ライ麦に寄生する麦角菌による中毒症状(アントニウスの火とも呼ばれる) ライ麦などイネ科の植物がかかる病気の中に、子房内に黒紫色の菌核を形成させる「麦角病」という植物病があるのだが、その麦角病の菌核には「麦角アルカロイド」という毒素が多量に含まれているのだ。しかも、この麦角菌が体内に入ると、体の末端部分の壊疽や極度のしびれ、精神錯乱、記憶の欠如、そして幻覚を体験するといった中毒症状を起こす事が分かっている。つまり、このフランスの田舎町で起こった事件は、麦角菌に侵されたライ麦を使用して作られたパンを、町の人々が知らずに食べて麦角中毒に陥り、腹痛や幻覚症状を引き起こしたものだったのである。 おもにライムギに寄生する麦角菌(Claviceps purpurea)の菌核に含まれるインドールアルカロイド.麦角菌のみならず,Neotyphodium属エンドファイトも種々の麦角アルカロイド(ergot alkaloids)を産生することが知られている. |