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伝説では、ラスプーチンは多くの女を情婦にし、修道女を強姦し、いつも酒びたりになって、放縦きわまる生活を送っていたというが、娘のマリアは、この強姦説を否定している。女の方から寄ってくるのだから、強姦する必要なんかなかった、という理窟である。もっとも、彼に情婦がいたという事実は、娘といえども否定しようがないらしい。この取り巻きの女のなかには、彼を暗殺するためにボルシェヴィキ党から送りこまれた、危険な女スパイもいたという。 娘のマリアの証言によると、ラスプーチンは決して肉を口にせず、魚と卵と果物と黒パンしか食べなかった。若い頃、放蕩無頼.の生活を送ったというのは誤りで、酒は晩年になってから、初めて少し嗜むようになった。その代り、お茶は一日中、信じられないくらいの量を飲んだ。朝六時に起きて、必ずミサを執り行う習慣だったという。