切り裂きジャックには、自分の犯罪をできるだけ目立たせようという、一種の自己顕示欲が強くはたらいていたようである。彼は何度も新聞社や警視庁へ、自信たっぷりな、嘲弄的な手紙を送った。はたして犯人のものかどうか疑わしいような手紙もたくさん混じっていたが、専門家の研究によると、三十四通は真正の手紙だそうである。最初の手紙は、一八八八年九月十二日、セントラル・ニューズ・エージェンシーに届いたもので、赤インクで書かれていた。「おれは淫売どもに怨みがある。腹の虫がおさまるまで斬ってやる。偉大な仕事、至上の仕事だ」といったような文面だった。−ロンドン警視庁(スコットランド・ヤード)の犯罪博物館には、今でも、これらの手紙がガラス・ケースにおさめて展示してある。 |