くりらじ サイクルメカニクルという自転車のメカを中心に語るpodcastを見つけた。
ビンディングペダルについていろいろ話されていて面白かったが、ひとつだけ理解できないことがあった。あるシステムの新旧比較で、新しくなってよくなった点の一つとして、ペダルの軸とシューズの底までの距離が短くなったと言っていた。そして、距離が長い場合のデメリットとして二つ挙げていた。
図にして考えてみた。図2が距離のあるペダル。で図3は今のペダル。以下、自転車の走行方向が右とし、車体の右からクランクを見て、クランク軸が上に向かって垂直になったところを0時として、時計の短針で角度を表現する。
まず、1について。ペダル軸と足との相対的位置関係が違うだけで距離が可変ではないのだから、足首の角度を変えたりしなければ、回転の径は変わらないだろう。(図2、図3)
次に2。パワーポイントとは、踏みでは2時から4時くらい、引きでは7時から9時くらいだろう(初心者の間隔なのでずれているかもしれないが、大きくは違っていないと思う)。この位置にある時は、踏み込むベクトルとクリート・ペダル軸はほとんど平行だ。ということはクリートとペダル軸の距離は影響しないんではないだろうか。
デメリットがあるとすれば、高回転で回すために、11時~2時にかけても力を入れたいときに力点とペダルの中心(クランクに対する力点)とが大きくずれることで若干のロスが生まれたり縦方向に足首を伸ばされるような力が発生するかもしれないという程度だろう。
図4、5は0時に前方に力を入れているときのベクトル概念図。厚みがあると、ペダル軸を中心に下に向かって力が発生するためにペダル軸を前方に押し出す力がわずかに減っている。(あくまで概念図なので、実際にこれだけの差が生まれるかどうかは分からない)。
現在のロードレースでは2時~4時に踏み込むのではなく、11時~4時、6時~9時と長い角度にわたって力を比較的均等に加えて高回転を維持することが重要とされている。そこで、厚みのあるペダルはモデルチェンジによって駆逐されたのだろう。
今のペダルは軸に金具をつけたような形状なのでこのようなオフセットはほとんど存在しない。しかし、数ミリでも軸の中心からずれるのはいやだという貴兄には、図7のようなペダルを推奨したい。軸上に金具をつけるのではなく、オフセットした位置に金具を付け踏み面と軸の中心が重なるようにした画期的新製品。軸の強度が問題だが(ここがたわんだら本末転倒だから)、人間が踏み込む力など自動車やモーターサイクルに比べれば微々たる物なので、問題はないだろう。誰か作ってくれ。