性的マゾヒズムの人(マゾヒスト)は、はずかしめを受ける、打たれる、縛られるなどの虐待を受けることによって性的興奮を得ます。性的サディズムの人(サディスト)は、相手に肉体的あるいは精神的な苦痛を与えることによって性的な快感を得ます。サディストがパートナー(マゾヒストの場合もある)と合意の上でサディスティックな衝動を行動に表す場合もありますが、まれに、合意していない人に対してそういった行為を行うこともあります。完全な征服感と優越感を空想することがしばしば大切で、サディストは仰々しい方法で相手を縛ったり、さるぐつわをはめたりします。 健全な性的関係においても、多少のサディズム的な、あるいはマゾヒズム的な行為を試みるのはよくあることで、互いに気心の知れているパートナーがあれこれと試してみたりします。たとえば、拘束行為を装って相手を絹のハンカチで縛ったり、軽くたたいたりする程度のことは、合意しているパートナー同士が行っている限りは普通の行為であり、サディズムやマゾヒズムとはみなされません。 性的マゾヒズム障害や性的サディズム障害の人は、これらの行為を極限まで行い、その結果、身体的または精神的に重度の危害をもたらしたり、ときには死に至ることさえあります。たとえば、マゾヒスティックな性的行為のうち窒息趣味と呼ばれるものでは、のどを絞められたり、パートナーまたは本人が自分で首を縄で縛る方法で、一時的に窒息寸前の状態に陥ります。これは、オルガスムの頂点で脳への酸素供給を一時的に減少させて性的な快感を高めようとする行為ですが、ときに事故死につながることがあります。 メルクマニュアル家庭版:性嗜好異常 サディズム(英語:Sadism)は、加虐性欲(かぎゃくせいよく)ともいい、相手(動物も含む)に身体的または精神的に苦痛を与えることによって性的快感を味わったり、そのような行為を想像したりして性的興奮を得る性的嗜好の一つのタイプである。極端な場合、精神的な障害とも見なされ、この場合は性的倒錯(パラフィリア)となる。サディズムである人間のことを「サディスト」と呼ぶ。加虐性淫乱症とも呼ぶが、これは変態性欲の通俗概念などと同様、多分に差別的な呼称である。 嗜虐性向の強い小説作品を発表したり、実際にSM行為を娼館で行なっていたというフランスの侯爵マルキ・ド・サドの名前に由来しており、オーストリアの精神医学者リヒャルト・フォン・クラフト=エビングの造語である。性的な倒錯として定義されたが、後に、加虐的な傾向一般をサディズム(Sadism)と言うようになり、性的嗜好のサディズムは、「性的サディズム(Sexual Sadism)」とも言い分けて区別することがある。 |