第二次大戦ナチスの宣伝大臣として悪魔のような活躍ぶりを示し、ベルリン陥落直前ヒトラーと運命を共にして自殺したパウル・ヨーゼフ・ゲッベルス博士には、美しい金髪の夫人があった。その名をマグダという。

権勢欲に憑かれたプチ・ブル出身のニヒリスト政治家と、大ブルジョワの家庭に生まれたロマンティックな気質の女性とは、一見、正反対の性格を示すかのように思われるだけに、あの悪夢のような動乱の一時期を背景とした、破滅に向って突き進む二人の男女の結びつきには、なにか運命的な、不吉なものの翳を認めないわけにはいかないのである。


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Last-modified: 2005-02-26 (土) 13:05:09