飢えに狂った野獣は河を渡らん 大部分の陣営はヒステルに敵対せん かくてゲルマンの子は一切の掟を破り 勝者は鉄の檻を引き出さん これは第二巻第二十四番の詩であるが、申すまでもなくドイツの敗北を予言している。「野獣」とは、戦争に負けたみじめな民衆である。敗色が濃くなってくると、ナチスの軍隊は戦時国際公法を無視して「一切の掟を破り」、ユダヤ人虐殺などの計画を一段と強化し出すのだ。やがて連合軍は勝利すると、ナチスの戦犯を逮捕し、ニュールンベルク裁判で彼らに苛酷な刑を課する。「鉄の檻」とは、この意味であろう。 |