁栄を意味しているそうだ。ランスの町の近くは、有名なマルヌの激戦の行われた場所で、「天と地とが触れん」というのは、砲煙弾雨のために天地が接したように見える情景を詩的に表現したものだという。そして事実、この激戦地には、交戦国の王族は誰一人として近寄らなかったのである。 :人物 :行為者 #ls2(妖人奇人館/ノストラダムスの予言)