『ファウスト』(独:Faust)は、18-19世紀ドイツの文人ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの代表作とされる長編の戯曲。全編を通して韻文で書かれている。 戯曲『ファウスト』は、15-16世紀頃のドイツに実在したと言われる“ドクトル・ファウストゥス”の伝説を下敷きにして、ゲーテがほぼその一生をかけて完成した畢生の大作である。このファウスト博士は、錬金術や占星術を使う黒魔術師であるという噂に包まれ、悪魔と契約して最後には魂を奪われ体を四散されたという奇怪な伝説、風聞がささやかれていた。ゲーテは、若い頃からこの伝承に並々ならぬ興味を抱き、こうした様々な伝説に取材して、彼を主人公とする長大な戯曲を仕立て上げた。(なお、主人公の名前は「幸福な、祝福された」を意味するラテン語faustus に由来する。ドイツ語で「拳骨」を意味する Faust と一致するが、偶然の一致にすぎない。) |