UFJ経営情報クラブ2005.10.18 No.05ー190
  次代のエースを育てよう
  〜 コア人材開発の施策4本柱とは 〜
 UFJ総合研究所 人事組織戦略部(名古屋)
     チーフコンサルタント 佐藤 政人
◆英才教育の変化
 過去において、英才教育からイメージする
ものと言えば、特定の社員に決められたレー
ルの上を大過なく走らせるものであった。入
社時に「君はエリートだ」と言われ、本社の
中枢部門に配属される。一旦、営業や地方の
支店を経験した後、また本社の中枢部門を異
動しながら昇進を重ねるというのが、よくあ
るパターンだった。
 しかし、昨今、英才教育も変化している。
選抜された者を研修で徹底的に鍛えた上で、
現場や子会社へ送り込み、修羅場を体験させ
る企業が増えてきた。そして、英才教育は大
企業だけでなく、多くのオーナー系中小企業
においても、後継者育成に関連する重要な課
題となっている。
◆「80:20の法則」は現実的
「80:20の法則」とは、結果の80%は原因
の20%から生じるというものである。『人
生を成功させるための「80対 20」革命!』
(リチヤード・コツチ著、ダイヤモンド社)
に記述されている通り、20%にすぎない社員
が全体の80%の付加価値を生み出すとした
ら、その生産性は残り80%の社員の16倍に
もなる。昨今では、このような格差は決して
珍しくない。
「全社員の底上げが優先」という企業も多い
が、16倍の付加価値を生み出す人材に集中
投資することが重要な時代になっている。
◆コア人材を育てるための施策4本柱
 しかし、多くの企業においては「研修さえ
すればリ−ダーは自然と育つ」という誤解が
ある。そして、研修以外の施策も含めたトー
タルな人材開発体制は、まだまだ十分とは言
えない。リーダーとなるコア人材を効率的に
開発するには、次の4つの施策が欠かせない。
1.風土改革
 コア人材を開発しようとする風土や、選抜
することを認めるという価値観の浸透が絶対
条件である。皆で仲良くしていくことを優先
するような雰囲気では、出る杭は打たれ、優
秀な人材が潰されてしまうt。
2.英才教育
 定番的な階層別研修だけでなく、選抜型の
コア人材研修や、修羅場を体験させるための
異動も必要である。20歳代後半など、でき
る限り若い時からそうした体験をさせる。選
抜型研修の受講者は適宜入れ替え、受講者に
「自分は選ばれた人材だ」という変なプライ
ドを持たせないことと、非受講者に「チャン
スはある」と思わせることも大事である。
3.コア人材の退職予防       ・
 コア人材の流出は「当社で育て、他社で活
躍」という事態になり、投資対効果の悪化に
つながる。処遇を上げるだけでなく、長期ビ
ジョンを明確に伝えたり、最重要プロジェク
トに入れてやりがいを維持させたり、定期的
に経営トップと面談させるといった施策を実
施すると良い。「この会社にいれば自分は成
長できるし、会社の成長にも貢献できる」と
感じさえすれば、退職する者はあまりいない。
4・人事制度による後押し
 人事制度は、各管理者の対応がバラバラに
ならないよう、組織的な人事管理を行うため
のシステムである。貢献度に応じた報酬が貰
えるとか、FA制や公募制により「こういう
仕事をしたい」という前向きな姿勢が尊重さ
れるなど、コア人材に焦点を当てた人事制度
は、コア人材の開発を後押しする。


#ls2(UFJ総研)


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